ことしのGW、基本は仕事だったんですけど、
仕事の合間を縫って、うろうろしてました。
いちおう、仕事のノート持ったまま、
というところが往生際が悪い。
ていうか、こういうのも大事なことじゃない?
などと言い訳をしつつ、雑に報告です。
●東京都写真美術館「デスティニー・ディーコン」展。
たいへんおもしろかったです。
オーストラリアの先住民系の女流写真家ということで、
作品自体が強烈な社会批判となっている‥‥んですけれど、
ある意味、乱暴なんですよ。
写真という表現に対する尊敬もあるのだけれど、
それを前提としながらも、乱暴。言い換えれば大胆に
写真というものを使っている。
インスタレーションや動画作品もあって、総合して見ると、
凶暴なまでのユーモアとなって襲いかかってくるんです。
そしていつの間にか、こちらの心に影をおとす。
でもあざ笑っているというような、
クールな立場ではなく、怒りに満ちた、
邪悪なものにたいする攻撃をはらんでいる。
それが強力なタールのように心にへばりついてしまって、
絶望のかたまりみたいになって心に宿る。
でも、そのどうしようもない絶望のなかに、
ひとすじの希望もある、という表現をかならず残す。
ただその希望は、近視でよく見えない状態みたいに、
ぼんやりとしていて、うまく掴めない。
‥‥強い写真でした。(やっぱりうまく言えないなあ)
●東京都現代美術館「カルティエ現代美術財団コレクション展」。
これはもう、かの、カルティエ財団のコレクション。
見ないわけにいきません。
この財団、いわゆる価値の定まった名品を集めるのではなく、
「これから」のアーティストを強力にバックアップする、
すばらしい財団なんです。
昨年末パリで見たとんでもない彫刻家の
「ロン・ミュエック」や、
ヤノマミ族と生活を共にし作品を撮りつづけた
「クラウディア・アンデュジャール」という写真家の作品、
おそろしい分量のビーズを使って、
きわめてアメリカ的な生活を立体で再現する
「ライザ・ルー」など、
いろいろ面白いものが来ていたのですが、
ダントツは「ナン・ゴールディン」のスライドショー!!!
すさまじかった‥‥。
80年代、エイズの時代のアメリカの
ドラッグやゲイカルチャーを撮った連作なんだけど、
せつないとも違う、酷いとか汚いとも違う、
といって生命バンザイでもないし、
むやみになにかを讃えるという視線でもないし、
冷酷なんかじゃ、もちろんないし‥‥、
かといって、ジャーナリスティックにもなりすぎていないし。
アンディ・ウオーホルとキース・ヘリングが
並んで写っているのを見たときは
「うおおおおおおっ!」と叫んじゃいました。
‥‥なんだろう?! これは。
よくわからないのですが、やっぱり強い写真でした。
かなりやられて帰ってきました。
あとから菅原一剛さんに訊いてみたら、
「あの写真は、ジャーナリスティックなものではなく、
彼女自身が、ドラッグ漬けの毎日から脱出して、
そして見えた、時には死んでいく、
悲しいほどの友達の姿と
堂々と向かい合って行くのですよね。
そして写真というのは、面白いな、すごいなと思うのが、
その結果、立ち現れた世界は、偶然にも、
どのジャンルにも属さない
『ナン・ゴールディンの写真』という
新しい写真だったということですよね。」
ということでした。なるほどなるほど!!
あ、川内倫子さんのスライドショーもよかったです。
この人別格だ。
つまりは、強い女の写真はすごい、という結論?
そうかもしんない。
●かもめ食堂。
群ようこ原作の映画です。
小林聡美主演、片桐はいり&もたいまさこ共演、
オール・ヘルシンキロケ、
ということを伝えるだけでじゅうぶんなのかも。
見たら、元気がでると思います。
恵比寿ガーデンシネマで12日までしかやってませんが、
なんとか時間をつくって見ることをおすすめいたします。
洋服好きのみなさんは、衣裳にも注目!
コム デ ギャルソン、ジュンヤワタナベ、
ズッカ、ヴィヴィアン・ウエストウッド、
それからマリメッコなどなど、
チョーかわいいです。たまらんです。
あとショウガ焼きが食べたくなります。
小林聡美は天才です。
●とんかつ武蔵
恵比寿ガーデンプレイス内にあります。
ぜひ「餅豚ロース250g」を、
オプションの「わさび」をつけて生醤油でどうぞ。
あ、塩もうまかったです。
いや、塩のほうがうまいのですが、
わさび醤油もうまかったという意味です。
おろしポン酢じょうゆ、と、ソース、は、
このすばらしい肉の味を
とことんたのしむにはもったいなかった。
すごくうまいんですけど。
「とんかつ武蔵」のメニュー構成に、
ちょっとピンときたので、会計のときに
「このお店は、静岡と関係があるんじゃ?
たとえばオーナーが静岡出身とか」
と訊いてみたら、ビンゴでした。
だって、漬物の脇に「わさび漬け」が添えられていて、
オプションにすりたてのわさびがあって、
揚げ物に「黒はんぺん」があるんだもんなー。
もとは「かつ好」といって、
静岡と清水に2軒かまえていた店だったということです。
余計好きになっちゃった。また行きます。
●深川あさり丼 福佐家
江東区三好2-11-4
「深川めし」という名前でないのは、
この店は味噌じゃなくて醤油味だからだそうです。
現代美術館への道行きで、偶然入ったんですけど、
ひゃーっ、うまいうまい。
あさり、くたくたに煮た春雨、
ざく切りの三つ葉‥‥だったかな?
味はあっさりしてますが(ダジャレではありません)
それだけにさくさく食べられちゃう。
七味かけるとまたうまくって!
おばーちゃんがなにやらものすごく世間話好きで、
隣に座ってずーっと、
「娘がサンフランシスコにいたので6回行ったのよ」とか
「いまはオレゴンにいるの」とか
「花を育てたのに折られちゃって」など
ずっとかまってくれました。
ぼくはマザコンではありませんが
おばーちゃんコンプレックスがあるので(ババコン)、
とっても楽しかったです(見抜かれたか?!)。
午後2時までしかやってなくて、しかも不定休だそうです。
「来るときは電話してね」だそうでした。ハイ。