この日記が7日目で止まってた。
説明できるほどの理由はなく、
日々歩き回って部屋に戻ってワインのんだら寝ちゃった、
というくりかえしだったからです。
ということで労働祭(5/1)翌日の8日目。
雨だったこともあり、
ポンピドーセンターで一日を過ごした。
ここはたぶん世界でいちばん多く
ぼくが訪れている美術館だと思う。
一時は年間パスをもっていたほどである。
(寄付のつもりで、です。)
ポンピドーは近現代美術をコレクションしていて、
とくにぼくの好きな「近代」が豊富なのがうれしい。
収蔵品の量がすさまじく多いので
「パーマネント・コレクション」といっても、
行くたび展示替えをしているような気がする。
収蔵品のなかからキュレーションができるって、
ほんとうにすばらしいことだと思う。
今回はパーマネント・コレクションを
「当時の展覧会」で再現するというこころみが多く、
原寸大の展覧会写真のなかに
ポンピドーにある作品がまじっている。
よくわからないですよね、写真でどうぞ。
いつもなら大好きなシュヴィッタースを見て、
「やあやあ、また来ましたよ」と思うんだが、
今回は展示されていなかった。
かわりといってはなんだけど巨大なアルプがあった。
ここまで大きなアルプを館内に!
それにしても20世紀初頭の美術の、
せつなくするどくあでやかなこと。
前衛をつきすすむことは、
戦場だったら死を覚悟するにちがいなく、
芸術の前衛とて同じではないかと思う。
そうして表現の自由を獲得し花開いた近代芸術は、
いつ見てもすばらしいと思う。生きている。
それを堪能したあとに現代美術のフロアにすすむと、
「自由」の行く先のあてどなさに、茫洋とした気分になる。
なにをやっても赦される、ということは、
「ぎりぎり」の表現にもなりうるわけで、
じっさいに犯罪者になったり、
精神を病んだりした人も多いときづく。
殺されちゃった人もいる。
ああ、だんだんアーティストが気の毒になってくる。
それでも「描かざるをえなかった」
「つくらずにはいられなかった」人生が、ここにはあって、
よかった、じぶんは芸術家じゃなくて、と思うとともに、
ふと芸術家という道をすすむ友人に思いを馳せて、
いっしょに、よるべない旅をするような気分になる。
と、ポンピドーは
パーマネント・コレクションだけで
おなかいっぱいになっちゃうわけだ。
でもせっかく来たのだから企画展も観る。
このときはヴィクトル・ヴァザルリをやっていた。
ハンガリー系フランス人だそうだ。
視覚芸術(オプ・アート)の人、
という程度の前知識でのぞんだが、
「色彩と形態は言語化できる」
という(妙な)ことを考えていた時期の、
キラキラっぷりったらなかった。
芸術を追求していたら、
商業に巻き込まれて、
風俗的に「かっけー!」な扱いを受けた時期もあって、
かなりおもしろい。
逮捕されたり殺されちゃったりする芸術家とくらべ、
とてもラッキーというか、
陽の当たる道をまっすぐ歩いた人なんだなあと思う。
こういう人もいるんだね。
そんなこんなで長時間滞在。
部屋にもどり、ちいさくパッキング。
なぜなら次の日から2泊3日で
バルセロナに行くことになったから。
いつも年末の旅行をいっしょにする
友人女子がバルセロナに滞在していて
「パリにいるなら遊びにいらっしゃいよ!
おいしいものを食べましょうよ!」
と誘ってくれたのです。
それでパリに来てからネットでLCC
(イベリア航空系列のヴエリング航空)のチケットをとり、
てきとうなアパートホテルを探して予約、
エクスカージョンに出ることにした。
パリの部屋はそのままです。
夕食は、ちょうどパリに来ていた友人たちを誘って
近所の大好きなレストランへ。
馬の脳みそのコロッケ、
馬肉のロティ、
ひな鳥のロースト、
牛頬肉の煮込み、
小魚のフリット、
シャルキュトリーの盛り合わせなど。