さあ、バルセロナへの二泊三日の小旅行である。
パリのオルリー空港はとってもローカルで、
巨大で全体像がつかみにくいシャルル・ド・ゴールとちがい、
LCCに特化し、チェックインやそこからの動線も
しっかり効率化されていて使いやすかった。
しかし、ここまで効率化されると、自分が
巨大スーパーマーケットに搬入される野菜に
なったみたいな気分でもある。
ヴエリング航空はLCCだけに
全席エコノミー、とはいうものの
ちょっとお金を足すと荷物が無料になるとか、
前方席が指定できるとか、優先搭乗できるとか、
そういう差別化がこまかくされていて、
せっかくなのでアディショナルチャージを払って
荷物無料、1列目通路側の席を確保。
搭乗も最初のグループだし、
とうぜん降機も最初だし、
なにしろ足下が(ちょっと)広いし、ラク。
でも機内はノーサービス。
ドリンクも有料。でもいらないや。
到着したバルセロナは雨。
パリほど寒くはないものの濡れると風邪をひきそうだから、
土地勘もないし、と、タクシーで市内のホテルへ。
宿はウニベルシタート、
つまりバルセロナ大学のある地区で、
市内中心部のにぎやかなエリアのひとつらしい。
学生が多いかというと、
たぶんそうなんだとは思うけど、
学生街というかんじではなく、
もうほんとにいっぱい人がいて、
新宿と渋谷と池袋を足したみたいなにぎやかさ。
(そこから、性的なサービス業のお店を排除した感じ。)
アパートホテルにはフロントはないけど
ちいさな事務所が1階にあって、
第二外国語だけど達者、とうかんじの
(つまりぼくくらいのレベルでもとても聞き取りやすい)
英語を話すおねえさんと、部屋でチェックイン。
螺旋階段の中央に無理やりつくったエレベーターは狭く、
ひとりがトランクひとつ持って乗るといっぱいになるほどでした。
パリに比べると1階の天井が高く、
すごく頑丈な感じのつくり。
2階から上はふつう。
とった部屋は最上階で、広い、というか、
広すぎるルーフバルコニーがついていた。
100人くらいのパーティができそうな広さ。
2泊なので自炊をする予定はないのだが、
立派なキッチンもついている。
こんどはゆっくり来たいものだ。
なんて考えるヒマもなく、ピカソ美術館へ出かける。
ここでバルセロナに滞在している友人たちと落ち合う。
この「現地集合現地解散」は、とてもいい。
なにがいいかって、自由なのがいい。
そして幹事的な役割を誰もせずにすむ。
(レストランの予約は人数確定しないといけないから、
誰かがやらないといけないけれど)
自分のことは自分で決めて、
あとは「この日この時にこの場所で」会えばいい。
なんのトラブルもなく合流、
チケットは事前にネットでおさえてあるので
入館もスムーズ。
が! さすがスペイン。
荷物を預けるカウンターが、
ものすんごく効率がわるい。
団体客がしゃべってて進まないうえに
担当が「おばあさん」で、
ひとりにかける時間がとんでもなく長い。
それでもぼくのお願いしたタイミングはよくて、
ぼくのあとには長蛇の列ができてました。
館内。
ここはピカソが自らつくった美術館で、
それだけにトーンが整っている。
バルセロナにいた頃のピカソについて詳しく、
少年時代からの凄みが理解できるし、
また、陶芸作品もたのしい。
ピカソの全体像をつかむというよりも、
トピックを拾って行く構成なのも気が楽。
圧巻はヴェラスケスのラス・メニーナスを
分解し再構築した連作がすべて見られること。
たくさんあるので
「1枚部屋に飾るならどれ?」
というような遊びもできます。
ぼくはこれだな。
いちど解散して、部屋ですこし休み、
夜になってから予約してあったレストランへ。
「ラサルテ」といい、
サンセバスティアン/ドノスティアに本店がある
(そっちは名前を「マルティン ベラサテギ」といいます)、
バルセロナ市内初のミシュラン三つ星である。
たまには行くんです、そういうところも。
メニュー(コース)は2種類、
クラシックな感じのものと、攻めた感じのもの。
うーんどっちかなー、と、
4人それぞれ熟考。
そして「ここはクラシックでしょう」と意見が一致。
きっと攻めた感じのほうは、
それはそれはすごいんだと思うけど、
クラシックのほうが味がわかるんじゃないかな、と思って。
しかしながら、出てきたのは、
「これでクラシック?」というものばかりで、
いやぁ、楽しかったな。
そして、おいしかったなー。
4時間くらい食べてた。
いくつか、写真でどうぞ。
(それが何なのかは説明しづらい。)
(あ、↑これは、バターです。)
この料理、天才料理人がひとりでつくっているわけじゃなく、
たいへん緻密なチームワークあってこその料理だという。
帰り際、キッチンを見せてくれながら、
マネージャーさんが教えてくれた。
お会計もなかなかたいしたものだったけど、
たまにはこういうことをしなくちゃね、
という一夜でした。