同行の友人がバテてしまった。
風邪のような食中毒のような症状だと、
部屋から出てこないままドア越しに言う。
寝てるから大丈夫、とも言うので、
こういう時じぶんだったらゆっくり眠りたいよな、
と、出かけることにする。冷たくてごめん。
ぼくは荷物をアパートホテルの事務所に預けて出かけるから
空港に行く6時に戻ってくるよ。
それまでやりすごしておくれ。
(友人は、別の部屋を半日借りることにして、寝てました。)
だって、前々からチケットをとっておいたんですよ、
サグラダファミリアと、カタルーニャ音楽堂の!
ひとり分無駄になるけど仕方ない。
交通の便のよいところなので地下鉄で出かける。
最寄り駅で地上に出るとそこはもう
サグラダファミリアの世界だった。
ガウディはその存在を知ったときから(高校生だったかな)
「好き」というフラグを立てているんだけれど、
ちゃんと見たことはなく、
知識もうすいものだから、
「建築家というよりは芸術家」と思っていた。
が! ちがった。ガウディはまごうことなき建築家なのだ、
ということが、サグラダファミリアと、
併設のミュージアムを見るとわかる。
そして、ガウディの世界はここカタルーニャと
ふかく関係しているということが、
バルセロナにいるとちょっとわかってくる。
たしかに特別な才能だけれども、
彼の根底にはカタルーニャがあるのだ。
(と、そのことは、この日の午後、音楽堂を見て思った。)
サグラダファミリアにおけるガウディは、
音楽でいえば作曲家であり指揮者。
死してなお彼の指揮はつづいており、
いろいろな芸術家が参加して完成への道をすすんでいる。
と、サグラダファミリアについてもガウディについても
世には文献がいっぱいあるわけなので、
ここは写真だけで構成します。
ああおもしろかった。
意匠にはすべて意味があり、
内部は思ったよりもシンプルというか、
すかーんとしたモダンな空間で、
建築の森、という印象でした。
さて、音楽堂の予約時間まですこしあるので、
地下鉄でバルセロナ・パビリオンを見に行く。
これはミース・ファン・デル・ローエによる建築で、
モダニズム建築の大傑作。
いまはミースの記念館のようになっているけれど、
展示物はとくになくって(バルセロナ・チェアはある)、
建物そのものを見て、体験するのである。
もともと1929年のバルセロナ万博におけるドイツ館で、
スペイン国王を迎えるためのレセプションホールだった、
ということで、それを再建したものだ。
ぼくはモダニズム建築にはあかるくないんだけれど、
こうして「体験する」と、なーんとなく、
そういうものかということがわかったような気になる。
ほんとうにわかっているのかどうかは怪しいが、
こういう公共建築のなかにも
住宅建築の要素があったりして、
たとえばトゥーゲンハット邸とか、
ミースの住宅にぐいっと興味が出たりした。
こんどチェコに行ったら見てみたいなあ。
さて、次はカタルーニャ音楽堂である。
中に入るにはガイドツアーに参加せねばならない。
いやはや、ガウディの生まれた土地、
こういうところなんだ! ということがよくわかる。
なにかと過剰、なにかと盛る。
それがうつくしさになっているのは、
なんというか強い「情」のようなものが血となって
有機的に「欠くべからざるもの」となっているからだ。
堪能。ほんじつの建築ツアー、げっぷが出た。
でも腹は減ったので、バルへ。
週末だし観光レストランしかやってないうえ、
シエスタの時間でどこも閉まっているなか、
裏道の店にふらっと入ってみたら、アタリ!
おそうざい、おいしい。
バルセロナおそるべし。
夕刻、宿に戻り友人と落ち合う。
ふらふらしてるよ、だいじょうぶかな。
ふたたびLCCでパリに戻って帰宅。
あすは帰国の途につかねばならない。