ちゃんと舞台を見ないまま16年前に終演してしまった
オンシアター自由劇場のロングラン公演「上海バンスキング」。
吉田日出子さんのLPはすりきれるくらい聴いて全部歌えるし
串田和美版の映画(というものがあるのです、
あの酷い深作欣二版じゃなくて)も何度も観た。
たしかそのVHS持ってるはずだけど
いま探したらどこにもない。ぐやぢい。
なんでDVD化されないんだろう。
でもちょっと自慢すると、
霞町の叔母上の部屋のすぐ裏が広い駐車場になってて
ちいさいころ遊びに行ってそっち側に面した階段を下りると
駐車場でストレッチしたりジャグリングしたり
楽器やセリフの練習をしている人たちがいた。
「あれね、ガラス屋の下が劇場になってて
そこの人たちなのよ」
と叔母が言ってた、まさしくその人たちが、彼らだった。
なにしろ自由劇場の結成は1966年。
ぼくが生まれた年なんですから。
ずっとあとに「あ、そうか!」とつながったときには
もう遅かったわけですけど。
で、ほんとうにひさしぶりの再演となった
当時のキャストを中心とした「上海バンスキング」の初日を
前から2列目で観てきました。
ああ、こんないい席。
まるで小劇場みたいだ。
夢見てるんじゃないか。
なんて思っていたものだから、
最初のシーンで、自分でも思いがけずいきなり滂沱。
「ああ、バクマツだ! 四郎だ!」と、
それだけでもう涙。
まいっちゃうなあ。
吉田日出子さんは、いまほとんど人前に出ないので
どうなさっているのかと思ったら、
ちょっとふっくらして、年齢は重ねたものの、
ちょっと心もとない印象は最初だけで、
舞台の上でどんどん「まどか」になっていく。
不思議なくらい若返っていく。
そしてもうひとりの主役の串田和美さんが
とんでもなく色っぽい。
あんな色っぽいおじさんがいていいんだろうか。
目標にするにはあまりに遠い。
そして笹野高史さんや小日向文世さんをふくめ
当時からのみんなが、三十歳前後の役をするには
実年齢が上すぎるわけだけど、
だれしも、吉田日出子さんと同じように、役と同化していく。
赤紙が来ても不思議じゃない年齢になっていく。
そしてそれと同時に、
吉田日出子をマドンナとして中心にした
あの熱い演劇青年たちの、つよいつよい友情、愛情。
それが、かたまりになって、
とんでもない魅力となって舞台の上にのっかってるのが
はっきりわかってきて、
せつなくかなしく、抗えない
ものがたりの展開とあいまって、
最後のあの有名なシーンでは、もう号泣。
まいっちゃうなあ。
吉田日出子さんがひとり残りカーテンが下りたあと、
拍手喝采でもういちどカーテンがあがったとき、
完全に「まどか」になっていた彼女は
完全にぽかんとした顔で、客席を見ていた。
まるで、あの「セントルイス」の全盛期の
お客さんが目の前に現れたかのようだった。
さらに終演後ロビーで2曲演奏。
ぜんぶで3時間40分があっという間の舞台でした。
観られてほんとうによかったです。
久しぶりにたくさん泣いたな。
オンシアター自由劇場のロングラン公演「上海バンスキング」。
吉田日出子さんのLPはすりきれるくらい聴いて全部歌えるし
串田和美版の映画(というものがあるのです、
あの酷い深作欣二版じゃなくて)も何度も観た。
たしかそのVHS持ってるはずだけど
いま探したらどこにもない。ぐやぢい。
なんでDVD化されないんだろう。
でもちょっと自慢すると、
霞町の叔母上の部屋のすぐ裏が広い駐車場になってて
ちいさいころ遊びに行ってそっち側に面した階段を下りると
駐車場でストレッチしたりジャグリングしたり
楽器やセリフの練習をしている人たちがいた。
「あれね、ガラス屋の下が劇場になってて
そこの人たちなのよ」
と叔母が言ってた、まさしくその人たちが、彼らだった。
なにしろ自由劇場の結成は1966年。
ぼくが生まれた年なんですから。
ずっとあとに「あ、そうか!」とつながったときには
もう遅かったわけですけど。
で、ほんとうにひさしぶりの再演となった
当時のキャストを中心とした「上海バンスキング」の初日を
前から2列目で観てきました。
ああ、こんないい席。
まるで小劇場みたいだ。
夢見てるんじゃないか。
なんて思っていたものだから、
最初のシーンで、自分でも思いがけずいきなり滂沱。
「ああ、バクマツだ! 四郎だ!」と、
それだけでもう涙。
まいっちゃうなあ。
吉田日出子さんは、いまほとんど人前に出ないので
どうなさっているのかと思ったら、
ちょっとふっくらして、年齢は重ねたものの、
ちょっと心もとない印象は最初だけで、
舞台の上でどんどん「まどか」になっていく。
不思議なくらい若返っていく。
そしてもうひとりの主役の串田和美さんが
とんでもなく色っぽい。
あんな色っぽいおじさんがいていいんだろうか。
目標にするにはあまりに遠い。
そして笹野高史さんや小日向文世さんをふくめ
当時からのみんなが、三十歳前後の役をするには
実年齢が上すぎるわけだけど、
だれしも、吉田日出子さんと同じように、役と同化していく。
赤紙が来ても不思議じゃない年齢になっていく。
そしてそれと同時に、
吉田日出子をマドンナとして中心にした
あの熱い演劇青年たちの、つよいつよい友情、愛情。
それが、かたまりになって、
とんでもない魅力となって舞台の上にのっかってるのが
はっきりわかってきて、
せつなくかなしく、抗えない
ものがたりの展開とあいまって、
最後のあの有名なシーンでは、もう号泣。
まいっちゃうなあ。
吉田日出子さんがひとり残りカーテンが下りたあと、
拍手喝采でもういちどカーテンがあがったとき、
完全に「まどか」になっていた彼女は
完全にぽかんとした顔で、客席を見ていた。
まるで、あの「セントルイス」の全盛期の
お客さんが目の前に現れたかのようだった。
さらに終演後ロビーで2曲演奏。
ぜんぶで3時間40分があっという間の舞台でした。
観られてほんとうによかったです。
久しぶりにたくさん泣いたな。