大晦日。15人くらい集まる年越しパーティということで
ジャンマルクさん(教授)宅におよばれ。
教授の家はアレクサンドル・デュマ通りにあって
ぼくのいるところからだと東南東に2キロくらい、
なので、歩いて行くことにする。
シュマンベール通りをヴォルテール大通りまで出て、
あとは下っていくだけ。
2年前に、約束の時間ぴったりに駅から電話したら
おくさまに「遅いじゃないの! みんな来てるわよ!」
と怒られたので、今回は早めに行くことに。
しかし約束の10分前に着いたら、こんどは
「早すぎるわよ! パリのひとは30分遅れるのが普通なの!
まだ支度もなにもできたもんじゃない」
と、なにをやっても怒られる運命らしく、
しばらくフレンチブルドッグのピノキオと遊んで
おとなしくしておりました。
そのうち人があつまる。
おくさまがふるい日本語新聞の長いスタッフということで、
毒舌ゆえに敵も多いが愛されているらしく、
いろんなひとから慕われているもよう。
2年前にもお会いしたヨガの先生夫妻、
芸大を出てシャンソンの勉強に来ている男の子、
ものすごく流暢な日本語を話す美形のフランス男子、
しゃべり方や所作が槇原くんそっくりの、まっくろけに日焼けした、
ジバンシィのメイクアップアーティスト氏、
こちらでCDを出しているシャンソン歌手のイシハラさん、
滞仏が長いらしい、エレガントな日本人夫妻(こどもは医者)、
愛称「ダリダさん」(サルバドール・ダリから来ているらしい)
という謎のご婦人、
などなど、ええと、口幅ったい言い方ですが、
とってもふしぎなメンツでした。
そして、和仏混交のご馳走。
白ブーダンに黒ブーダン、生牡蛎たっぷりに、
フォアグラ、筑前煮に石狩鍋にちらし寿司、
鴨のコンフィ、シーフードサラダ、
ガトーショコラと、プリン、みかん。
どんどん出てくる。
おくさまが
「お皿、からにして! さらっちゃって! 早く食べなさい!」
とおっしゃるので必死に食べていたら、すっかり満腹に。
もう入りません‥‥と音(ね)をあげたら
「急いで食べるからよ! ゆっくり食べればいいじゃない!」
と、また怒られる。そんな‥‥
「サラダ、残ってるわよ! まずいの? まずいのっ?!」
いえ、まずくないんですけど、もう、いっぱいで‥‥
「なさけないっ!」
なにをやっても怒られる運命なんですね。
年越しのシャンパンをあけて、みんなでほっぺたにチュー。
‥‥こちらでは、そういう習慣らしいです。
おくさま、ぼくに近づきながら
「やだわ、なんか。いいのかしら」と言わないでください。
そういう習慣なんですから。
ということでごちそうさまでございました。