9時くらいに寝てしまったので朝早く目が覚める。
写真を整理したりブログを書いたりしてから朝ごはん。
きのう買ってきた大量の野菜をサラダに。
残ってたホワイトアスパラガスは、
塩ゆでして、茹で汁のまま冷ましてから入れる。
茹で汁はとっておいて、冷凍してあるくず野菜などと
あとでブロスをとる予定。
なんでこんなこまごましたことしてるんだろう。
答えはたのしいからです。
オムレツ(きょうはバター)、
うすぎりのハム、クロワッサン。
正統派の朝食というかんじがしますね。
すこし食休みをしてから出かけることに。
ネットで「パリでおいしいクロワッサン」のパン屋を検索、
いちばん近くの店にまず行くことに。
ここじゃないかな、という店は、
あとで違う店だとわかったのだけれど、
きっとおいしいはずの店構えだったので
(だって 1er prix受賞! って書いてあった)
パンと、焼き菓子を購入。
(あとで知ったのだけれど、ここはカヌレも有名だそうです。)
いちど帰ろうかなあとも思ったんでけれど、
天気がいいのでそのまま歩くことに。
ボーブール通りからポンピドーを経由して
(早朝なので開いてない)、
サン・ジャックの塔のあたりから
リヴォリ通りを市役所方向へ。
市役所広場のメリー・ゴー・ラウンドはまだ動いていない。
それにしても、天気はいいけど風が冷たい!
これから夏が来るような風ではなく、
冬の始まりの風のように冷たい。
薄手のメリノウールのジャケットに
綿麻のスプリングコート、麻のくびまきでは寒く、
かるいダウンがあってもよさそうな感じだ。
でもまあ、ないのだから歩いてあたためるしかない。
アルコル橋はパトカーが封鎖していて
(歩行者は歩けます)
なんでかなと思ってシテ島にわたったら、
そうだ、この先はノートルダム大聖堂の西側に出るんだった。
つきあたりで大聖堂を眺める。
西側からでは火災の痕跡はわからないが、
TVで見たあの光景が
向こう側に広がっていたのだと思うと、
なんとなくせつない。
そういえば市役所には
HOMMAGE À LA CATHÉDRALE NOTRE-DAME DE PARIS ET À CELLES ET CEUX QUI L'ONT SAUVÉE.
(ノートルダム大聖堂と、それを救った人々に捧ぐ。)
という書かれた垂れ幕が架けられていた。
あのテロの直後(にも来た)のような
パリの街ぜんたいが「かなしみにつつまれている」
という印象はないのだけれど、
どこかでだれもが気にしているというようなムードが
あるような気がするのは、旅行者の感傷だろうか。
ぶらっと戻り、メトロで左岸へ。
途中で朝買ったクロワッサンをおやつにする。
うまい。
なるほど。
さて、どうしよう。
ボンマルシェに行ってみようかな。
いつものことながら、なにひとつ予定はない。
あそこに行くなら、いつもだったらぼくの目的は、
おみやげの高級食材やおもしろい調理器具なんだけれど、
ぼくのなかでそういう興奮の時期は過ぎてしまったようで、
ぶらぶら見て歩くだけでじゅうぶんたのしい、という感じ。
前はひとつひとつのパッケージのかわいさにやられ、
こんなものがあるんだというおどろきを口にし、
もうぜんぶ買って帰りたいと思ったんだけどなあ。
たぶん──、生活圏内にこのデパートがあるということを
ぼくはとてもうらやましいと思っていて、
つかの間の住人には、遠い場所だということが、
身にしみちゃったのかもしれないな。
肉や魚は近所で買うもの、だし。
ところで調理器具コーナーにあった
料理書の棚はなくなっていたのが残念。
カジュアルなデパートのBHVは
書籍コーナーはどうなっているだろう。
(明日行ってみよう。)
のどがかわいたので館内のカフェでお茶。
そして本館地下のメンズフロアへ。
そうだ、ひとつだけ目的があったじゃないか。
J.M.Westonで長財布を買うのだ。
というのもそれは来る前に友人から勧められていて、
「前回のパリで後悔したことは、
その財布を買わなかったことだ」
とまで言われたので気になっていたのです。
でもそもそも長財布が展示されていないなあ。
店員のお兄さんに訊くと、
ひとつだけ残っていますよと、出してくれた。
それは友人おすすめのジップつきではなかったんだけれど、
正統派のシンプルな長財布。
でもむしろ、こういうのは持っていない。
ジップつきは、伊勢丹新宿店で気に入ったものを買ったし、
むしろこういうのがひとつあってもいいかな、と購入。
さて、免税手続は3Fでやるんだけれど、
ここの免税カウンターはなんだか居丈高で得意じゃないんだよなあ‥‥
という数年前の記憶でうんざりしつつ行ってみたら、
あれ? ようすがちがう。
前は銀行風にセキュリティ重視のつくりだったのが、
低いオープンカウンターになっており、
手続きカウンターで書類を出すと
すぐに番号を発行してくれて、
支払カウンターで即座に現金にして戻してくれた。
その支払カウンターのおねえさんの愛想のいいこと!
メンズフロアの、見目麗しい男子店員たちも、
それはそれは愛想がよかったんだが、
このおねえさんもすごいよ。
英語をきちんと話すし、にっこり笑うし、
ここはほんとうにパリ?
帰路はオルセーの近くでメトロを下車、
企画展にはあまり興味をそそられなかったのでスルーして、
歩いてすぐのルーブルに行ってみることに。
ぼくはしょうじきルーブルというのは
「べつにいいか」と思っていた。
なにしろ入場券を買う長蛇の列がひどい。
なかはどんなに混んでいるだろうと思うとつらい。
が、この日は、「すこし並べば入れるんじゃない?」
という感じの行列で、それもどんどん動いている。
並んでみるか‥‥とセキュリティの列に加わったら、
15分くらいで入ることができた。
チケット購入も自販機だし、
並んでいなかったので即座に完了。
そして館内のレストランで腹ごしらえをして
(なぜかフィッシュ&チップス)出陣しました。
‥‥ああ、ごめんなさい。
そう謝りたいくらいだ。
ルーブルがこんなにすごいとは思わなかった。
たかをくくっていた。
最初のエジプトで、
ものすごく時間をつかってしまったんだけれど、
それは、あまりの物量とクオリティに
ノックアウトされたからです。
ぼくの勝手な結論は「古代エジプトって宇宙人じゃないの?」
というもので、それくらいとんでもなかった。
あれだけのものをエジプトからパリに
持ってきちゃったのかと思うと、
なんというか、モヤモヤするけれど、
いまこうして見られたことはよかったと思う。
一生分のスフィンクスと棺を見たような気がする。
あまりにすごかったので、
それにつづく古代ローマも古代ギリシャが
かすんでしまった(頭がパンクして入ってこなかった)。
サモトラケのニケですら、
「ああ、ニケね。ナイキね」くらいの感慨で、
なんだか、すまない。
絵画もすごい。あまりの量にくたびれる。
教科書に載っているような絵がそこらじゅうにある。
いちおうぼくは大学で美術史を卒業しているんだけど、
ああ、やっぱりもっとはやく来るべきだったのだなあ。
ラ・ジョコンダことモナリザの部屋は、
満員電車の向こうに彼女がいて、
アイドルの集会みたいでした。
たいへんだね、アイドル。
閉館時間(6時)までいて、
iPhoneによると2万歩を超える歩数。
階段の昇り降りもそこらじゅうにあるので、
ルーブル観賞は健脚になると思う。
すっかり疲れているはずなんだけど、
そこから近いので、オリビエ・ロランジェの
スパイス屋さん「エピス・ロランジェ」に行くことにする。
胡椒を買いたかったのです。
マダムに相談して、
強いもの、個性的なもの、そして原種、
3種類を買いました。
そして地下鉄で帰宅。
町内で、こぢんまりとしたいいかんじの食材屋を発見、
そこでハムとパンチェッタを買う。
レジのおじさんがぼくの持っていた
「エピス・ロランジェ」の袋を見て、
「おお、エピス・ロランジェか。最高だよね!」
と言ってくれた。やはりそうですか、そうですよね。
あまりに疲れたので夕飯はとらず、
ケーキをすこし食べてお茶を飲んで
9時すぎにシャワーを浴びて就寝。
歩数計は2万5000歩声。
そりゃ疲れるわけだ。