部屋を出てブエノス・アイレス通りの信号を渡ったら
角のところでAさんとYさんが待っていた。
これから一緒にチーズ屋さんにランチに行くのだ。
そのチーズ屋さんまでの徒歩5分、
街に2年前とはずいぶん違う活気があるのに気づいた。
どうやらそれは新しいお店が
この界隈にどんどんオープンしているゆえの印象らしい。
それも、ちいさなスタンドっぽいフードのお店が多い。
ドリンク系もあれば、しょっぱいもの、甘いもの、
いろんな店があって、流行っている感じの店もあれば、
あんまりそういうふうに見えない店もあるけれど、
全体的に「チャレンジ!」な感じがする。
なんだか「店を出すならここ」みたいに
この街が選ばれているみたいで、ちょっとうれしい。
交通の要所というのは、交通機関だけじゃなく
人もいっぱい交差するから、
ビジネスチャンスがあるんだと思う。
なぜぼくが「ちょっとうれしい」と思ったのかというと、
「このあたりは危険」という情報が
とても遠い場所からパソコンに届いたからである。
その人によれば、この街は、
あぶなくて、用事がない限りみんな行かなくて、
移民だらけで殺気立った感じだから、
歩いていて変な雰囲気だったら
引き返すように、ということだった。
もちろん親身になり、親切で言ってくださったのだけれど、
ぼくの皮膚感覚とはずいぶんちがうのにびっくりした。
たしかにここは「とても安全でうつくしい」場所ではないし、
「観光客であふれるにぎやかな街」でもない。
いわゆる下町というのか、とても庶民的なところで、
ぼくらが遠いところから想像する
「ミラノの人ってみんな、とんでもなくオシャレ」
というような感じでは、まったく、ない。
2年間に来た時思ったのは「ミラノ‥‥ださっ!」
ということだったんだけれど、
いまもその印象はかわらない。
ちゃんと工夫してオシャレをしているけど、
そりゃあモンテ・ナポレオーネ通りとは違う。
移民はどうだろう。
東洋系やインド系(このあたりはすぐわかる)がいる。
中東系(中東系と南イタリア系って
かなり近い顔立ちの人がいるのだが、
中東料理屋のテラス席を見ると、
なるほどちょっと違うなと思う程度ですが)もいる。
アフリカ系は、ほかのヨーロッパの街と同じく、
すっかり溶け込んでいる印象。
というか、彼らはスタイルがいいので、馴染んでいれば
下手するとそこらへんのイタリア人よりオシャレ。
というのがぼくの勝手な観察である。
たしかに移民は多そうだが、
でも、みんな「ふつう」である。
殺気立ってなんかいない。
ふつうに歩き、ふつうに働き、ふつうに買い物をし、
ふつうにバスを待ち、ふつうに生活をしている。
住人のYさんにこの話をしたら、
彼らはアハハハと笑い、
「たしかに20年前は、
絶対住みたいなんて思う街じゃなかった!」
と言った。
交通の便がよいのでここに引っ越すことになったときも
じつはとても嫌だったという。
彼らはロレートのことを
「かなり怪しい場所だった」という表現をした。
ぼくが初めてミラノに来てこの街をうろうろしたのは2年前。
そのときも別に危険な印象はなかったけれども、
「緊張して歩かないとな」と思わせる空気はすこしあって、
でも今回はそれが薄れている。
こちらが慣れたのかもしれないと思うが、
街の活気も上がっているんだと思う。
「新しいお店がどんどんできている」という現象を
ぼくがうれしいと感じたのは、
この街が「もっとよい方向に」変わりゆく象徴のように
思えたからなのだった。
それでも、夜分には東洋系熟女系のかたが
違法な人待ちのご商売をなさっているのを見ることがあるという。
日本人であるYさんも「むむっ? あれは勘違いして
私のことを見ているな」と、そういうことの好きなおじさんの
熱い視線を感じることがあるという。
「ちょっと前は、十代のイタリア人の女の子が、
そんなふうに立っていたことがあるの。
あれは胸が痛かったな。
なんとかならないのかなあとずっと思ってた」
行政的な指導が入ったのか
社会の状況が変化したせいかどうか知らないけれど、
いまはすっかりそういう姿は見ないそうだ。
5分ほど歩いている間にわかったのがそういうことである。
なんか妙な話になっちゃったな。
さて! ランチで訪れたのは
「Mastro Casaro BURRA-TA」というお店。
プーリア州(ブーツ型の国土のかかと部分)料理の店で、
ブッラータというフレッシュチーズを手作りしている。
できてまだ1年ほどで、最初は
「La Mozzarella Mastro Casaro」という名前だったそうだが、
一般的な名前のモッツァレラではなく、
より攻めたほうを選んだのだと思う。
ちなみにブッラータはモッツァレラの仲間だけど、
中にとろりと生クリーム状のフレッシュチーズが入っていて、
「フレッシュチーズの二人羽織やー」という感じです。
イタリアは都市国家で、その都市はひとつの国家のようなもの、
その間での流通はそんなに発達していないので、
「その土地の野菜はその土地にしかない」し、料理もまた然り、
なのだけれど、トーキョー的なミラノには、
とりあえずなんでも集まる傾向があるから、
プーリアのこんな料理も食べられるのだそうです。
通りに面して(横道でそんなに人通りはない)
おおきく開いたガラス窓の奥がブッラータ工房で、
あんちゃんがせっせとブッラータをつくっている。
入るとすぐに売店。ここでチーズや総菜が買える。
作業中の様子を撮っていい? とジェスチャーで訊くと、
(たいていのイタリア人がそうであるように)
カメラに向かってキメ顔をしてくれました。
店内のインテリアは、リュスティックでコージー。
居心地のいい田舎風。
Yさんと話していたんだけれど、
ものすごく考え抜かれたしつらいだと思う。
店員さんのエプロンがわざと「ちょいダサ」だったり、
ちょっとスパイスを売ってみたりね。
椅子も色とりどりの木製で、うつわも田舎風の陶器、
壁面にチョーク・アートがあるのもかわいい。
さて頼んだのは、まずはブッラータを
プロシュット・コットとともに。
‥‥ブッラータ! ブッラータ! ブッラータ!
と叫びたくなるうまさ。
なにこれ。出来立て食べたの初めてなんだけど、
こんなに官能的なチーズがあるの?
3人で1つだったけど、これは1人1コ食べたい。
ブッラータ! ブッラータ! ブッラータ!
せっかくだからチーズ料理をと、
パスタじゃなくなすを使ったラザーニャ、
ものすごく太いマカロニであるマニケ、
断面が正方形のロングパスタであるキタッラを、
それぞれプーリア風の調理で。
いずれもすばらしい。そして案外、味が濃くない。
プーリアの地元では塩味が濃いはずなんだが、
ちゃんとミラノで受け入れられるようにしているみたい。
さいきん(高血圧ゆえ)自分がつくっている塩のバランスに近い。
つまり「若いみなさま」には物足りないと思う人がいるかもしれない。
だからパンはしょっぱめ。そこでバランスをとっている。
うまい、うまい、うまい。
昼から白ワインを1本あける。
ぼくもAさんも強いのでぜんぜん平気。
トーキョーでもそうしたいくらいだが、
それはさすがにまずいだろう。
デザートは、リコッタのムース、
ティラミスをケーキ状にしたもの、
アップルパイの生クリーム添え。
これもぜーんぶすばらしい。
リコッタのムースがカチョカバッロ風の容器だったのがかわいい。
コーヒーを飲みながら(これもおいしい)、
ひとしきり、また、この街の話題に。
「こんな素敵なお店が出店するなんて!」と
Yさんは住人としては思うそうだ。
「最初はほんとうに人が入らなかったんだけれど、
こうしてきちんと考え抜いたお店って、
じわじわ伝わっていくから、
いまではほら、ランチも万席だし、
ディナーはなかなか入れないくらい」
という人気ぶりだそうだ。
見ると、ほかのテーブルにはビジネスパーソンたち。
みんな「いかにもミラネーゼ」なスタイルで、
健康そうで、きちんとしたオシャレをしている。
「この界隈に、こういう人たちが仕事してるのって、
以前は考えられなかったかも。
いったいどこにいるの? って感じなんだけれど、
イタリアは昼休みの時間に厳密だから、
遠くからわざわざ来ているのではなく、
近くにオフィスがある人たちだと思う」
いいぞロレート、もっと伸びろー。
と、ぼくはすっかり身贔屓な気分である。
「Mastro Casaro BURRA-TA」のポーションは
そんなに大きいわけではないが、
ちゃんとおなかがいっぱいになった。
にもかかわらず、
近くに「クラシックなジェラートの店がある」と知り、
そしてAさんもYさんも次の仕事までちょっと時間があると聞き、
むりやり連れ出す。
「ぼかァ、食べないと思うんだけどさァ」
と東京っ子のAさんは言うが、
ぼくがほおずきのジェラートを買ったのを見て
「やっぱり食べちゃおうかな。リモーネひとつ」
と頼んでおられました。
知りませんよ太っても。
さすがの美味しさ。きっちり酸っぱくて甘くて、
なるほどこれはクラシック。
スーパーに寄り、彼らは現地用携帯のチャージカードを、
それから今日の夜用の水を購入。
ふたりと別れて、帰路(といっても徒歩3分の距離)、
日用品のアウトレットに寄って、
部屋にない「ティーポット」を探す。
めぼしいものがなかったが、なんとチェコのテスコマの
耐熱ガラスのポットが超廉価になっていたのを購入。
袋を要らないと言ったものだからこんなスタイルで帰りました。
夕方、(そのあとずっとぼーっとしていた)、
ローマから、和食店経営者であるOさんがミラノへ。
夜、この部屋に集まって宴会をすることに。
Oさんは総菜を買い出しに行ってくださり、
Aさんは量り売りワインを買ってきてくれた。
来客は4人。
バッタバタだったので画像がほぼありませんが、
生の小イカを処理してからさっと茹で、
生唐辛子、レモン汁、オリーブオイル、
塩でマリネしたものをつくった。
適当に思いついたわりに、おいしくできました。
ほかは買ってきていただいた総菜と、
用意しておいた生ハムやフレッシュチーズ。
途中で鶏手羽をオーブン焼きに。
イタリアの鶏をイタリアのローズマリーと
イタリアの塩で調味したのにどうしてアジア風になるのだ。
魂の問題か。
〆にカルボナーラをつくっておしまい。
ミラノなので、パンチェッタとパルミジャーノ
(ほんとはグアンチャーレとペコリーノ)なんだけど、
上出来上出来。
パスタの腕、上がってると思う、と自画自賛。
みんな徒歩3分のところにいるので、
お開きになったのは深夜。
洗い物をしてさあシャワー、と思ったら、
その洗い物でお湯を使いすぎたのでボイラータンクがカラ!
しょうがないので冷水ですませたら、
すっかり酔いも醒めました。
角のところでAさんとYさんが待っていた。
これから一緒にチーズ屋さんにランチに行くのだ。
そのチーズ屋さんまでの徒歩5分、
街に2年前とはずいぶん違う活気があるのに気づいた。
どうやらそれは新しいお店が
この界隈にどんどんオープンしているゆえの印象らしい。
それも、ちいさなスタンドっぽいフードのお店が多い。
ドリンク系もあれば、しょっぱいもの、甘いもの、
いろんな店があって、流行っている感じの店もあれば、
あんまりそういうふうに見えない店もあるけれど、
全体的に「チャレンジ!」な感じがする。
なんだか「店を出すならここ」みたいに
この街が選ばれているみたいで、ちょっとうれしい。
交通の要所というのは、交通機関だけじゃなく
人もいっぱい交差するから、
ビジネスチャンスがあるんだと思う。
なぜぼくが「ちょっとうれしい」と思ったのかというと、
「このあたりは危険」という情報が
とても遠い場所からパソコンに届いたからである。
その人によれば、この街は、
あぶなくて、用事がない限りみんな行かなくて、
移民だらけで殺気立った感じだから、
歩いていて変な雰囲気だったら
引き返すように、ということだった。
もちろん親身になり、親切で言ってくださったのだけれど、
ぼくの皮膚感覚とはずいぶんちがうのにびっくりした。
たしかにここは「とても安全でうつくしい」場所ではないし、
「観光客であふれるにぎやかな街」でもない。
いわゆる下町というのか、とても庶民的なところで、
ぼくらが遠いところから想像する
「ミラノの人ってみんな、とんでもなくオシャレ」
というような感じでは、まったく、ない。
2年間に来た時思ったのは「ミラノ‥‥ださっ!」
ということだったんだけれど、
いまもその印象はかわらない。
ちゃんと工夫してオシャレをしているけど、
そりゃあモンテ・ナポレオーネ通りとは違う。
移民はどうだろう。
東洋系やインド系(このあたりはすぐわかる)がいる。
中東系(中東系と南イタリア系って
かなり近い顔立ちの人がいるのだが、
中東料理屋のテラス席を見ると、
なるほどちょっと違うなと思う程度ですが)もいる。
アフリカ系は、ほかのヨーロッパの街と同じく、
すっかり溶け込んでいる印象。
というか、彼らはスタイルがいいので、馴染んでいれば
下手するとそこらへんのイタリア人よりオシャレ。
というのがぼくの勝手な観察である。
たしかに移民は多そうだが、
でも、みんな「ふつう」である。
殺気立ってなんかいない。
ふつうに歩き、ふつうに働き、ふつうに買い物をし、
ふつうにバスを待ち、ふつうに生活をしている。
住人のYさんにこの話をしたら、
彼らはアハハハと笑い、
「たしかに20年前は、
絶対住みたいなんて思う街じゃなかった!」
と言った。
交通の便がよいのでここに引っ越すことになったときも
じつはとても嫌だったという。
彼らはロレートのことを
「かなり怪しい場所だった」という表現をした。
ぼくが初めてミラノに来てこの街をうろうろしたのは2年前。
そのときも別に危険な印象はなかったけれども、
「緊張して歩かないとな」と思わせる空気はすこしあって、
でも今回はそれが薄れている。
こちらが慣れたのかもしれないと思うが、
街の活気も上がっているんだと思う。
「新しいお店がどんどんできている」という現象を
ぼくがうれしいと感じたのは、
この街が「もっとよい方向に」変わりゆく象徴のように
思えたからなのだった。
それでも、夜分には東洋系熟女系のかたが
違法な人待ちのご商売をなさっているのを見ることがあるという。
日本人であるYさんも「むむっ? あれは勘違いして
私のことを見ているな」と、そういうことの好きなおじさんの
熱い視線を感じることがあるという。
「ちょっと前は、十代のイタリア人の女の子が、
そんなふうに立っていたことがあるの。
あれは胸が痛かったな。
なんとかならないのかなあとずっと思ってた」
行政的な指導が入ったのか
社会の状況が変化したせいかどうか知らないけれど、
いまはすっかりそういう姿は見ないそうだ。
5分ほど歩いている間にわかったのがそういうことである。
なんか妙な話になっちゃったな。
さて! ランチで訪れたのは
「Mastro Casaro BURRA-TA」というお店。
プーリア州(ブーツ型の国土のかかと部分)料理の店で、
ブッラータというフレッシュチーズを手作りしている。
できてまだ1年ほどで、最初は
「La Mozzarella Mastro Casaro」という名前だったそうだが、
一般的な名前のモッツァレラではなく、
より攻めたほうを選んだのだと思う。
ちなみにブッラータはモッツァレラの仲間だけど、
中にとろりと生クリーム状のフレッシュチーズが入っていて、
「フレッシュチーズの二人羽織やー」という感じです。
イタリアは都市国家で、その都市はひとつの国家のようなもの、
その間での流通はそんなに発達していないので、
「その土地の野菜はその土地にしかない」し、料理もまた然り、
なのだけれど、トーキョー的なミラノには、
とりあえずなんでも集まる傾向があるから、
プーリアのこんな料理も食べられるのだそうです。
通りに面して(横道でそんなに人通りはない)
おおきく開いたガラス窓の奥がブッラータ工房で、
あんちゃんがせっせとブッラータをつくっている。
入るとすぐに売店。ここでチーズや総菜が買える。
作業中の様子を撮っていい? とジェスチャーで訊くと、
(たいていのイタリア人がそうであるように)
カメラに向かってキメ顔をしてくれました。
店内のインテリアは、リュスティックでコージー。
居心地のいい田舎風。
Yさんと話していたんだけれど、
ものすごく考え抜かれたしつらいだと思う。
店員さんのエプロンがわざと「ちょいダサ」だったり、
ちょっとスパイスを売ってみたりね。
椅子も色とりどりの木製で、うつわも田舎風の陶器、
壁面にチョーク・アートがあるのもかわいい。
さて頼んだのは、まずはブッラータを
プロシュット・コットとともに。
‥‥ブッラータ! ブッラータ! ブッラータ!
と叫びたくなるうまさ。
なにこれ。出来立て食べたの初めてなんだけど、
こんなに官能的なチーズがあるの?
3人で1つだったけど、これは1人1コ食べたい。
ブッラータ! ブッラータ! ブッラータ!
せっかくだからチーズ料理をと、
パスタじゃなくなすを使ったラザーニャ、
ものすごく太いマカロニであるマニケ、
断面が正方形のロングパスタであるキタッラを、
それぞれプーリア風の調理で。
いずれもすばらしい。そして案外、味が濃くない。
プーリアの地元では塩味が濃いはずなんだが、
ちゃんとミラノで受け入れられるようにしているみたい。
さいきん(高血圧ゆえ)自分がつくっている塩のバランスに近い。
つまり「若いみなさま」には物足りないと思う人がいるかもしれない。
だからパンはしょっぱめ。そこでバランスをとっている。
うまい、うまい、うまい。
昼から白ワインを1本あける。
ぼくもAさんも強いのでぜんぜん平気。
トーキョーでもそうしたいくらいだが、
それはさすがにまずいだろう。
デザートは、リコッタのムース、
ティラミスをケーキ状にしたもの、
アップルパイの生クリーム添え。
これもぜーんぶすばらしい。
リコッタのムースがカチョカバッロ風の容器だったのがかわいい。
コーヒーを飲みながら(これもおいしい)、
ひとしきり、また、この街の話題に。
「こんな素敵なお店が出店するなんて!」と
Yさんは住人としては思うそうだ。
「最初はほんとうに人が入らなかったんだけれど、
こうしてきちんと考え抜いたお店って、
じわじわ伝わっていくから、
いまではほら、ランチも万席だし、
ディナーはなかなか入れないくらい」
という人気ぶりだそうだ。
見ると、ほかのテーブルにはビジネスパーソンたち。
みんな「いかにもミラネーゼ」なスタイルで、
健康そうで、きちんとしたオシャレをしている。
「この界隈に、こういう人たちが仕事してるのって、
以前は考えられなかったかも。
いったいどこにいるの? って感じなんだけれど、
イタリアは昼休みの時間に厳密だから、
遠くからわざわざ来ているのではなく、
近くにオフィスがある人たちだと思う」
いいぞロレート、もっと伸びろー。
と、ぼくはすっかり身贔屓な気分である。
「Mastro Casaro BURRA-TA」のポーションは
そんなに大きいわけではないが、
ちゃんとおなかがいっぱいになった。
にもかかわらず、
近くに「クラシックなジェラートの店がある」と知り、
そしてAさんもYさんも次の仕事までちょっと時間があると聞き、
むりやり連れ出す。
「ぼかァ、食べないと思うんだけどさァ」
と東京っ子のAさんは言うが、
ぼくがほおずきのジェラートを買ったのを見て
「やっぱり食べちゃおうかな。リモーネひとつ」
と頼んでおられました。
知りませんよ太っても。
さすがの美味しさ。きっちり酸っぱくて甘くて、
なるほどこれはクラシック。
スーパーに寄り、彼らは現地用携帯のチャージカードを、
それから今日の夜用の水を購入。
ふたりと別れて、帰路(といっても徒歩3分の距離)、
日用品のアウトレットに寄って、
部屋にない「ティーポット」を探す。
めぼしいものがなかったが、なんとチェコのテスコマの
耐熱ガラスのポットが超廉価になっていたのを購入。
袋を要らないと言ったものだからこんなスタイルで帰りました。
夕方、(そのあとずっとぼーっとしていた)、
ローマから、和食店経営者であるOさんがミラノへ。
夜、この部屋に集まって宴会をすることに。
Oさんは総菜を買い出しに行ってくださり、
Aさんは量り売りワインを買ってきてくれた。
来客は4人。
バッタバタだったので画像がほぼありませんが、
生の小イカを処理してからさっと茹で、
生唐辛子、レモン汁、オリーブオイル、
塩でマリネしたものをつくった。
適当に思いついたわりに、おいしくできました。
ほかは買ってきていただいた総菜と、
用意しておいた生ハムやフレッシュチーズ。
途中で鶏手羽をオーブン焼きに。
イタリアの鶏をイタリアのローズマリーと
イタリアの塩で調味したのにどうしてアジア風になるのだ。
魂の問題か。
〆にカルボナーラをつくっておしまい。
ミラノなので、パンチェッタとパルミジャーノ
(ほんとはグアンチャーレとペコリーノ)なんだけど、
上出来上出来。
パスタの腕、上がってると思う、と自画自賛。
みんな徒歩3分のところにいるので、
お開きになったのは深夜。
洗い物をしてさあシャワー、と思ったら、
その洗い物でお湯を使いすぎたのでボイラータンクがカラ!
しょうがないので冷水ですませたら、
すっかり酔いも醒めました。