Eチケット(航空券)、インターネットバンキング、
GOOGLEスプレッドシート、デビットカード、
Airbnb、Uberの登場で、個人の旅はうんとラクになった。
つまりは「インターネット」が旅を変えたのだと思う。
「インターネット以前」の旅はほんとにたいへんだったんだから。
ぼくが遡れるのはせいぜい30年だけれど、
航空券がカーボンコピーの束で、
海外にいてもいちいち電話で現地出発時間の72時間前までに
リコンファームをしなければいけなかった。
メキシコや南米のローカル線は英語を話さないオペレーターもいて
スペイン語でリコンファームしましたよ。
リコンファルマシオンポルファボール! って。
72時間以上前には別の国にいることもあったので
電話番号を調べるところからかなり苦労をした。
ホテルで電話帳、よく見たなあ。
インターネットもなかった時代の話です。
自炊の旅をしたいと思うと、
インターネットが入ってからも
粗末な簡易キッチンのついた
アパートホテルを短期借りするか、
個人で貸し出している人を見つけ出して交渉していた。
乗り継ぎ便が遅れて現地に深夜に着いたら
鍵の受け渡しができず、
空港で野宿をしたこともある。
いくら電話をしても大家さんは出なかった。
Airbnbがあれば連絡だけはついたはずだ。
そのときのことは、湿度の高い空気の感じまで
くっきりと覚えているので、
それはそれで楽しい旅の思い出だったのだと思うけれど。
言葉がうまく使えない場所だと
タクシーを呼ぶのも苦労した。
ホテルに泊まっていればフロントで呼んでもらえるが、
アパートを借りているとそうはいかない。
流しのタクシーというのはまずないし、
ましてや出発が早朝だったりすると、どうにもならないので、
前日にアパートからホテルに移ったこともある。
もちろん両方に宿泊費は払っている。
なかなかうまくいかなかったなあ。
今回「ああ、こんなことになっているんだ」と
しみじみ、つくづく思ったのは現地通貨についてである。
いちども両替をしなかったし、
ほとんど現金を使わなかった。
メルボルンは市場ですら現金を使わずに暮らせる
カードな街なんだけれど、
住人たちはほとんどがカードを「TOUCH」して決済している。
Visaがやっている「Visa payWave」という機能だと思う。
日本のスマホ決済みたいな感じで、
ちょいとかざす(ちょっと触れる)だけで支払ができるしくみだ。
でもぼくのデビットカード(三菱東京UFJ)には
その機能がついていない。
でも大丈夫、「INSERT」(端末にタテに突っ込む)して
「PIN」(4桁の暗証番号)を入力すれば精算できる。
額によっては「PIN」も要らない。
でも観察しているとこの方法はどうも「ちょっと古い」みたい。
できるだけ旅先に溶け込みたい旅人としては悔しい。
しかもこのあたりの英語の使い分けがよくわからない。
「SLIP」だと、端末の横の長めのレーンをさっと通す
(サインが必要な)感じなのかな?
「SWIPE」と言ってみたら、「TOUCH」だと思った人もいて、
そうじゃないです「INSERT」でお願いします、と言い直したり。
うーん。
あ、調べていたら三井住友のデビットカードは
「Visa payWave」機能がついているみたいだ。
メインバンク(というほどのものでもないけれど)はこっちだから、
あたらしくつくったほうがよさそうだな。
デビットカードを「銀行口座カード」だと思っていると間違いで、
もちろんクレジットカード扱いである。
カードを見せると最初に「BANK OR CREDIT?」と聞かれて、
「BANK」にしたら通らなかった。
そりゃそうだと、冷静になればわかる。
デビットカードってVISA経由だから。
デビットカードというのは口座から即時引き落としで、
つまり口座にないお金は使えないのだが、
あらかじめ多めに入れておけば不安はないし、
クレジットカードに比べて無駄遣いは減る。
そしてここが肝心なんだけれど、
ぼくらのように複数人での旅で経費をシェアしていると、
すぐに明細がネットバンキングで確認でき、
その日のうちに精算シートにコピペできるのがラクだ。
精算シートはむろん、共有のGOOGLEドキュメントである。
それからデビットカードは現地ATMで現地通貨を引き出せる。
つまりは日本円現金を持っていき空港や現地両替所で
現地通貨に両替する必要がない。
もし現金がほしいときは、街中にあるATMを使えばいい。
今回はぼくはいちども両替しなかったです。
それに、すぐに銀行からお金が引き落とされるので、
日本に帰ってきてからクレジットカードの明細を見て
「ぎゃあああああ」と後悔し青ざめて金策に慌てることもない。
いままでどれだけ後悔してきたのかという話ですが。
ところでメルボルンでは現金が使われていない、
というわけじゃなく、
もちろん現金決済もできる。
スーパーマーケットのセルフレジは、カード専用と、
現金もOKの機器があるし、
交通系カード「myki」(マイキー)のチャージも
カード、現金、両方が使える。
(トラム、バス、電車はチケット廃止で、すべて「myki」です。
運転手さんに現金を渡して‥‥というのは過去の話みたい。
運転手さんは運転のみをすればよくなっているのだ。)
ぼくが現金を使わざるをえなかったのは、
市場の屋台でファラフェルを買ったときだけだ。
「クレジット端末がありません」って書いてあった。
そのおつりの小銭は「myki」のチャージできれいに使いました。