まるまる使えるバスクの休日は今日で最後。
あすも半日あるけど、夕方パリに移動なのです。
部屋は11時までしか使えないから
パッキングして荷物預けて数時間潰さないとな。
朝ご飯はバゲットの残りにハムとチーズを挟んだサンドイッチと
残り物のラグーをスープがわりに。
きょうはバスでどこかに行こうと思っていた。
とうがらしの名産地エスプレット村に行くか、
いちばん近いビアリッツの街に行くか、
ほかにもサン=ジャン=ド=リュズとか
サン=ジャン=ピエ=ド=ポルとか、いくつか候補がある。
ぱっと行ってぱっと帰ってきて、
でもあんまり遠出したくない。
バスの本数が少なくて帰りが遅くなるのも避けたい。
だって部屋でごはん(昼も夜も)を食べたい。
食材余ってるからね。
ということで、1ユーロで乗れるバスで
30分もかからずに着き、バスの本数もたくさんある、
ビアリッツにしました。
ここは最初に一泊だけして移動をしてしまったので、
まったく街を知らずにいるので。
近所のバスク広場からA2というラインに乗ればいい、
ということは、インフォメーションセンターで訊いて知っている。
ちなみにインターネットで検索するとよくわからないです。
バスのサイトは住人で慣れていればわかるんだろうけど、
旅行者向きにはできていない。
たとえばバイヨンヌだけでも停留所がいくつかあって、
それがどこなのかがさっぱりわからないのです。
ましてや行き先の街はちんぷんかんぷん。
それでもいちおうグーグルマップをオフラインで使えるように
ダウンロードしておいて、
(これ、Wi-Fiも電話もつながっていないのに、
どうして場所がわかるんだろう?)
うっかり眠らないよう緊張しつつ乗りました。
ビアリッツのバス停は、表通りから1本裏側で、
ターミナルというほどのものでもないので、
やはり非常にわかりにくい。
帰りにこの場所に辿り着けるかがやや心配なので
まわりの景色をiPhoneで撮っておく。
そうすればいざというとき人に訊ける。
しかし心配も無用だったのは、
ビアリッツは人口3万人の小さな街で
(バイヨンヌは4万4000人だからそれより小さい)、
しかも、観光客が歩く範囲はたかが知れており、
海(大西洋岸ビスケー湾)に面したエリアしかないから、
このぼくでも迷いようがないのでした。
迷ったら坂を下れば海に出るから。
海沿いの遊歩道はおそろしく寒かったけど、
天気がいいのがさいわい。
いくつか展望ポイントがあって、
人はそれほど多くないけれど、
その多くない人がするべきことも多くなく、
歩くことと、記念写真を撮るくらいの楽しみしかない。
ぼくも同じ。歩いて写真をいろいろ撮る。
東側に灯台のある岬、
西側はスペインの方角だ。
つまり、長く滞在したドノスティア/サンセバスティアンは
この海岸を辿っていけば着くのです。
あまりにも完璧に「フランスの海辺の保養地」なので、
どうも「お呼びでない? お呼びでない!
こりゃまた失礼いたしました〜」な感じがする。
だいたい東洋人がひとりも歩いていない。
(バイヨンヌは、初日、ちらっと見かけました。)
すごーくお金のありそうな風貌の人が多くて、
毛皮を着た中高年女性の多いこと!
バイヨンヌやドノスティアはみんなダウンですよ。
歩いてたら出てきたネオゴシックの建物。
ノートルダム聖堂、聖ウジェニー(ユージニア)教会に入ってみる。
19世紀末から20世紀初頭のものなので
それほど古くはないけれど、
信仰の集まる場所特有の荘厳さは
古い・新しいは関係ないのだなあと思う。
ちなみにビアリッツの守護聖人は聖マルタン
(マルティヌス)だそうです。
教会を出て、Rocher de la Vierge(聖母の岩)まで歩く。
岩の聖母‥‥岩の母‥‥岸壁の母‥‥じゃないですよ。
白い聖母像が岩の上に立っている名所です。
もともと半島だったらしいんだけれど、
いまは離島みたいになっていて、
本土とのあいだを橋が結んでいる。
行ったところで何もないし、
海風がぴゅうぴゅう吹きつけていて寒いんだけど、
それなりに神妙な気持ちにならないでもない。
神妙というか、ただ寂しいというか。
それも悪くないです。
戻って海洋博物館へ。
海洋博物館といっても、博物館部分は約半分で、
そんなにたいしたものはない。
海洋の歴史のある場所でもないし、
パリにある自然史博物館のように
もうほんとうにとんでもない規模で収集するというようなことでもない。
いなかのちいさな、こども向けの博物館です。
あ、リスボンの海洋博物館は凄かったですよ、
さすが七つの海を制した国だ。
展示するものの規模というか、迫力が違う。
でもこちらは「漁村のくらし」的な博物館で、
それはそれでのんびりしていてバスク的でいいです。
争わない、争わない。
水族館部分は、海の中をダイビングするかのごとく
岩を模した通路のあちこちにガラス窓があって
泳ぐ魚が見られるしくみ。
とくに現代的な演出があるわけでもないけれど、
やはりのんびりしていていい。
アザラシのプールとウミガメのプールがよかったです。
彼らもやけにのんびりしている。
水族館とか動物園って、
かわいそうだよなあと思うときもあるけど、
ここの子たちは「まあしょうがないか」と
1回あきらめて、のんびり余生を送っているようにも見える。
すべて勝手な人間の想像ですが。
商店街というか、
けっこう高い感じの店が並ぶ海沿いの通りを歩く。
ほとんどの店がやってない。
1月2日だからなのか、昼休憩なのか。
一軒だけ行きたかった店があったんだけど
残念ながらきょうまで休業だそうです。
ここの調味料おいしいんです。
バスクのとうがらし、ピモンデスペレットを使った調味塩
「フォルス・バスク」というのがあって、
伊勢丹にあるんだけどすごく高いから、
ぼくは成分を調べて自分でつくってるんだけど、
本店に行けるなら‥‥と思っていたのでした。
残念。でもまあいいや。
昼をまわり、たっぷり歩いたこともあって腹が減った。
何か食べようかな‥‥と思ったけれど、
こんなリゾートな場所、高いに決まってる。
それに30分で宿に戻れるんだから戻ろう。
ということで午後3時すぎに戻ってきました。
遅いお昼は、例のラグーの残りでスパゲッティ。
帰路買ってきたパンは、
明日の朝食と、お昼、夜のお弁当にするつもり。
パリも空港ホテルじゃ高いだろうし
そんなにおいしいものもありそうにないからね。
さてパッキングしますかね!
終わったら残りの酒を飲んじゃおうっと。