さあ、サンセバスティアン滞在最終日!
あす友人たちは、ひとりはロンドンへ、
ひとりは九州へ、
そしてぼくはバイヨンヌへ行く。
サンセバスティアンの滞在を延ばさなくてよかった。
それはちょっと寂しすぎる。
バイヨンヌひとり旅は、最初寂しくても、
フランス圏ならではのおもしろさがあるはずなので、
すぐに慣れるだろう。
寂しさは慣れだものね。
朝食はポトフ‥‥じゃないや、
ここはスペインだから「Cocido」かな?
豆入ってないけど。
ちなみに、鶏もも、じゃがいも、キャベツを
当地の粉末ピメントと塩でコトコト煮ました。
なかなかうまくできたですよ。
さあ散歩をしよう。
まず。アパートからすぐの、サンテルモ博物館に行く。
もともと教会だった建物を使った博物館。
常設展はバスクとドノスティア/サンセバスティアンの歴史や
バスクにおける宗教絵画のコレクション。
企画展にも精力的で、20世紀のアヴァンギャルド芸術が
サンセバスティアンではどんなふうに受け入れられたかを
回顧する展覧会と、
ルチア・モホリの写真展をやってました。
モホリ・ナジの奥さんであるルチアの作品、
ぜーんぜん見たことがなかったので、すごくラッキー。
(バウハウス系の展覧会で見たことがあるかもしれないけど
ノーマークだったのでした。)
彼女はものすごく技術がある人なんだけれど、
1920年代の美術や建築そして人物を
すごく楽しそうに撮っている。
キュート。チャーミング。
常設展は、以前来たときよりも
ずいぶんフロアが増えていて楽しかった。
バスクの歴史から地場産業まで、
ざっくり理解できるのがいい。
バスクってほんとうに独自だよなあということがわかります。
ここにもチリーダがあり、
チリーダとならぶ著名な地元の彫刻家、
オテイサの作品といっしょに展示されてました。
あとエル・グレコがさりげなくあったりするのもいいです。
さて、オテイサ。
彼の屋外彫刻もまたこの地にある。
徒歩20分くらいなので、てくてく歩くことにする。
いやはやいい天気でいい景色。
そして、ありましたありました。
オテイサの彫刻 "CONSTRUCCIÓN VACÍA"。
空虚な構造というコンセプチュアルなもので、
チリーダの「風の櫛」の具象性や
物語力とはまったく別の印象。
とってもかわいいと思うんだけど、
感動はチリーダのほうがありましたです。
それより、といったら失礼なんだけど、
景色がきれいでねー。
そうこうしているうちに1時を過ぎ、
腹が減ったのでバルに行くことにする。
前回とは違うところに行ってみようと、
まずは「La Cuchara de San Telmo」。
料理は注文式。
この写真だと混雑ぶりがわからないけど、
手前にぎっしり満員電車のように人がいます。
混んでいても大丈夫。
なんとかカウンターに近づいて、
アイコンタクトをしておけば、
かならず注文を訊いてくれるのでじっと待つのです。
食べたのは、フォアグラ、鱈、タコ。
ドリンクはチャコリ。
そして2軒目はこないだも行った「BORDA BERRI」。
おいしかったのでもいっかい来ました。
ここではリゾットやラビオリなど、
炭水化物系を攻めてみました。
前回食べておいしかったんで、
タコとにんにくのスープも再度。
そして3軒目は「La Viña」で
チーズタルトとコーヒー。
うむ、まんぷくじゃ。
このあと、水族館を見ようと
チケット売り場までは行ったんだけれど、
ひとり13ユーロと知り、やめる。高いよー。
ちなみにサンテルモは6ユーロだし、
バルは3軒まわってひとり20ユーロなんだから、
比べるとどうにも高い。
そこまでして見るつもりもなかったので、
きびすを返してしまいました。
このあとは、ちょいとお土産を買いに行く。
自分用には、料理本を2冊と、
食材店で青とうがらしの酢漬けの瓶、
それからワインを2本。
部屋に戻って、朝の残りのCocidoに
きのことカリフラワーを加えたもの、
ゆでたまごのバスク風(自己流です)、
それから買ってあった柘榴を食べる。
そしてそれぞれパッキングを済ませる。
ああ、やっぱり寂しいなあ。
みんな同じ気持ちだったらしく、
キッチンに集まってきて「来年はどうする?」という話に。
またサンセバスティアン/ドノスティアに来たいかも、
だったら、さっさと目当てのレストランを予約しちゃえ!
みたいな話になったんだけれど、決断にいたらず。
じつは前回も今回も行けずにいるレストランがあるのです。
それは熾火(おきび)で料理をするというところで、
ビルバオからも遠く、
ドノスティア/サンセバスティアンからはもっと遠い。
どちらにせよバスを乗り継いで、
往復で1日かかっちゃう場所にあるのだけれど、
あそこは行ってみたいんだよなあ。
そこに行く手だてを考えつつ、
自炊の拠点をどの都市にするかを決めないとね。
精算もする。
滞在費は宿泊や食事こみで1日160ユーロというところ。
自炊だけならもっとずっと安く済むんだけど、
今回は三つ星が入ったからねー。
部屋も広かったし。
でもホテルに泊まって
全部レストランで外食というよりも、ずっと安いはず!
さて明日は5時半起き。
みんなのごはんをつくって、食べて、
順番的にはぼくが最後に鍵を締めて出ることになる。
‥‥やっぱり寂しいじゃないか、なあ。