朝、リゾットをつくって食べる。
なかなかサマになってきたじゃないか!
さてこの日は、すでに書いちゃったんだけど、
午後からレストラン「ARZAK」に行く日。
午前中はチリーダ(Eduardo Txillida Juantegi)の彫刻
「風の櫛」(El Peine del Viento)を見に、
ラ・コンチャ海岸ぞいを歩いて長い散歩をしました。
明日でサンセバスティアン/ドノスティア滞在も最終日。
その翌朝はそれぞれ散り散りになると思うとちょっと寂しい。
考えるとうんと寂しくなるのであまり考えないようにする。
ずっと曇り空だった天気も、この日は回復、大晴天!
そんな言葉はないかな。でもそんな感じ。
寒中水泳の人がけっこういるのは、
どうやら近くのスパのプログラムらしい。
ぼくらだったらひいひい言いながら
橋って海に向かうところだけれど、
こちらの人はふつうにおしゃべりしていたりして、
それ、寒くないのか!
寒くないみたいですね。なんでだろ。
(平均体温が37.2度だと聞いたことがあるけど、
それにしたって寒いんじゃないだろうか。)
歩くこと約30分、つきました。
これがチリーダの彫刻「風の櫛」です。
彫刻家のチリーダは
ドノスティア/サンセバスティアン出身で、
つまりはバスク人である。
鉄(ほかにも石など)を使った巨大屋外彫刻で知られている。
前に来たときに、この彫刻のある岬に行く遊歩道が
高波で封鎖されていたので、辿り着けなかったのが
ちょっとくやしかったので、見られてとてもうれしい。
そして、この彫刻は、思っていたたよりもずっと、
ずっとずっとすばらしいものでした。
「海に突き出る」という表現に、
ぼくはどうしてこうも弱いんだろう。
絶対に動かない巨大彫刻なのに、
どういうわけか、旅立つ直前の気持ちを感じてしまう。
ここから何処かに向かうのだという強く確かな意志や、
もう戻れない、という切迫感、
そして、ここに魂をおくというような、望郷の念、
そんな感覚がどどっとやってきて、
‥‥まいっちゃうんだよなあ。
ちなみにこの彫刻の制作に、
チリーダは25年を要したそうだ。
完成は1977年。そしてその後、
風と海によって錆びていったのが現在の姿。
「猿の惑星」のラストシーンじゃないけど、
ずっと未来にどうなっているのかなあと、
そんなことまで想像したりした。
帰路は、ちょっと違う道を、また歩いて帰りました。