5時起床。わりとはやく寝ちゃう(22時台)ので、
まだ暗いそんな時間に起きてしまう。
サラダ、スパゲッティ、ベリージュース、
ミルクコーヒー、豆乳のヨーグルトで朝食。
ヨーグルトは間違って買ったんだけど、
固まってない豆腐みたい。ちょっと酸っぱい。
言われたなかったら「べえっ」って出しちゃうかもだけど
そうだとわかっていれば食べられる。
人の食欲は不思議。
さて、ちょうどメトロの回数券が切れ、
月曜日のきょうはNAVIGO(チャージ式定期券)が
使いはじめられる日。(月〜日なのです。)
自動券売機でチャージをするがうまくいかず、
窓口に並んで手作業でやってもらう。
これで滞在中は乗り放題。
ぼくが持っているのはむかーし友人を頼ってつくったもの。
当時は旅行者はつくれなかったのだけれど
いまはNAVIGO DECOUVERTEというのがあって、
誰でもつくれます。
とうことで地下鉄に乗り、
Champs-Elysées-Clemenceau駅で降りてグランパレへ。
ゴルチエ展に行くのです。
入場待ちの行列はさほど長くなく、5分ほど待って入場。
初の回顧展だそうで、幼少期から現在までを網羅し、
彼の発想の源に触れるような構成になっている。
ぼくはゴルチエは着ないけれど、
デザイナーがデザインをするということには
とても興味があるので、とてもうれしい展覧会。
会場にはずらりとコレクションに出された服を
マネキンがつけているんだけど、
その顔にプロジェクションマッピング的な手法で
じっさいの人の顔の動画が投射されている。
つまりは「マネキンが表情を変え、動いてしゃべる」!
最初、びっくりしたあ。マネキンと目があうんだもの!
展覧会は、彼の原点が
「母、そして祖母」との関係性にあることからはじまる。
セクシュアリティ的には男性を愛するゴルチエだけれど、
女性にたいする「無碍の愛」のような一定の距離感があるので
どんなにボンデージなどの「性」に寄った表現をしていても
つよい「やさしさがある」(同行の友人のことば)。
ひとりぽっちでつくりつづけるのが
最前線のファッションデザイナーの仕事だろうから、
全体を通しての「孤独」もただよっている。
彼の「男性のエロティシズム」は、
大人になってからのそれではなく。
少年期からの「水兵への憧憬」にあることもわかる。
だからゴルチエのメンズウエアでもっともセクシーなのは
ボーダーシャツなのだろうなあ。
パリをモチーフにしたコレクションが
ランウェイを模した(ちょっと回転寿司的な)
舞台をまわる展示は圧巻。
片方の壁には「ロンドン」のパンキッシュな群像、
そしてその全体を観ている観客は、
ゴルチエが衣装を提供したセレブリティたち。
そのあいだの窪地のような空間を、ぼくらは歩いていく。
そのほか「聖母」であるとか
(マネキンはあからさまにマリアたち)、
「コルセット」と「ボンデージ」が
対象にならべられているところとか、
キュレーションの妙にただただ感服。
「いろんなモチーフ」的に、各国の民族衣装に
インスパイアされたような服がならぶところは、
「苦しかったのかな」と思わないでもない。
アイデアという意味で。
ただ、それを造形するゴルチエは、
(あえて言ってしまうならば)アイデアの安直さを
徹底的に乗り越えるための「手わざ」を発揮する。
もうそりゃすさまじい、つくりこみ。しつこさ。
ところで羽をいっぱいつかったドレスを着たマネキンが
「七つの子」を歌ってました。
▲これは聖母たち。
ゴルチエのミューズは、歴々、いろいろな女性がいたが、
もっともあたらしい人物は、コンチータ・ヴルストらしい。
彼女(彼)が出てきたとき、きっとゴルチエは
とびあがって喜んだだろうなあ。
コンチータの纏うゴルチエのドレスは、
その髭の美貌とかけ算になって、
もうなにがなんだかわからない、くらくらする世界。
検索したら画像がいっぱいありました。
展示をあとに、昼食へ。
近くのカフェで牛肉のタルタル。
たっぷりと、ピモンデスペレットがのったもの。
やっぱりタルタルはおいしいなあ。もぐもぐ。
あ、赤ワイン1杯だけください。
グランパレではいくつかの展示をしていたのだけれど
午後になってどこも入場待ちの行列。
そんななかなぜかすっと入れたのが
「ICONES AMERICAINES」という
サンフランシスコ現代美術館からの展示。
すいている理由は、入ってわかりました。
規模がちっちゃくて、たいしておもしろくないんだな。
ポンピドーのパーマネント・コレクションがあるんだから
これをなにがなんでも観なくちゃという感じではないんだろう。
アグネス・マーチンのでっかい作品が見られたのはよかったです。
けっこうな距離と知りつつ、フォーブルサントノレを歩いて帰る。
途中でお約束のCOMME des GARÇONSパリ店へ。
ここはここで美術館だと思う。
戻ってさっとシャワーを浴びて着替えて夕食へ。
ベトナム料理を食べましょうと誘われていたのです。
メトロを乗り継いでTolblac駅。
このあたりは中国人をはじめアジア人がたくさん住んでいて、
中国料理のレストランがならぶ感じは
まるで香港のちょっと郊外を歩いているかのよう。
待ち合わせはPho Banh Cuon 14というお店。
揚げ春巻きや、中国クレープ的なもの、
「エビのドーナツ」という謎の揚物、そしてフォー。
なかなかいけました。
チンタオビールもおいしかった!
8時をすぎても明るいので、歩いて帰ることにしたぼくら。
1時間ほどで歩けるはずとGoogle先生がいうので、
腹ごなしに歩くことに。ほぼ一本道。
どんどん日が暮れていき、長く続くマジックアワーのなか、
てくてくと歩く。
宵闇が迫る寸前くらいにセーヌを渡る。
なんてきれいなんだろう。まいっちゃうな。
部屋に戻ってでっかいソファに寝転がり、
酒も飲まず、友人とただただしゃべる。
何をしゃべるわけでもないんだけど、
こんな年齢になってこういう時間はいいなあ。
「他愛もない会話を延々と」。すごく楽しい。
そして「また明日」「じゃあねー」があるので、
なんだか小学生にでも戻ったみたいだ。
髭の小学生なんですけどね。