朝4時半に起床、シャワーを浴び、
オレンジジュースとバドワ(炭酸水)を割ったものを飲む。
ネクタリンとバナナを食べつつ
メールのやりとりを何通か。
サンマロに済んでいる知己のかたからお誘いメール。
「乗馬をするもよし、シーカヤックもできるし、
ナチュラルワインが揃ったビストロがあり、
パリの半分の値段で気楽に飲み食いできます。
カキは新鮮なので、年中楽しめます」
という言葉に魅かれて、どこかで一泊二日で行こうと決意。
7時すぎに小銭を持ってブーランジュリーへ。
クロワッサン、パン・オ・レザン、
パン・オ・ショコラを買う。
6個で7ユーロ20。
きのう買っておいた卵をオムレツにしようとして
バターを買い忘れたことに気付く。
醗酵バターッ! しまったーっ!!
でもまあ仕方ないので、
パセリの乾燥粉末と黒胡椒、
塩とミルクを加えてオリーブオイルでオムレツに。
IHヒーターってフライパンが振れないところが苦手。
クロワッサンは焼き立てほやほやではなかったが
もっちりとおいしかった。
パン・オ・レザンはなかなかの重量。
これでじゅうぶん。
ショコラはとっておく。
出かけるまでに「あまちゃん」を見ようと思ったら
国外からはNHKオンデマンドの
新規登録ができないと分かり落胆。
まあいいや。
地下鉄駅まで歩き、乗り継いで
シャトレ駅から歩いてポンピドーセンターへ。
昨年正月は3時間の滞在だったので
(乗り継ぎついでにマレまでごはんを食べに来た)
ポンピドーセンターは素通りしただけだったが
今回はじっくり見られる。
あっ、リヒテンシュタイン展やってる!
ただ20世紀前半の美術展示がクローズしており、
南館もやってないからか、
あるいはバカンスシーズンが過ぎたからか、
そんなに並ばずに入れた。
いい展示のときは入るのに1時間、切符買うのにまた並んで、
みたいになるからなあ。
入ってすぐに、年間パスの申請へ。
そのほうが安いからというわけじゃなく、
好きな美術館へのサポートの気持ち。
以前つくったときのデータがちゃんと残っててびっくり。
写真を撮り直されたがなにたいへんな下膨れに写った。
まあいいんだけど。
エスカレーターで4Fへ。
ここから見るパリの景色が好きだ。
ああ、来たなあって思う。
そして下を見ると、天気がいいので
日光浴をしている人たちがたくさん。
リヒテンシュタインはものすごい量だった。
もちろん知っていたしこれまでもいくつか見てきたが
「発明した手法にとらわれた人」
「ちょっとラクしたラッキーな人」くらいに思っていた
自分の無知、無教養を心から恥じる。
どれだけこの表現を突き詰めていたのかということが
膨大な作品、その設計図や指示書でわかる。
そして、自己模倣を避けながら挑戦を続けていたことも。
最後に「禅」に行ってしまったのは、
まあ‥‥それはそれで‥‥であるが、
ほんとうにすばらしかった。驚いた。
そして、チャーミング。この一言に尽きる。
20世紀前半の美術ファンとしては
5Fのクローズは残念だったが、
こういうことがあると
「また来よう」と思えるのがいい。
そう、また来ればいい。開いているときに。
そして60年代以降の美術は、
もうあらゆる表現がされ尽くされたあとの芸術の荒野で
それでも作品をつくることに取り憑かれた芸術家たちの
ヒリヒリとした葛藤が見える。たまらない。
歩き疲れたのでカフェでバドワとクロックムッシュ。
このクロックムッシュが、こんな食堂でどうしてというくらい
おいしいうえにでっかくて驚いた。
腹が一杯になってしまった。
なんだか勿体ない。
休憩後はミュージアムショップを見る。
5年前だったら狂気して買いまくっていただろう
アートグッズたち。
「いいんじゃない」と、やさしいまなざしで
流せるようになっている。
(つまり、なにも買わなかった。)
わたしもとしをとりました。
ほんとうならどこかでゴハンと思っていたのだが
クロックムッシュで満足してしまったので歩くことにする。
マレ方向にランビュトー通りをすすみ、
たくさんあるかわいい店を見ながら
ヴォージュ広場のほうへ。
その先、ボーマルシェ大通りに出る手前に
ライヨールの製品組合が運営している(らしい)
ライヨール製品のアンテナショップがあったはず。
‥‥あった!
調べて来たわけじゃないのでなおさら嬉しい。
前にここでナイフ2本を買って、
それを買い足したいと思っていた。
お店のマダムも同じひと。
ただし前は2本でも売ってくれたんだけど、
いまは6本セットなんだという。
ううむ!
6本‥‥6本‥‥。
そんなに客の来る家ではないのだが‥‥。
材質(カウホーンかバッファローホーンか)を聞き、
その色を見せてもらい、ためつすがめつ、決めた。
いいでしょう。買いましょう。
さらにバターナイフも2本ください。
リエットとかジャムとかにも使える。
さらに‥‥本当は、欲しいものがあった。
肉のかたまり肉を切る包丁とフォークのセットとか、
もちろん有名なソムリエナイフとかである。
でも、それは買わない。予算の都合じゃない。
次に来た時の楽しみにしたいから、とっておくのだ。
思いを残して立ち去ることが、
また会うための魔法。
じつは前に2本買ったのもそんな気持ち。
そのときはライヨールのことについて不勉強で
「ああ、フォークも揃いで買えばよかった」
なんて思ったのだが、それを「また来よう」に転嫁していた。
しかしながらフォークはつくっていないと知り、
そして、そうそう、ぼくはフォークは
なんたってプラハで買ったクリストフルがたくさんある!
あれと、これの組み合わせ、最高だと思う。
それでいい。じゅうぶんすぎるくらい、いい。
さて、ボーマルシェ大通りは、
古い庶民的な商店にまじって、
もともと中古カメラ屋、バイク屋なんか並ぶ、
庶民的かつマニアックな通り。
どちらも好きな人にはたまらんでしょう。
あれだけ米国が好きじゃないフランス人も
ハーレーダヴィッドソンは好きみたいで、
バイクおやじ(どの国もその風体はおなじ)たちが
わいわい楽しそうにしている。
中古カメラ屋も同じで、こちらは文科系おじさんたちが
(これまた印象はどの国も同じ)
うれしそうにしている。
前者は集団で、後者はひとりでというのがいちばんの違い。
そのマニアックな通りの先、111番地に話題の雑貨店
merciができたというので、
客層がずいぶん変化したらしいと聞き、
てくてく歩いて行ってみる。
‥‥たしかに。0Fのカフェ、いきなり客層が違う。
なにこの濃密なオシャレ具合は。
マレの上澄みをすくってここに置いた感じ?
店内はやけに暑くて汗をかいちゃったけど
3フロア、たっぷり楽しいものが並んでました。
買わないけど。これも5年前なら買ってたな。
やっぱりとしをとりました‥‥。
merciをあとにして、ぶらぶらとマレのほうに戻ったつもりが
どうも逆方向に歩いてたみたいで、
地図を見てたら「どうしたのー」と
こどもを肩車したおとうさんが助けてくれた。
マレどっちですかって聞いたら逆逆! と。
こっちのほう、やや右寄りに歩いてけばいいよと。
そういえば、地下鉄の駅で
同行のたかしまさんが地下鉄一週間定期
NAVIGOをつくりたいと窓口に行ったら、
ものすごく親切に手取り足取り教えてくれた。
なんか、変わった? パリ。
もともと一般的フランス人は親切でかわいい人たちだと
思っているけど、
公共施設の人はわりと無愛想だったように記憶してたので
なおさらびっくり。
引き返して、たかしまさんがドライヤーを買い、
ペットショップを見て、画材屋と楽器屋も見て、
ぶらぶら戻る。
すると前方に、頭をお団子にした初老男性と、
すらりと背の高いおしゃれな女性が。
見覚えがある‥‥と近づくと、
まさしくパトリックとリコちゃん!
リコちゃん!
リコちゃん!
アーティストのリコちゃんは、
今回は制作が忙しいので約束ができなさそうということで
会う予定は入れていなかった。
ただ、どこかで会うんだろうなと漠然と思ってたので、
「あ、やっぱり、いた」。
でも、うれしー。
これから一緒にパーティに行く?
と誘ってもらったけれど、なにしろ歩きすぎて疲れている。
明日ごはんでもと約束をして別れる。
いやはやびっくり。
会いたい人には会える運が、ぼくは強いと思う。
ポンピドーセンターまで戻って、
レ・アール駅(この駅だいっきらい)から地下鉄を乗り継いで帰る。
地元駅で、いつ通っても開いてないよさそうなワインショップが
開いていたので、入る。
ここでも店員のあんちゃんがえらく親切。
赤ワイン、ビオ、10から20ユーロの間で、
Bordeaux系のこっくりした感じと、
それとちょっと違う感じのものを選んで、
とお願いして、2本購入。
そして、ジュラのヴァンジョーン
(黄色いワイン)があったので
「わっ!」と驚いたんだけど、値段が66ユーロと聞き、
もういちど「わっ!」。これはものすごく高い。
ほかのワインがあまりに安いので、
12ユーロだって奮発した感じがするところ、
66ユーロというのは
「2万円」って言われているような気分。買えない。
あんちゃんも「ヴァンジョーンは35〜45ユーロくらいだから
これは特別に高いんだよ。
でもそれだけにものすごく希少でおいしい。
けど高いよね。ジュラが好きならこっちを試したら」と、
同じ作り手の、正確にはヴァンジョーンではないらしいが
とてもおいしいと。はいそれもください!
このワインに合うサラミとチーズもください。
家に戻って豚肉をオーブンで焼く。
包丁を入れてそこににんにくをぎゅっと押し込め、
塩、こしょう、ローズマリーをたっぷり。
250度のオーブンで30分‥‥では足りず、
切ったら中が生だったので、
オリーブオイルをフライパンにひき、ソテーに。
これが、もう、超絶おいしくできた!
炭水化物はやめましょうと、
サラダをつくって先に食べつつ、
ワインを1本半あけて夕食に。
そしてこのチーズとですね、サラミがですね、
ありえないくらいおいしかった。
値段すごいんだよ、安くて。
サラミはワイン屋のあんちゃんが
「独特の香りがするんだ。
‥‥ああ、英語じゃ言えない!」
と言っていたのだが、
食べて解った。腸と獣臭。
これは苦手な人は吐き出しちゃうだろうが、
なんてったってぼくは大好物。
この日は10時間以上歩いたので
さすがにくたくたになりばたんと就寝。
いい日だった。
これは帰路の夕焼け。夜9時。
オレンジジュースとバドワ(炭酸水)を割ったものを飲む。
ネクタリンとバナナを食べつつ
メールのやりとりを何通か。
サンマロに済んでいる知己のかたからお誘いメール。
「乗馬をするもよし、シーカヤックもできるし、
ナチュラルワインが揃ったビストロがあり、
パリの半分の値段で気楽に飲み食いできます。
カキは新鮮なので、年中楽しめます」
という言葉に魅かれて、どこかで一泊二日で行こうと決意。
7時すぎに小銭を持ってブーランジュリーへ。
クロワッサン、パン・オ・レザン、
パン・オ・ショコラを買う。
6個で7ユーロ20。
きのう買っておいた卵をオムレツにしようとして
バターを買い忘れたことに気付く。
醗酵バターッ! しまったーっ!!
でもまあ仕方ないので、
パセリの乾燥粉末と黒胡椒、
塩とミルクを加えてオリーブオイルでオムレツに。
IHヒーターってフライパンが振れないところが苦手。
クロワッサンは焼き立てほやほやではなかったが
もっちりとおいしかった。
パン・オ・レザンはなかなかの重量。
これでじゅうぶん。
ショコラはとっておく。
出かけるまでに「あまちゃん」を見ようと思ったら
国外からはNHKオンデマンドの
新規登録ができないと分かり落胆。
まあいいや。
地下鉄駅まで歩き、乗り継いで
シャトレ駅から歩いてポンピドーセンターへ。
昨年正月は3時間の滞在だったので
(乗り継ぎついでにマレまでごはんを食べに来た)
ポンピドーセンターは素通りしただけだったが
今回はじっくり見られる。
あっ、リヒテンシュタイン展やってる!
ただ20世紀前半の美術展示がクローズしており、
南館もやってないからか、
あるいはバカンスシーズンが過ぎたからか、
そんなに並ばずに入れた。
いい展示のときは入るのに1時間、切符買うのにまた並んで、
みたいになるからなあ。
入ってすぐに、年間パスの申請へ。
そのほうが安いからというわけじゃなく、
好きな美術館へのサポートの気持ち。
以前つくったときのデータがちゃんと残っててびっくり。
写真を撮り直されたがなにたいへんな下膨れに写った。
まあいいんだけど。
エスカレーターで4Fへ。
ここから見るパリの景色が好きだ。
ああ、来たなあって思う。
そして下を見ると、天気がいいので
日光浴をしている人たちがたくさん。
リヒテンシュタインはものすごい量だった。
もちろん知っていたしこれまでもいくつか見てきたが
「発明した手法にとらわれた人」
「ちょっとラクしたラッキーな人」くらいに思っていた
自分の無知、無教養を心から恥じる。
どれだけこの表現を突き詰めていたのかということが
膨大な作品、その設計図や指示書でわかる。
そして、自己模倣を避けながら挑戦を続けていたことも。
最後に「禅」に行ってしまったのは、
まあ‥‥それはそれで‥‥であるが、
ほんとうにすばらしかった。驚いた。
そして、チャーミング。この一言に尽きる。
20世紀前半の美術ファンとしては
5Fのクローズは残念だったが、
こういうことがあると
「また来よう」と思えるのがいい。
そう、また来ればいい。開いているときに。
そして60年代以降の美術は、
もうあらゆる表現がされ尽くされたあとの芸術の荒野で
それでも作品をつくることに取り憑かれた芸術家たちの
ヒリヒリとした葛藤が見える。たまらない。
歩き疲れたのでカフェでバドワとクロックムッシュ。
このクロックムッシュが、こんな食堂でどうしてというくらい
おいしいうえにでっかくて驚いた。
腹が一杯になってしまった。
なんだか勿体ない。
休憩後はミュージアムショップを見る。
5年前だったら狂気して買いまくっていただろう
アートグッズたち。
「いいんじゃない」と、やさしいまなざしで
流せるようになっている。
(つまり、なにも買わなかった。)
わたしもとしをとりました。
ほんとうならどこかでゴハンと思っていたのだが
クロックムッシュで満足してしまったので歩くことにする。
マレ方向にランビュトー通りをすすみ、
たくさんあるかわいい店を見ながら
ヴォージュ広場のほうへ。
その先、ボーマルシェ大通りに出る手前に
ライヨールの製品組合が運営している(らしい)
ライヨール製品のアンテナショップがあったはず。
‥‥あった!
調べて来たわけじゃないのでなおさら嬉しい。
前にここでナイフ2本を買って、
それを買い足したいと思っていた。
お店のマダムも同じひと。
ただし前は2本でも売ってくれたんだけど、
いまは6本セットなんだという。
ううむ!
6本‥‥6本‥‥。
そんなに客の来る家ではないのだが‥‥。
材質(カウホーンかバッファローホーンか)を聞き、
その色を見せてもらい、ためつすがめつ、決めた。
いいでしょう。買いましょう。
さらにバターナイフも2本ください。
リエットとかジャムとかにも使える。
さらに‥‥本当は、欲しいものがあった。
肉のかたまり肉を切る包丁とフォークのセットとか、
もちろん有名なソムリエナイフとかである。
でも、それは買わない。予算の都合じゃない。
次に来た時の楽しみにしたいから、とっておくのだ。
思いを残して立ち去ることが、
また会うための魔法。
じつは前に2本買ったのもそんな気持ち。
そのときはライヨールのことについて不勉強で
「ああ、フォークも揃いで買えばよかった」
なんて思ったのだが、それを「また来よう」に転嫁していた。
しかしながらフォークはつくっていないと知り、
そして、そうそう、ぼくはフォークは
なんたってプラハで買ったクリストフルがたくさんある!
あれと、これの組み合わせ、最高だと思う。
それでいい。じゅうぶんすぎるくらい、いい。
さて、ボーマルシェ大通りは、
古い庶民的な商店にまじって、
もともと中古カメラ屋、バイク屋なんか並ぶ、
庶民的かつマニアックな通り。
どちらも好きな人にはたまらんでしょう。
あれだけ米国が好きじゃないフランス人も
ハーレーダヴィッドソンは好きみたいで、
バイクおやじ(どの国もその風体はおなじ)たちが
わいわい楽しそうにしている。
中古カメラ屋も同じで、こちらは文科系おじさんたちが
(これまた印象はどの国も同じ)
うれしそうにしている。
前者は集団で、後者はひとりでというのがいちばんの違い。
そのマニアックな通りの先、111番地に話題の雑貨店
merciができたというので、
客層がずいぶん変化したらしいと聞き、
てくてく歩いて行ってみる。
‥‥たしかに。0Fのカフェ、いきなり客層が違う。
なにこの濃密なオシャレ具合は。
マレの上澄みをすくってここに置いた感じ?
店内はやけに暑くて汗をかいちゃったけど
3フロア、たっぷり楽しいものが並んでました。
買わないけど。これも5年前なら買ってたな。
やっぱりとしをとりました‥‥。
merciをあとにして、ぶらぶらとマレのほうに戻ったつもりが
どうも逆方向に歩いてたみたいで、
地図を見てたら「どうしたのー」と
こどもを肩車したおとうさんが助けてくれた。
マレどっちですかって聞いたら逆逆! と。
こっちのほう、やや右寄りに歩いてけばいいよと。
そういえば、地下鉄の駅で
同行のたかしまさんが地下鉄一週間定期
NAVIGOをつくりたいと窓口に行ったら、
ものすごく親切に手取り足取り教えてくれた。
なんか、変わった? パリ。
もともと一般的フランス人は親切でかわいい人たちだと
思っているけど、
公共施設の人はわりと無愛想だったように記憶してたので
なおさらびっくり。
引き返して、たかしまさんがドライヤーを買い、
ペットショップを見て、画材屋と楽器屋も見て、
ぶらぶら戻る。
すると前方に、頭をお団子にした初老男性と、
すらりと背の高いおしゃれな女性が。
見覚えがある‥‥と近づくと、
まさしくパトリックとリコちゃん!
リコちゃん!
リコちゃん!
アーティストのリコちゃんは、
今回は制作が忙しいので約束ができなさそうということで
会う予定は入れていなかった。
ただ、どこかで会うんだろうなと漠然と思ってたので、
「あ、やっぱり、いた」。
でも、うれしー。
これから一緒にパーティに行く?
と誘ってもらったけれど、なにしろ歩きすぎて疲れている。
明日ごはんでもと約束をして別れる。
いやはやびっくり。
会いたい人には会える運が、ぼくは強いと思う。
ポンピドーセンターまで戻って、
レ・アール駅(この駅だいっきらい)から地下鉄を乗り継いで帰る。
地元駅で、いつ通っても開いてないよさそうなワインショップが
開いていたので、入る。
ここでも店員のあんちゃんがえらく親切。
赤ワイン、ビオ、10から20ユーロの間で、
Bordeaux系のこっくりした感じと、
それとちょっと違う感じのものを選んで、
とお願いして、2本購入。
そして、ジュラのヴァンジョーン
(黄色いワイン)があったので
「わっ!」と驚いたんだけど、値段が66ユーロと聞き、
もういちど「わっ!」。これはものすごく高い。
ほかのワインがあまりに安いので、
12ユーロだって奮発した感じがするところ、
66ユーロというのは
「2万円」って言われているような気分。買えない。
あんちゃんも「ヴァンジョーンは35〜45ユーロくらいだから
これは特別に高いんだよ。
でもそれだけにものすごく希少でおいしい。
けど高いよね。ジュラが好きならこっちを試したら」と、
同じ作り手の、正確にはヴァンジョーンではないらしいが
とてもおいしいと。はいそれもください!
このワインに合うサラミとチーズもください。
家に戻って豚肉をオーブンで焼く。
包丁を入れてそこににんにくをぎゅっと押し込め、
塩、こしょう、ローズマリーをたっぷり。
250度のオーブンで30分‥‥では足りず、
切ったら中が生だったので、
オリーブオイルをフライパンにひき、ソテーに。
これが、もう、超絶おいしくできた!
炭水化物はやめましょうと、
サラダをつくって先に食べつつ、
ワインを1本半あけて夕食に。
そしてこのチーズとですね、サラミがですね、
ありえないくらいおいしかった。
値段すごいんだよ、安くて。
サラミはワイン屋のあんちゃんが
「独特の香りがするんだ。
‥‥ああ、英語じゃ言えない!」
と言っていたのだが、
食べて解った。腸と獣臭。
これは苦手な人は吐き出しちゃうだろうが、
なんてったってぼくは大好物。
この日は10時間以上歩いたので
さすがにくたくたになりばたんと就寝。
いい日だった。
これは帰路の夕焼け。夜9時。