旅人は主観でものを見るので、
当然のことながらいろんなことを見落とす。
それが旅というものなんだろうし、
住人ではないわけだから誤解も含めた解釈がある。
それはそれでいいのだと思うんだけれど、
なんかもったいないよなあとぼくは思う。
観光地や食文化や歴史はその街のベースであり
それをひととおり理解したうえでないと
いま生きている街のようすも
自分に入って来づらいんじゃないかと。
ざっくり下調べをしたうえで、
大都市だとまる3日、
小都市でもせめて1泊2日、
足が棒になるくらいとことん観光してからでないと
「こういう街なんだな」というのは
わかりづらい気がする。経験的に。
さらにその土地に友人ができるとなおいいんだけれど
それはもうほんとうにハードルが高い。
そもそも友人ってつくろうと思ってできるもんじゃないしね。
だいいち東京にだって自分の好みに合う
レストランを勧めてくれる友人が何人いるんだ?
そんな意味で今さらながら昨年行った
サンセバスティアンについて反省している。
なにしろビルバオから日帰り、というか半日もいなかった。
街をぶらぶらしてバルでピンチョスを食べ海辺を歩き
いくつか観光スポットを回って美術館に行った。
とても楽しかったけれど、印象は「品のいい熱海みたい」。
ピンチョスはおいしいけどでかすぎて
ハシゴするにはおなかがいっぱいになっちゃうし、
バルは雰囲気があるけれどこれならビルバオ(宿泊地)の
ローカルな食堂のほうがいいような気がしたし、
街を歩いて目立つのは観光客向けの土産物店ばかりで
なんだかなあと思ってしまった。
美術館での展覧会が「フェリーニ」だったのは拾い物、
そういうあたりは国際映画祭が開かれる
サンセバスティアンらしいなとは思ったけれど。
しかしその印象でサンセバスティアンを
「熱海」と言ってしまうのは愚行だったと思う。
なんたってレストランにしても、
The World's 50 Best Restaurantsで
3位と8位が
昨年につづいてこの街から選ばれている。
その店に行くかどうかは別として、サンセバスティアンは
「そういうレストランがある街」ということだ。
そういうレストランが誕生する「なにか」があるのだ。
それがなんだったのかがわからないままなのが
ひじょうにくやしい。
サンセバスティアンについて
関連書籍ないかなっていまAmazonで調べたら
高城剛さんが書いてるんですね。
読んでみようっと。