もうなんだか連日の観劇スケジュール。
ポカスカジャンライブ、初の欠席。
悔やまれるけど、すまん、
こっちをとらせてもらった、という記録です。
●カエターノ。
1996年に東欧を仕事で回ったとき
同行のカメラマンの大江さんが
小さなカセットデッキをもってきていて
夜になると部屋で不思議な音楽を聴いていた。
何語だかわからなかったその言葉は
とても甘く切なく、たとえばワルシャワの、
病院みたいなつくりのホテルにも、よく響いていた。
それが若かりしカエターノ・ヴェローゾの音楽だった。
東欧で南米の曲を日本人が聴いているというのは
かなり妙だけど、
東欧のことばもわからないぼくらにすら
明らかに異質な彼の音楽は、
もういっそ乱暴に「旅情」というひとくくりにしてしまうと、
けっこう悪くないものだった。
彼の歌声は、そのむちゃくちゃなスケジュールの
取材旅行でのかなりいい息抜きになっていたように思う。
いつも、それを聴きながら、夜食のチキンラーメンを食べて、
梅干しをかじり、そのうち音楽を聴きながら
うとうとと眠っていた。
その繰り返しだった。
40日間、一日の休みもなしで
ただひたすら観光地とホテルとレストランとショップを回る
ガイドブックの取材の旅っていうのは、
人が思うほど華やかなものではない。
東京国際フォーラムホールAで、
カエターノ・ヴェローゾの公演を見てきた。
もちろんカメラマンの大江さんを誘って。
そのころまだ小さかった大江さんちのひとり息子は
こんど中学受験だという。
そんなに経つんだ‥‥!
そりゃそうだ、もう9年なんだものなあ。
でもカエターノ・ヴェローゾは
ますますあでやかな甘い声で、
9年前の東欧のホテルと同じように
2005年の東京のホールを満たしていた。
5000人のファンを前にしたカエターノは
最後までほんとうにうれしそうに、
謎のダンスを踊りながら、歌をうたっていた。
ぼくらはカエターノ・ヴェローゾの音楽を聴くと
たぶん「かくん」と眠ってしまう
条件反射ができているのだと思う。
ほぼ全曲、夢の中で聴いていたから。
目覚めるとそこは、激しく埃っぽいワルシャワの朝でもなく
窓から何本もの塔が見えたプラハの朝でもなく
目の前にドナウ川が流れていた
ブラチスラバの朝でもなかったけれど。
‥‥と気取って書いてみたけど、
終演後はタイすきの「コカレストラン」で
立ち上がれなくなるまで食べました。
パクチーくさくなりました。うえっぷ。
●One Fine Day
大貫妙子さんのライブ@渋谷AX。
3バンド出る、FMのイベントだったんだけれど
仕事のスケジュールから、
最初からは無理だとわかっていたので、
最後の大貫さんに間に合うように行く。
噂に聞いていた「すごい一曲目」は
シュガー・ベイブのデビュー曲『いつも通り』。
あわわわわわ。びっくり。『都会』もあったし。
でも懐かしい曲ばかりというわけではなく
そのほかの曲は新作アルバム「One Fine Day」と
前作「NOTE」からを中心にしたもの。
「これが、一流のポップスってものよ」という
大貫さんの決意がかたちになったみたいな選曲。
そしてツインドラム、ギター、ベース、ピアノ、キーボード、
という編成は「音楽は人が大事。
音を奏でていない時のほうが大事なくらい、人が大事」
と言い切る大貫さんが、レコーディングで一発録りをするのに
集めたのと、同じメンバーだそう。
アンコールの『ただ』という曲が大好きで、
そしてそのときの大貫さんがとくにすばらしくて、
聴いていたらうっかり泣いてしまったんだった。
見られたかな?
終演後、おそくまでやってるゴハン屋を求めて麻布十番へ。
大貫さんのあとで、ラーメン1ぱいというわけにはいかんだろう!
じゃ、どこだ? ああ、そうだ、ここがあった、の店。
面白いサービス係、面白い料理長、
なによりも、うまい料理、そしてナイスな相棒。最高の夜食。
ダイエットするのでヘルシーに! とか言いながら
けっこうたくさん食べてしまいました。
でもおいしく食べたのでヘルシーさ、ということにした。
しかし驚いたのはサービス係の亜門
(宮本亜門に似ているので勝手にそう呼んでいる)が、
前回ぼくらが食べたものをきっちり覚えていたことだ!
食べながら泣いていたことも覚えられていた!
おそるべし!! ‥‥ていうか、やっぱり目立つか、それは。
なおわれわれの12皿の記録は塗り替えられていないそうです。
大食い自慢ではないんだけどなぁ、ぼくらはさぁ。
●P.W Baby's Paperback
耳のなかにセミがいる〜。そんな状態で眠りについたのは
かなり久しぶりですな。
気が狂ったわけじゃなくてですね、
久しぶりに大音量の、鼓膜びりびり系ライブに
行ってきたのでした。その残響。
ムーンライダーズ@渋谷AX。
結成29年目にしてまたさらに「突き抜けちゃった」かんじ。
あんたら何度突き抜ければ気が済むんだ!
というくらい毎度毎度突き抜けられておられる
50代のみなさまでございますが、
もう酔拳も免許皆伝になった師範クラスのかんじ。
毎度のことながらぼくはこのバンドについては
まともな文章が書けないんですが
まあとにかくすごくよかったってことです。
ヤッホーヤッホーナンマイダー。
終演後ごきげんでワイン飲みすぎたか、
ふだん飲まないので二日酔い。
●可愛げのある男。
やっぱりすごく面白かった『ナイン』。
別所哲也のグイードがどんどん成長しているのがすごい。
昨年から引き続き出演している女優陣は
もう完全に役のなかの人生を生きている凄みがあるけど
別所グイードは今年からの新キャスト。
もちろん先の大阪公演のときから
ちゃんとグイードだったのだけれど
「もっと!」と短い時間に努力を重ねてきたのだろうな。
ということで大阪に比べての東京の別所グイードは
「軽さ」の表現がさらりとできるようになっていて驚いた!
16人の女達を相手に「軽く」いられるというのは
つまり「可愛げ」を表現することで、
女達から「どうしようもない人‥‥」と
愛でられなければならない。
精神年齢が幼いのに肉体は大人なわけだから
具体的には「困った助平男」なわけなんだけど
それが下品さや不潔さという表現になってはいけない。
清潔で品良くかわいくなくてはならない。
そういうところもふくめて、別所グイードは
ほんとにグイードになってきている!! すごいなあ。
9歳のグイードが40歳の別所グイードのなかに
ちゃんと宿っていました。
「バンデラスにはおったけど
別所には9歳の男の子がおらんな」
と言ってた、あの大阪のおそろしいおばちゃんに
いまの公演を見せたい!!!
終演後、劇場に同伴してくださった美女と
ごはんを食べようということになり
白金高輪「福わうち」へ。
先にはじめていたおふたりに合流。
女性3、に、わたくし。ありゃりゃりゃりゃ。
僕ってば、美しい女性に囲まれて、プチ・グイード状態?
という感じに、決して、ならないのは、
みなさまの興味が食卓にあるからですね。
初対面の組み合わせが4人で3通りもあって
ミクシィのオフ会なのはまちがいないようでした。
●帽子とくつした。
帽子、かぶってる人多いなあ。
と、帽子を買おうと街をうろうろしてあらためて思った。
そういえば昨日「ナイン」の劇場でお会いした
IさんもIさんも(同じIさんだけど別人)
帽子をかぶっていたっけなあ。
ぼくは防寒とオシャレの意味で冬の帽子は
ニット帽やらいろいろ持ってるんだけど
夏の帽子というのを持ってない。
汗っかきだし、頭でかいし。
(顔がでかいんじゃないですよ、頭のハチがでかいの!
「ルチ将軍」と呼ばれた後ろ頭‥‥)
そして気のせいかもしれないが
キャップ(野球帽)がどうにも似合わないし
夏の帽子といってもカンカン帽もちょっとなあ、
もちょっとカジュアルなのないかなあと
春くらいから思っていたのでした。
なければパナマ帽か、と。
でもあんまりクラシックなのは
カジュアルウエアには合わせにくい。
で、きょう、原宿ならあるんじゃないかと
うろうろしてみて、若者の帽子率の高さに驚いた。
あれー、帽子ってこんなに
一般的なアイテムになってたんですね。
帽子専門店も数軒見つけたし
(しかし小さいのばっかり! けっ)
裏原宿の小さなアパレルのショウウインドウには
かなりの確率で帽子が飾られていた
(やっぱり小さいのばっかり! けっ)。
とはいうものの、なかなかこれぞというものがない。
ちなみに帽子って形によりこんなにあるんだけど
http://www.geocities.co.jp/Stylish/4051/zukan.html
原宿においては「似合えばいい」という感じみたいだ。
大学生のころぼくはソフト帽(中折)やチロリアンが好きで
ムーミン谷の人みたいな格好をよくしていたっけ。
そのときも帽子の歴史がどうのTPOがどうのとは
まったく思わなかったけど、そんなもんだろうなあ。
(ていうかいまだにそうだけど)
さていつもは歩かないキャットストリート、
10代のコドモばっかり‥‥のなかに
LANVIN en BLEUというブティックがあって
これはLANVINと提携した大阪のアパレルの
日本のみのカジュアルラインらしい。
ブランドに興味はなかったんだけど
そこで紙パナマを見つけて、
珍しくサイズもよかったのでそれにしました。
紺・白・グレイの太いボーダー柄で、
くたくたにしてもよさそうな感じです。
さて、キャットストリートを歩いたのは
別の目的もありまして。
パタゴニ屋(Patagonia)に行くのです。
こないだの京阪旅行で相棒が
ここのくつしたを自慢していた。
吸湿速乾性にすぐれたキャプリーンという素材で
蒸れないから靴擦れもしないしいやなにおいもない、
とにかくすばらしいのだと。
そもそも登山用品として開発されたんで
旅行で一日中歩き回っても大丈夫なんだと。
そんなくつしたがあるなら試さずにいられようか!
難点はヘビーデューティなのでしゃれっ気に欠けることです。
でもまあ、ノーデザイン的なところでOKでしょう。
と、長さ3種類を購入してきました。
ついでにジムで走る用のタンクトップをと思って
店員に訊いたら、すばらしく快適なのがあるという。
けれど、白で、薄いんだよ‥‥それでも試着してみたら、
やっぱり薄すぎてシャラポワになってしまった。
これはちょっと、どうかと思うんだよ。
快適なのはまちがいなさそうなんだけどねえ。