欲しくて欲しくて探したときは見つからなかった料理本が
ヤフオクで見つかった。大きな正方形の本で、
カラーで70品、料理写真は、それぞれ1ページを使い、
裁ち落としでどかんと、俯瞰で掲載されている。
別ページには、その1皿ずつについて、
かなりの情報量の文章が載っている。
しかしそれは著者本人の書いた文章ではなく、
徹底した取材に基づいた解説だ。
CDのライナーノーツみたいな?
でもライナーノーツって聞き手の主観が
そうとう濃いですよね。それともちがうんだよな。
ノンフィクション、ルポライティングに近い。
たぶん、いままで読んだ料理本のなかで、
つくるのに、もっとも時間と手間が
かかっているんじゃないかなあ。
まあ時間だけだったら撮影に
(春夏秋冬をくりかえして旬を追って)数年かける場合は
あるけれど、これだけの情報量を一人の人間から
引き出すのは、インタビューだけでも、
とんでもない仕事だったと、編集者として、
また書き手として想像する。
やれといわれたらそうとうな覚悟の要る仕事だ。
けれどもそのこぼれんばかりの記述のおかげで、
このすさまじい料理人のことを
すっかり理解した気になった。
ぼくはその料理人のことは、生前、お店で、
数度お見かけしたことがあるだけで、
話をしたことはないのだけれど。
さて、料理本なのだからその通りに作れるのか、というと、
なんとここには材料も分量も作り方も
一切書かれていないのだった。
そういう料理本なんです。つまり読書中は
「料理長の解説つきのレストラン」にいるような
気分なのだけれど、いっさい、食べるという行為を
排除した時間を過ごすのでありました。
とても奇妙で、そして楽しかった。
なぜか、おなかがいっぱいだ。
じゃあ彼の料理は絶対に自分に再現できないのか?
というと、否定はできない気がする。
おそらく、この料理人だったら
「できる人には、できるでしょう」と言うだろう。
受け取ったイメージを、
自分の経験や味覚で再構築できれば。
やってみましたよ。
蕃茄炒蛋。
見た目は合格なんだけど、味はすっかりちがいました。
そして書かれていたヒントをもとに挑戦した結果、
部屋中が煙だらけになり、
換気扇のフードがみごとに焦げた。
家庭それも集合住宅のキッチンでやるのは
なかなかたいへんなんだな。
これ、家庭料理なんだけどな。
不味かったのか? とんでもない、とても旨かった。
ごはんを2膳食べてしまった。
けれどもこの料理人の味ではないことを
経験からぼくは知っている。
だから次回また挑戦しようと思う。
でも自分の味はそれなりに好きだ。
それでいいのかな?
それでいいんだろうな。
ヤフオクで見つかった。大きな正方形の本で、
カラーで70品、料理写真は、それぞれ1ページを使い、
裁ち落としでどかんと、俯瞰で掲載されている。
別ページには、その1皿ずつについて、
かなりの情報量の文章が載っている。
しかしそれは著者本人の書いた文章ではなく、
徹底した取材に基づいた解説だ。
CDのライナーノーツみたいな?
でもライナーノーツって聞き手の主観が
そうとう濃いですよね。それともちがうんだよな。
ノンフィクション、ルポライティングに近い。
たぶん、いままで読んだ料理本のなかで、
つくるのに、もっとも時間と手間が
かかっているんじゃないかなあ。
まあ時間だけだったら撮影に
(春夏秋冬をくりかえして旬を追って)数年かける場合は
あるけれど、これだけの情報量を一人の人間から
引き出すのは、インタビューだけでも、
とんでもない仕事だったと、編集者として、
また書き手として想像する。
やれといわれたらそうとうな覚悟の要る仕事だ。
けれどもそのこぼれんばかりの記述のおかげで、
このすさまじい料理人のことを
すっかり理解した気になった。
ぼくはその料理人のことは、生前、お店で、
数度お見かけしたことがあるだけで、
話をしたことはないのだけれど。
さて、料理本なのだからその通りに作れるのか、というと、
なんとここには材料も分量も作り方も
一切書かれていないのだった。
そういう料理本なんです。つまり読書中は
「料理長の解説つきのレストラン」にいるような
気分なのだけれど、いっさい、食べるという行為を
排除した時間を過ごすのでありました。
とても奇妙で、そして楽しかった。
なぜか、おなかがいっぱいだ。
じゃあ彼の料理は絶対に自分に再現できないのか?
というと、否定はできない気がする。
おそらく、この料理人だったら
「できる人には、できるでしょう」と言うだろう。
受け取ったイメージを、
自分の経験や味覚で再構築できれば。
やってみましたよ。
蕃茄炒蛋。
見た目は合格なんだけど、味はすっかりちがいました。
そして書かれていたヒントをもとに挑戦した結果、
部屋中が煙だらけになり、
換気扇のフードがみごとに焦げた。
家庭それも集合住宅のキッチンでやるのは
なかなかたいへんなんだな。
これ、家庭料理なんだけどな。
不味かったのか? とんでもない、とても旨かった。
ごはんを2膳食べてしまった。
けれどもこの料理人の味ではないことを
経験からぼくは知っている。
だから次回また挑戦しようと思う。
でも自分の味はそれなりに好きだ。
それでいいのかな?
それでいいんだろうな。