朝食はホテル。ビアリッツはフランスなので
甘いパンとフルーツとコーヒーだよなぁ、
と、食堂に行ってみたらやっぱりそうで、
しょっぱいものが食べたいぼくはちょっとがっかり。
それでもクロワッサンやパンオショコラなど
いろいろ食べていたら、
奥のほうでしょっぱいものの気配がするじゃないですか。
行ってみたら、あるじゃないの、ハムもチーズも卵も!!
ということで朝食2回戦。
ゆで卵は自分で茹でる式でした。
ひじょうにじょうずにできました。
さて、ビアリッツから
サンセバスティアンのバスのチケットは
昨夜オンラインで購入し、
チケットはiPhoneにダウンロード済み。
いろいろ便利になったものよのう。
けれどもバス乗り場がわかりません。
とうのもこの街に大きなターミナルはなく、
どうやら路上のバス停から乗るらしいのです。
空港を通ることはわかっていたのだけれど、
隣国へ行くチケットが7ユーロなのに、
近くの空港までのタクシーが20ユーロというのは、
かなりもったいない。
調べてみたところ、宿から徒歩圏内に
バス停があることがわかり、
まだ時間があるので散歩がてら
シミュレーションをしてみることにしました。
最近のグーグルマップは「オフラインでも使える」機能があって、
事前にオンラインで地域の地図をダウンロードしておくと、
Wi-Fiや電話回線につながっていなくても使えます。
こりゃまたなんと便利な!
ぼくは地図があっても平気で迷う方向音痴ですが
(迷って楽しい! とかうそぶいたりする)、
そんなに遠くなかったこともあって無事到着。
ていうかここ、なんでもない街道沿いなんだけど!
ほんとにここ?! と疑わしくなるほどそっけないです。
でもまあ、一応時刻表は合ってるし、と、
宿に戻って荷物をまとめ、
上り坂をゴロゴロとスーツケースを転がして
ふたたびバス停に向かいました。
あったあった、ここだな。
ちょっと早く着いたのでぼんやりしていると
車に乗ったおじさんが停車して
「何を待っているのか」と。
ドノスティア行きのバスですよというと
「ほんとうにそこで大丈夫なのか」と心配そう。
わざわざ車から降りて表示を見て、
「ほんとにここなんだな、安心した」と去っていきました。
親切だなあ。
そのあとも年配のご夫婦らしきカップルが
「ここかな? ここだよね?」という感じでやってきたりして、
全体的に不安ではありましたが、
ちゃんと時刻表通りにバスはきました。よかった。
ガラガラの社内で快適なドライブ。
ヨーロッパは鉄道もいいんだけど
バスは荷物かかえて階段を上り下りしなくていいので楽。
これからの旅でますます活躍することになるでしょう。
年とってくからね。
渋滞もなく、フランスからスペインの国境をあっけなく越えて、
午後1時半にサンセバスティアンのバスターミナルに到着。
ここはさすがにバスターミナルがちゃんとあります。
なかなか機能的。
しかしチェックインは16時なので、
まずははらごしらえをしようと
ターミナルのおよそ半分を占めるほどでかい
バルでランチをとることに。
でかいわりにバルなので、
注文はカウンター越しで特に場所も決まっていないというおおらかさ。
でもこっちの人は待ってれば順番通りに注文を訊いてくれるから、
のんびり待っていればいいです。
現地集合だったはずの友人ふたりのうちひとりは、
往路便の日程と便が同じだったので(クラスは向こうが上)
呉越同舟。
アンガスビーフのハンバーガーと、
名前を忘れちゃったけど明らかにバスク語のプレート。
txという文字列があるからバスク料理に違いない。
ちなみにtxは「チ」と発音します。
takei(たけい)も、xを入れるとバスクっぽく
txakeiとなるけど発音は「ちゃけい」になっちゃう。
xを入れてどうする。
txaqueiにすればもっと無国籍っぽくなりますね。
無国籍にするなよ。
はたして、やってきた料理は、
じゃがいもとぶつ切りのチョリソの上に
半熟の目玉焼きがドーン! と乗ったもの。
お通しみたいに、txistorraという
バスクの細いソーセージをパンにのせたものをくれた。
これ、タダなのかー。
じつは後になって「今日は街をあげてのお祭りなので、
それにちなんだサービス」だったことがわかる。
そしてその謎のバスク料理は、
言ってみれば「居酒屋のおでん」的な
(そんなに高級感があるものではないという)
印象ではあるものの、たいへんおいしかったです。
アンガスビーフのハンバーガーも美味。
しかし超高カロリーだよなあ。
あっという間に食事を終えてしまって、
2時間ほどあったので、
ロッカーにトランクを預けてうろうろすることに。
外は、どうも民族衣装らしきものを着たひとびとが
大勢‥‥というか、ほとんど全員そうなんじゃない?
というような感じで街をうめています。
「そういえばAirbnbの貸主のマリアさんから、
きょうは市の祝日だから気をつけてね、
っていうメールがきていた」と。
何も知らなかったけど、この日は「聖トマスの日」という
バスクの人々が年で一番たのしみにしているという
お祭りの日で、街に昔ながらの農民の衣装を身に着けて集まり、
Txistorra(チストーラ)という、たっぷりのパプリカを入れた
豚の細いソーセージを食べる習慣があるのだそう。
さっきのバスターミナルのバルでくれたのも、それだったのか!
パンにはさむほか、とうもろこしの粉でつくったクレープ状の
(見た目はお好み焼きっぽい)生地Taloに挟んだりして、
街中でみんながもぐもぐ食べています。
みんなが飲んでいるのはTxakoli(チャコリ)という
バスクの微発泡ワインだと思う。
面白いのはこういう祭りに参加するのが
若い人が多いということ。
広場には食べ物や飲み物のテントがたち、
下は高校生くらいの子たちから
上は自分と同じくらいかなあ、
つまり全体的に若い感じの人々が着飾って
食べたり飲んだり。コドモもいっぱい。
これは想像だけど、この日に限っては若い子も
外でちょっと羽目を外しても怒られないんじゃないかな。
それにしてもみんな似合うね、ベレー帽。
あとで調べてみたら、
聖トマスの日である12月21日は、
むかし「税(年貢?)を納める日」だったそう。
街に出てきた農夫たちが一年の労をねぎらうのに
屋台がたくさん出て飲んで食べた、というのが
こんなふうにお祭りとして残ったみたい。
ことしも年貢が払えた、なんとか生き延びたなぁ、
みんな、よかったなぁ、というような
よろこびがあったんでしょうね。
ターミナルに戻って荷物を出して
タクシーで(歩けなくはないかもしれないけど、
この混雑のなか運ぶのは難儀と判断)宿へ。
「この先は祭りで通行止めだから」というところまで運んでもらい、
だんだん増えてきた酔っ払いの波を泳いで宿へ。
今回の宿は旧市街のどまんなか、
バルがならぶ繁華街にあるアパートです。
チェックイン。
過去の自炊旅でいちばんいい部屋かもしれない。
清潔で広いキッチンのあるLDK、
バスルーム2つ、ベッドルーム3つ。
3人なのでちょうどいい感じ。
荷物を置いてすぐに買い出し。
リュックを背負って、水やジュースやワイン、
肉、ハム、バター、塩こしょう、パスタ、卵、
野菜などを大量買いしました。
リュックをぱんぱんにして、
両手も荷物でふさがっていたので
まったく写真は撮れてないけど、
海沿いの街で、街灯がともり始めた
マジックアワーの景色のうつくしいこと。
あらためて撮れたらいいなあ。
しかし帰路はまた酔っ払いが増えていた。
騒ぐ声が大きくなり、割れたチャコリの瓶が転がり、
まだあんまりお酒を飲み付けていないらしい若者が
ふらふらご機嫌で歩いているが、
こういうのがケンカになったりすると怖い。
昼が重たかったので夜はなにも食べずに就寝することにして、
機内食から続いた暴飲暴食をちょっとリセット。
出発前にさくらラウンジで和朝食とカレーまで食べた後に
機内食が飯島奈美さんプロデュースの
「カジキのカツ丼」だったしなあ。
さらに途中でどらやきやパンが出て、
うどんですかいも食べ、
到着前に太平燕と焼きおにぎりが出たのでした。
調整しないとこの旅は太りますね。