キアンティのAntica macelleria Cecchiniの
ダリオ・チェッキーニさんが来日、
弟子であるリカルドさん、
トラットリア29の竹内悠介さんとともに
伊勢丹新宿店本館の屋上でイベントをするというので
出かけてきました。
その名も「肉のコースを楽しむスペシャルイベント」!
フィレンツェの店のようすは
TVで見たことがあるんだけれど、
ここは250年の歴史を持つ精肉店で、
厨房と食堂が併設されており、
大テーブルに座ったお客さんどうしで
大皿に盛られて次々と出てくる
前菜(ほとんどすべて肉)と炭火焼きのビステッカを
わっせ、わっせと平らげ、
ワインをぐびぐび飲む、というお店。
肉が焼き上がるとダリオさんがラッパを吹き鳴らして報せ、
説明をしてくれて、みんなで「肉バンザーイ!」と喜びつつ
とにかく喰う。喰いまくる。
炭水化物は、まあ、パンがあるっちゃるけど、
イタリアンのコースでは考えられないほど肉だらけ。
この日のメニューもこうでした。
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◎有機野菜のスティックサラダとチェッキーニの塩
◎キアンティのツナ(ツナに見立てた鶏肉)
◎牛すね肉のボッリートサラダ
◎沖縄産やんばる豚もものポルケッタ
◎肉屋の肉パテ パプリカとトウガラシのジャム
●アンガス牛ランプの炭火グリル
□パーネトスカーノ(オリーブオイルのケーキ)
○たっぷりのワイン
○チェッキーニのグラッパ
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前菜(◎)は大皿におしゃれ盛りなのかな‥‥
と思っていたら、それぞれ大皿でドーン!
ぼくらのテーブルは4人ひとくみ(基本は6人)で、
見知らぬ人たちとの相席なんだけれど、
この大皿ドーン! ですっかり仲よくなる。
共通の目的をもつ仲間になるんですね。
しゃべることは純粋に肉のこと。肉トーク。
調理は、前菜系は2日前に来日したスタッフのリカルド君が
トラットリア29の厨房に篭ってつくったものだという。
そしてメインの炭火グリルは、ほんとにその場で炭火焼き。
(その担当もリカルド君。)
屋上とはいえプレハブで建てたキッチン小屋のなかは
がんがん炎が上がり、
ゴーグルとマスクをしないとならないほど
煙が出ておりました。
ていうか、ここ伊勢丹の屋上だけど、いいのかなー。
訊いてみたらこんなことは伊勢丹史上初だそうで、
諸般の事情を考え出したら
「できない」となりそうなところを
なんとかかんとか実現に漕ぎ着けたのだそう。
「やっぱり来年にする?」というような案もあったなか、
「今朝到着したと思ったら今晩帰る」(ほんとです)
というくらい忙しいダリオさんが
それでも来日すると言ってくれたので
みんなでがんばって調整したのだそうです。
えらいっ!
料理はほんとうにほんとうのイタリアの味。
ツナみたいな鶏も面白いし(コンフィにしてから
あらためて新鮮なオリーブオイルでマリネしている感じ?)
サラダと言い張る皿はどう見ても肉料理で
牛すね肉を煮るときに入れたにんじんやセロリ、
たまねぎのとろりとしたソースにからめて食べる
生のにんじん、セロリ、たまねぎがユニーク。
(まねしようっと!)
ポルケッタは「これぞポルケッタ」。とくに皮!
こういうふうに豚皮を調理できるのはイタリア人だよなー。
パテはフランス的なものを想像していたら
まるでミートローフのようでもあり、
それを生のオレンジに、
赤くぴりっと辛いジャムで食べるというのは
とっても面白い。
そしてメイン(●)のグリルはもう言うことなし。
調味料はごくわずかで塩とオリーブオイルのみ。
4人でうまいうまいと平らげたら、
「おかわりいかがですか?」と言われて、
よろこんでお願いしたらこんどは6人分来ました。
食べたけど!
ケーキもがつんとイタリアの甘さ、
それをグラッパに浸して食べる背徳感。
もちろん食事とともに
マグナムボトルから手酌で飲むワインもよかったなぁ。
グリルで思い出したのはずいぶん昔に訪れたウルグアイ。
アサードという炭火焼きは、まさしくこれと同じ。
そっか、ウルグアイやアルゼンチンは、
スペインからだけじゃなくて
じつはイタリア移民が多いと聞く。
わかれの挨拶だけはイタリア語の
「チャオ!」が定着しているほどだから、
ウルグアイのアサードは
スペイン系ではなくイタリア系なんだろうな。
なんてことを考えてみたり。
隣席のご夫婦ともたのしく話しながら思ったのは、
ここって客筋がいいなぁ。
トラットリア29のファン、ダリオさんのファン、
そして伊勢丹のファンで肉好きの殿方とご婦人。
ちゃんとオシャレして集まって、ノリもよくって。
最後はオペラのように「ブラボー!」が出ました。
これで10001円(謎の価格)は適正どころか安価。
いやあびっくりした。こんなイベントが成立するとは!!!
竹内さんみなさんおつかれさまー!