25日の夜というか26日の超早朝(01h30)発の
JAL羽田便に乗り、
強い向かい風でがたがた揺れるなか30分遅れで
同日早朝のパリCDGターミナル2Eに到着。
機内での和定食は美味しかったけど、
空調の具合か、寝苦しくて寝汗をかいてしまった。
機内ではかしぶち哲郎さんの音楽をシャフル。
追悼の気持ちより大きく、彼の音楽性にあらためて感動。
「ああ、ヨーロッパに行くんだ」という感じも
ふつふつと沸いてくる。
CDG到着。スムーズに荷物も受け取り、構内へ。
鍵の受け渡しまでに時間があるので
2時間ほど時間を潰すことに。
出発階のPAULに移動して、パン・オ・ショコラとカフェオレ。
文藝春秋を読んでいたらあっという間に時間が過ぎ、
慌ててタクシーで市内へ向かう。
ひとのよさそうな運転手さん、
しずかにラジオをかけながら高速をとばす。
下の道に降りると、ちょっと見慣れた風景。
なんども通っているうちに記憶に定着してきたんだけど、
なにしろ方向音痴なものだから、
いまどこを走っているのかはよくわからない。
地図で見るとこんな感じ。
大きな地図で見る
今回のアパートは3区のシャポン通りで、
ポンピドーセンターまで徒歩5分という立地。
最寄り駅はランビュトー。
ふつうのアパートなので玄関はわかりにくいが
番地の前で無事に
日本語の堪能なヤンさんという
フランス人青年担当者の出迎えを受ける。
日本語ほぼ完璧。でも日本に行ったことはなく、
来年はじめて大分(おおいた)に行くのが楽しみだという。
大分いいところですよ! 温泉もあるし食べ物もいいし。
なんて話をしつつ部屋を確認。
すばらしい。
大きなアメリカンタイプ(だそうだ)の
システムキッチンのついた
南向きのリビングダイニングキッチン、
2ベッドルームにそれぞれクイーンサイズのベッド。
4〜5人泊まれそうだが、そうなると狭そうではある。
同行者と2人でちょうどいい感じ。
ほどよくプライベート感もある。
暖炉(使われてはいない)もあるし壁のアートもいい感じ。
荷物をほどいて、出かける前にシャワーを‥‥と思ったら
お湯が出ない!
どこかにボイラーのスイッチがあるんじゃないかと思うが
たいへんきれいに隠されているようでわからない。
ヤンさんに電話をすると、
すぐに技術のものを派遣させます、
もしボイラーがダメになっていたら
すぐ部屋を変えますという判断。
判断がすばらしく迅速なことに感心しつつも、
部屋を移るというのも面倒なのでぜひ直ってほしいところだ。
10分もしないうちにバイクで工事のおじさん来訪
(なにこの早さ!)、
キッチンの天井近くの隠し扉みたいのを開けて
なにやらいじって(たぶんバルブを開けた)、
ボイラー設定完了。
2時間すればお湯が使えるというので
シャワーは諦めて食材を買いに出ることに。
近くに大型スーパーがありますよというので
ボーブール通りに出て南下、
エチエンヌ・マルセル通りを西に向かうと
右手にフランプリ発見。
ひととおり揃ってはいるが、いまいち。
調味料と油と塩を買い、
パンや生鮮品はもうちょっとマシなところでと思い
さらに西へ行くとおいしそうなパンを持った人と
何人かすれ違う。
これはあっちになにかある!
とさらに進むと、モントルゲイユ通り商店街を発見。
肉屋、八百屋、パン屋、なんでもあるー!
そして事前にジャンポール兄さんに教えてもらった
「An incredible "épicerie"」であるという噂の
G detouという店も、通りの手前左側を折れたところに発見。
製菓材料と乾物(瓶詰や缶詰)の店らしく、
兄さんにはここで「pâte feuilletée」(パイ生地)を
買うようにと言われていたが、
なんとなくそういう気分でもなく
(パイ生地を使ってなにかしたいという気分じゃないという意味です)
バスクのパテの缶詰めやチョコレート、
はちみつ飴、バニラビーンズなどを適当に買ってみる。
業務用っぽい店なので、食材のラベルがとても素敵。
モントルゲイユ通りに戻り、パンとサンドイッチ(昼用)、
ハム、チーズ、野菜を適当に買う。
当座のものだけで、そんなにいっぱい買わない。
まあまだ年末の店じまいまでには大丈夫だろうと踏んでいるのだが
明日あたりはちょっと買いだめモードに入ったほうが
いいのかもしれない。
それにしてもいずれの店も親切で買い物しやすい。
溜まった小銭は八百屋のすばらしいレジで
(お金は機械に自分で入れる。そこで小銭が一気に消費できる)
じゃらじゃら状態解消。
戻る途中、エチエンヌ・マルセル通りの反対側に
G20という比較的マシな
チェーン系スーパーマーケットがあることがわかる。
フランプリよりこっちのほうがよさそうだ。
部屋に戻って、ルッコラとラディッシュで
かんたんにサラダをつくり、
ハムとチーズのサンドイッチに追加して食べる。
‥‥ものすごくおいしい。
パンの香りって、これですよ!!!
東京のパンはすさまじく進化し美味しくなっていると思うが、
それでも東京でパンを食べる機会は多くないぼくが
パンだけで大丈夫! と思えるおいしさ。
ああ、パリに来た。また来れた。
シャワーのお湯も出たので
部屋を移る必要がないことがわかり、
あらためてちゃんと荷ほどき。
収納が多いのでとにかく全部ほどいて詰める。
こんなにシャツいっぱい持ってきてどうすんだ、
という量にあきれる。
だって着替えたいんだもの。
さてどうしようか。
ワインを買いに行こう。
ということで近所の酒屋ではなく、
9月に行って「さいこう‥‥!」と感動した
モンパルナス墓地の南側、ダゲール通り商店街にある
la cave des papillesという店へ、
わざわざ地下鉄に乗っていく。
最寄り駅はラスパイユで、
エチエンヌ・マルセルから14号線で1本で行ける。
モンマルトルの北側の
ラマルクコーランクールに泊まっていたときは
どこに行くにも乗り換えだったので
この立地のよさに感動しつつ向かう。
駅でNAVIGOにチャージ。
前は使えたクレジットカードが使えなくなってる。
ICチップつきじゃないとダメらしい。
持ってないんだよなあ。今回は現金生活だなあ。
(紙幣受け入れ可のマシンがあったから大丈夫でした。)
さてla cave des papillesに行く前に
ラスパイユに来たらここでしょう、と、
Fondation Cartier pour l'art contemporain
(カルティエ現代美術財団、のミュージアム)へ。
http://fondation.cartier.com/
ラテンアメリカの写真展をやってる。
写真家の写真展ではなく、
「写真的表現」を通して見るラテンアメリカの現代、
というようなけっこうシビアな展覧会。
ラテンアメリカ出身の写真家やアーティストによる作品は、
圧制だったり独裁だったりという政治的な時代背景と、
先住していたいろいろな民族へのまなざしを含め、
「自分たちはどこから来たのか」という根源的な問いと、
そして「カメラ」を筆のように使う、その独特な感覚、
(写真的な写真を撮るというより、アートのための絵筆感覚)
さらにどうしようもなくにじみでる「貧困」と「欲望」が
もうごった煮のカオス。
これヨーロッパの人たちってどんな感覚で見るんだろう?
現代の日本人にはちょっと想像がむずかしい。
作家たちにインタビューした長いドキュメンタリー・フィルムも
(1時間半くらいあったような気がする)
ちゃんとぜんぶ見て、くたくたになりました。
個人的にはキューバのCarlos GARAICOAという作家を
知ることができたのがとてもよかった。
さてさてやっとla cave des papilles。
自然派ワイン好きの聖地、と噂されているが、
そんなに気張った感じではなく、
狭いなかやたらとぎっしりワインが並ぶ
倉庫のような(CAVEですけど)店。
珍しいジュラの赤を、ジャケ買いで2本、
●L'Ingénu Pinot Noir 2012
●Les Insouciantes 2012
ジュラといえば黄(黄ワインというのがあるのです)だが
目にとびこんできたのでこっち!
ほんとはその足でLE SEVERO(というビストロ)に行きたかったのだが
初日だし移動の疲れもあってやめることに。
せめて併設の肉屋で肉を買おうかなと思ったら、
残念ながらどちらも閉まってました。
年末年始ずっとかなあ?
張り紙がなかったのでわからないんだけれど。
メトロのムートン・デュヴェルネ駅まで歩いて
来たときと同じ14号線で帰宅。
昼と似たようなサラダ(チコリとトマトが入ったのが変更点)、
買ってきたバスクのパテの缶詰、ハム、チーズなどを
パンに挟んでもそもそと食べつつ、
ひとりL'Ingénu Pinot Noir 2012を1杯だけ。
このままでもじゅうぶんおいしいけど
明日にはまた味が変わってる気がするので楽しみです。