8月30日はゴリちゃんの命日。
その前の土曜日にゴリちゃん家に伺って
お線香あげてきました。
おとうさん、おかあさん、おばさんたちといっしょに
お酒を飲んでおすしをつまんで、
揚げたての精進揚げや、
ゴリちゃん家定番(たぶん)のおそうざいをいただいて。
ぼくは仕事をする前のゴリちゃんのことは知らないし、
おとうさんたちは仕事をしているゴリのことは知らない。
こんなことがあった、あんなことがあったと、
情報交換会みたいな楽しい会。
たくさん思い出話をしたなあ。
たっぷりおいしいものを頂いて、
ひとしきり盛り上がり、笑い疲れた頃に、
おかあさんが、ぽつり。
「親より先に死ぬっていうのは
どんなに親不孝なことかと思ったけれど、
4年経って、考えが変わったのよ。
これからの私たちの人生は、
ずっとヒデ(ゴリちゃんのこと)といっしょなんだ、
っていうふうに思えるようになったのね」
そして、居間を見下ろす位置に掛けられた遺影を見て、
おとうさんが、ひとこと。
「ヒデに、会いたいなあ」
ぼくも会いたいです。
とても会いたい。
後日、おかあさんからお礼状が届く。
封筒の裏の差出人のところに
「ゴリママ」
と書いてあった。
また来年伺いますね。
●
小松で見つけて京都で買った器が
展示の会期を終えて届いた。
岡田直人さんの大皿。
とてもかたちがいいので
何枚かあったらと思ったのだけれど、
届いてみたらひじょうにでかい。
わかりにくいのでマグカップを置いてみると、
こんな感じです。
「これ、一日の仕事を終えて、
残った土で、えいやっと作ったら、
“できちゃった”ものなんです」
と、岡田さん。
同じものをまた作るということが
(いまのところ)できないのだそう。
量産をするには「設計図」のようなものが必要で、
ろくろ、焼成、釉薬、それぞれに「こうすれば、できる」
というルール作りが大事。
それなしで作り始めても、ばらばらのものになったり、
B品だらけになってしまうそうだ。
とくにこの皿は高台(こうだい。接地する部分)がないので、
焼いているうちに自重でたわみ、
「独楽」のような底になってしまう可能性があるらしい。
これから同じかたちのものがもし定番的に
つくられていくことになれば、
これがプロトタイプ。名誉ある一点もの!
●
その器に最初に盛りつけたのが
大盛り4人分のたらこスパゲッティ。
わが家で同僚であり友人の山下さんの生誕50年祝いの会。
といっても豪華なものではなくて
参加者は中年男4人、
お祝いが目的のようでいて、
じつは誕生祝いにかこつけてメシを、
という、そんな会です。
せっかくなので新しい料理に挑戦しようかとも思ったんだけれど
家に初めて招くメンバーなので、ここは安牌に。
セビーチェ、きのこのマリネ、
ローストポーク、たらこスパゲッティー。
それから買ってきただけの生ハム、サラミ、
フルーツ、デザート。
定番ながら調理法はちょっとアレンジしてて、
セビーチェの酸味はライムじゃなく、酢橘をたっぷり。
(青臭いくらいの柑橘系だったら合うはず!)
辛味は青唐辛子じゃなくて、「かぐら南蛮」という、
見た目はピーマンにしか見えない新潟産の唐辛子を
うんと細かく刻んで入れました。
どちらも、ただの思いつき。
たまたま八百屋さんで安かったから
(あとライムはまず国産を見ないし)。
和風になっちゃうかな? と思ったけれど、
あんがい、ならなかった。
ちゃんと中南米風に仕上がりました。
きのこは、エリンギ、しめじ2種、
大きななめこ、まいたけなど、このごろ安くなってきた、
ごくふつうのものばかりなんだけど、
バター少し(香り程度)とオリーブオイル、にんにく、唐辛子、
そして塩とアンチョビで味をつけました。
ストウブ(でっかい重たい鍋)でじっくり火を通したので、
くたくた、でも食感はちゃんと残る仕上がりに。
アンチョビを隠し味に使うと、味に深みが出るなあ。
ローストポークは、骨付きリブロース1キロの塊に、
3ヶ所に切り込みを入れて、
つぶしたにんにく、塩、胡椒(ホール)、ローズマリーを詰め、
外にフレンチバスクの調味塩(美味いんだこれが)をすりこんで、
天板にローズマリーを敷いて、
じゃがいもとともにオーブンで焼いた。
加熱終了後、そのままオーブン内に放置してたので、
ほんのちょっと火が通りすぎちゃった。
端はそぎ落として、ジューシーなまんなかの部分だけ出しました。
セビーチェはペルー×日本、
ローストポークはバスク×ルーマニア、
旅の成果はこんなところにあるのかもと
いまさらながら思いましたです。
あ、こんなにパスタが好きなのに
イタリアは行った事ないんだよな。
ところで作ってもてなすと
バタバタしてて写真が撮れなかった。
客人の酒井田さんが撮ってくれたものを
アップしておきますです。
▲盛りつけたローストポーク。器は三谷龍二さん。 ©2012sakaida_design
▲テーブルに置くと大きく見えないけど、大盛り4人前です。 ©2012sakaida_design
▲にんにくとローズマリーが埋まってるのわかるかな? ©2012sakaida_design
▲牛刀は切りやすいなあ。 ©2012sakaida_design
▲これは自作写真。セビーチェ。残り物を翌日撮影したものです。
▲これはきのこのマリネの残りを使ったリングイネ。あさり入り。
その前の土曜日にゴリちゃん家に伺って
お線香あげてきました。
おとうさん、おかあさん、おばさんたちといっしょに
お酒を飲んでおすしをつまんで、
揚げたての精進揚げや、
ゴリちゃん家定番(たぶん)のおそうざいをいただいて。
ぼくは仕事をする前のゴリちゃんのことは知らないし、
おとうさんたちは仕事をしているゴリのことは知らない。
こんなことがあった、あんなことがあったと、
情報交換会みたいな楽しい会。
たくさん思い出話をしたなあ。
たっぷりおいしいものを頂いて、
ひとしきり盛り上がり、笑い疲れた頃に、
おかあさんが、ぽつり。
「親より先に死ぬっていうのは
どんなに親不孝なことかと思ったけれど、
4年経って、考えが変わったのよ。
これからの私たちの人生は、
ずっとヒデ(ゴリちゃんのこと)といっしょなんだ、
っていうふうに思えるようになったのね」
そして、居間を見下ろす位置に掛けられた遺影を見て、
おとうさんが、ひとこと。
「ヒデに、会いたいなあ」
ぼくも会いたいです。
とても会いたい。
後日、おかあさんからお礼状が届く。
封筒の裏の差出人のところに
「ゴリママ」
と書いてあった。
また来年伺いますね。
●
小松で見つけて京都で買った器が
展示の会期を終えて届いた。
岡田直人さんの大皿。
とてもかたちがいいので
何枚かあったらと思ったのだけれど、
届いてみたらひじょうにでかい。
わかりにくいのでマグカップを置いてみると、
こんな感じです。
「これ、一日の仕事を終えて、
残った土で、えいやっと作ったら、
“できちゃった”ものなんです」
と、岡田さん。
同じものをまた作るということが
(いまのところ)できないのだそう。
量産をするには「設計図」のようなものが必要で、
ろくろ、焼成、釉薬、それぞれに「こうすれば、できる」
というルール作りが大事。
それなしで作り始めても、ばらばらのものになったり、
B品だらけになってしまうそうだ。
とくにこの皿は高台(こうだい。接地する部分)がないので、
焼いているうちに自重でたわみ、
「独楽」のような底になってしまう可能性があるらしい。
これから同じかたちのものがもし定番的に
つくられていくことになれば、
これがプロトタイプ。名誉ある一点もの!
●
その器に最初に盛りつけたのが
大盛り4人分のたらこスパゲッティ。
わが家で同僚であり友人の山下さんの生誕50年祝いの会。
といっても豪華なものではなくて
参加者は中年男4人、
お祝いが目的のようでいて、
じつは誕生祝いにかこつけてメシを、
という、そんな会です。
せっかくなので新しい料理に挑戦しようかとも思ったんだけれど
家に初めて招くメンバーなので、ここは安牌に。
セビーチェ、きのこのマリネ、
ローストポーク、たらこスパゲッティー。
それから買ってきただけの生ハム、サラミ、
フルーツ、デザート。
定番ながら調理法はちょっとアレンジしてて、
セビーチェの酸味はライムじゃなく、酢橘をたっぷり。
(青臭いくらいの柑橘系だったら合うはず!)
辛味は青唐辛子じゃなくて、「かぐら南蛮」という、
見た目はピーマンにしか見えない新潟産の唐辛子を
うんと細かく刻んで入れました。
どちらも、ただの思いつき。
たまたま八百屋さんで安かったから
(あとライムはまず国産を見ないし)。
和風になっちゃうかな? と思ったけれど、
あんがい、ならなかった。
ちゃんと中南米風に仕上がりました。
きのこは、エリンギ、しめじ2種、
大きななめこ、まいたけなど、このごろ安くなってきた、
ごくふつうのものばかりなんだけど、
バター少し(香り程度)とオリーブオイル、にんにく、唐辛子、
そして塩とアンチョビで味をつけました。
ストウブ(でっかい重たい鍋)でじっくり火を通したので、
くたくた、でも食感はちゃんと残る仕上がりに。
アンチョビを隠し味に使うと、味に深みが出るなあ。
ローストポークは、骨付きリブロース1キロの塊に、
3ヶ所に切り込みを入れて、
つぶしたにんにく、塩、胡椒(ホール)、ローズマリーを詰め、
外にフレンチバスクの調味塩(美味いんだこれが)をすりこんで、
天板にローズマリーを敷いて、
じゃがいもとともにオーブンで焼いた。
加熱終了後、そのままオーブン内に放置してたので、
ほんのちょっと火が通りすぎちゃった。
端はそぎ落として、ジューシーなまんなかの部分だけ出しました。
セビーチェはペルー×日本、
ローストポークはバスク×ルーマニア、
旅の成果はこんなところにあるのかもと
いまさらながら思いましたです。
あ、こんなにパスタが好きなのに
イタリアは行った事ないんだよな。
ところで作ってもてなすと
バタバタしてて写真が撮れなかった。
客人の酒井田さんが撮ってくれたものを
アップしておきますです。
▲盛りつけたローストポーク。器は三谷龍二さん。 ©2012sakaida_design
▲テーブルに置くと大きく見えないけど、大盛り4人前です。 ©2012sakaida_design
▲にんにくとローズマリーが埋まってるのわかるかな? ©2012sakaida_design
▲牛刀は切りやすいなあ。 ©2012sakaida_design
▲これは自作写真。セビーチェ。残り物を翌日撮影したものです。
▲これはきのこのマリネの残りを使ったリングイネ。あさり入り。