東京では2012年春夏物が店に並び始めたところだというのに
パリはすでに次のファッションウイーク。
2012−2013年の
秋冬物のコレクション(男服です)が発表されました。
早いなあ。
年に2回のコレクション、その準備を考えたら
「次をどうするか」の「次」はずいぶん先に思えるけど、
もしかしたら政治よりも経済よりも先に
「世界を変える」ことへのアンテナは鋭敏なひとたちなのかも。
ファッションデザイナーって。
彼らのつくるものには女服と男服があるわけだけど、
デザイナーにはもしかしたら「女服」のほうが
勝負なんじゃないかと思うことがある。
女服のほうが、世界の表面に出るから。
なんだかんだ言って、ビジネスや政治の世界で仕事着として
パリのメンズコレクションに登場するような服を着る人はまずいないわけで、
ハイファッションは男の日常着になりにくい。
オフのときでもそうだろうね。
夜、レストランに行くのにそういう格好に着替える人は
ほとんどいないと思う。
けれども女性はそれをする。
もちろんみんながみんなってわけじゃないけれど、
女性のおしゃれ(おしゃれな女性)は街の風景になり、
それは都市の、世の中の見え方そのものなわけで、
だとすると女性がなにを選ぶか、なにを着るか、どう着るか、
そこから世界を変えられる可能性はあるわけだと思う。
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そんなことをぼんやり考えつつ
2012秋冬メンズコレクションをサイトで見る。
個人的にうれしいのは、
オーバーオールに続いてサスペンダーの復活。
サスペンダー好きとしては、
ベルトがきついデブのマストアイテムみたいに
思われているのが非常にくやしいうえに、
なかなかかわいいサスペンダーってないんですよ。
サスペンダーができるパンツ(ズボン)も要るし
その組み合わせがいい、ってなると、絶滅種。
そもそもジャケットに隠れちゃうものだから
派手でいいと思うんだけどねー。
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モデルさんてただのマネキンじゃなくて
コンセプトを表すのにすごく重要、のはずなのに
わりと「ああ、きれいですね」なモデルを使うデザイナーが多い中、
◆Henrik Vibskov
◆Walter Van Beirendonck
◆Martin Margiela
◆Alexander McQueen
◆Dries Van Noten
◆Yohji Yamamoto
◆COMME des GARÇONS HOMME PLUS
◆JUNYA WATANABE MAN
◆Umit Benan
◆Marc Ascoli
は、そのあたりまで、すごく考えている感じがする。
とくに川久保さんの、少女のような少年たち、
淳弥さんの、あえて都会的ではないうえに
髭のせいで顔がでかく見えるおじさんはすごい。
さてさて、現在に戻って、ことしの春夏物のCOMME des GARÇONS 。
先週のJWMにつづいてベーシックなHOMMEを見てきた。
ベーシックといってもコム デ ギャルソンにおけるベーシックなので
やっぱりちょっと変わってる。
パッカリングという「縫い縮み」を
わざとほどこしたスプリングコートやジャケット、
迷彩を部分的にあしらったシャツやブルゾンなどが並んでた。
とてもいい。とてもいいんだけど、個人的には欲が出て、
アウターは毎シーズン提案があってもいいと思うけれど、
「もっとベーシックで、もっと個性的な定番のインナー」がほしい。
それも、シャツだなあ。
一見、なんでもないオックスフォードのボタンダウンなのに、
縫製やパターンが徹底的に考えられていて、
しかも、すごく着やすいものとか、
(Thom Browneの、Black Fleece Button-Down Oxford Shirtみたいな?
それでいいじゃん、という気もするけどね)
あるいは白いTシャツとしても着られる
上質な綿のインナーとか、
絶対やんないだろうけど穿きやすいニットトランクスとか。
もっと欲をいうと、
セミオーダーメイド的なことができるといいのに。
ぼくは首が太いわりに背はひくいので
シャツを首で合わせると袖と裾が長くなる。
袖と裾で合わせるとネクタイができない。
まぁ、ただの、わがままなんですけれど‥‥。
(ちなみに、お直しはしてくれますが、首を太くっていうのは
さすがに無理。)
まあ、昨今の首細男子にはなあ、
ちょうどいいんだろうけどなあ。
しかしだな、あの通勤男子の
ぺらぺらのジャケットに
魔女みたいに先の尖った靴を履く流行、
まだ続いているみたいですね。
あれいったいなんなんだろう。
カジュアルすぎる髪形をスーツに合わせるのも変だけど、
せめてあの靴だけはなんとかしてほしいなあ。
若い女子の車輪つきキャリーバッグとともに絶滅希望。