もう東京におります。述懐。
1月7日、暗いうちに起きて、残ったパスタで朝食。
生ハム切り落としを細かく刻み(硬いから)、
ピメントを鋏で細かくしたものと、
にんにく、千切りのじゃがいもを入れて
ちょっとオリーブオイルを足してよく炒める。
残ってたシードルと、
JALの機内食でもらっておいた
ちいさなしょうゆがあったので入れる。
しょうゆは、生ハムの奥に隠れた。
隠し味だからこれでいいのだ。
こちらのシードルはちょっと香りが独特で、
料理にはたぶん合わない。
主張が強くてぜんぜん隠れてくれなかったので
煮詰めて匂いを飛ばしました。
にんにくがんばれ。
荷造りは昨晩済んでいたので、
食材や食器などの片づけをして、
部屋を8時半にチェックアウト、
ビルバオ空港までタクシーで15分くらい。
早い。
ローカルのちいさな空港。
出発ロビーにさっさと入りカフェコンレチェと、
オムレツをのせたパン(これもピンチョ?)
あと、カスタード風味のタルトを食べる。
エールフランスのビルバオからの便は
シャルル・ド・ゴール(CDG)ターミナル2Gに着く。
予定到着時刻は12時。
そして日本へのJAL便は18時すぎに出る。
ということは、チェックインする16時までには4時間ある。
JALに問い合わせたところ
カウンターが開くのは3時間前、つまり15時ということだから
それまではでかい荷物を抱えて空港のチェックイン前のところで
うろうろしていなければならない。
航空会社のラウンジも、チェックイン後になるから使えない。
‥‥じゃ、パリ行くか?
ということにしていたのでした。
いろいろ考えたんだけど、
●1日ビルバオを短くして前日にパリ入り、1泊する案
→前日にするとフライトがひとり6万ちかい追加金に。
しかもパリの空港のシェラトン、300ユーロから。
ビルバオの宿代は戻らないし、こりゃ無駄が大きい。
●当日7時すぎの早朝便でパリに行く案
→ひとり1万円の追加金で済むが、それももったいない気が。
チェックアウトのときにフロントが無人。
前日に対応してくれるとのことだけど、タクシーも含めやや不安。
じゃあ当初の予定通りにして、できる範囲でできることをしよう、
ということになったのです。
パリにはともだちのリコちゃんが住んでいる。
短時間だけ訪問するけどつきあってくれる?
と、前々日にその可能性についてメールしたら
大歓迎! とこと。
あとは実行あるのみ。
予定通り12時に着いたとして、
荷物ピックアップするのになんだかんだ30分、
そこからあのばかでっかいCDGで荷物預けを探して預けて、
パリ市内に出る‥‥
というのを、タイムレースでやるわけだな。
ざっくり考えて13時半くらいには市内に着くかな、ということで
リコちゃんが、パリでかならず一緒に行くビストロを
14時に予約してくれた。
空港のHPで調べたら、CDGの荷物一時預けは、公的なものはなく、
民営のBagages du Mondeという会社の窓口に預けることになるという。
料金は6時間まで手荷物ひとつ6ユーロ、
場所はターミナル2の、
「TGV-RER train station level, in front of Sheraton Hotel」
ということなので
まあ、わりとわかりやすいだろう。
空港のシェラトンを目指せばいいんだから。
飛行機は予定通り着陸したものの、
降りるのにけっこう時間を要し、
バスもなかなか発車せず、
荷物が出てくるのも時間がかかったが、
ターミナルを移動する無料バスに乗って
TGV-RER の空港駅で降りて、地下の
Bagages du Mondeまではスムースに行けた。
リコちゃんへのお土産(スペイン食材。
もちろんあらたに買ったものだけど、
残った食材もぜんぶ引き取ってくれるというので!)
をトランクから出す。
へたれラップでぐるぐる巻きにしておいた
オリーブオイルなども漏れてなくてよかった。
これ漏れたらトランク内全滅だもんな。怖いな。
財布とパスポートとケイタイだけ持って残りをぜんぶ預け、
スーパーの袋(これがお土産)を手に、さらに階下の駅へ。
この駅は切符を買う自販機が
「コインか、カード」しか使えないという謎の機械で、
そのカードもアメックスは使えなかったりして、
ちょっと難儀するものの
なんとか無事に購入。
RERという札のついてる改札を入ってさらに降りるとホーム。
RERのB線に乗るのです。
ホームには「すべての電車がパリに行きます」と書いてあるんだが
ホームの左右に2本停車している電車のどちらもほんとに
目指すChatelet/Les Halles駅にほんとに着くのかわからず
(って、着くんだよ! わかってれば飛び乗ってたのに)
表示を凝視しているうちに1本見送ることになり、ちょっとロス。
でもまあ確認後、安心して乗り込み、
発車したのが13時20分すぎだったかな。
それにしても(ほぼ)手ぶらというのは
なんと心を軽くするものだろうか。
ローカルな人のフリは、もともと上手なんだけど
(長く住んでそう、と、言われる)
さすがにトランク持ってたり
でかい荷物抱えてるとね。
それが、いまはスーパーの袋ひとつだから。
「あ、ボク、住まいは4区なんだけどね」
という気分(あくまでも気分)で市内を目指す。
あ、この路線、そもそも、
あんまり治安がよくないという話もあるので、
男旅は平気だと思うけど
女子旅には勧めません。
Chatelet/Les Halles駅からは、
リコちゃんがこまかく書いて送ってくれた動線どおりに動いて、
(というのもかなり複雑な構内なのです)
ポンピドー方面に出る。
地上はわりと見慣れた景色。
ポンピドーへは迷わず到着、
正面玄関のところでリコちゃんが走って迎えてくれた!
ハグ。ひさしぶりー! パリで会うのは4年ぶり!
(東京では去年会ったけど。)
なんとこの日は、
偶然にもその4年前に、べつべつに来てリコちゃんをたずねた縁で
知りあったOちゃんというとっても魅力的な女性もパリにいるという。
ビストロには先に行って席に座っててもらったと。
じゃ、急ごう!
ランブトー通りをマレ方向へ歩いて、
テンプル通りを左折。
あった! ここ、ここ!
「肉屋」とわれわれが呼ぶこのビストロは
直火で豪快に肉を焼いてくれるのが名物。
名物(とぼくが思ってる)牛のリブアイは
日本のようなサシたっぷりの柔らさはみじんもなく、
といってアメリカ的な赤身だけのものでもなく、
適度に脂の塊が入っているのに、
その脂が脂っこくない。
塩とこしょうだけで調味し、
焦げ目がつくくらいの火で炙るだけなんだけど、
きゅっ、きゅっ、という噛みごたえで、
塩加減も肉の旨味も、すばらしいんです。
店に入ったのが14時すぎ、
空港には16時に着いてれば余裕。
とはいうものの、1時間で食べないとね。
スペインで昼食を外でとるわけじゃないから
(スペインは外食の昼食はフルコースで2時間かかる)大丈夫でしょう。
でものんびりもできないので、
あらかじめ、この人たちこれから飛行機に乗るから
ちょっと急いでるのと
マダムにリコちゃんが説明をしてくれる。
なら、リブアイ3人前の塊は厚くて焼くのに時間がかかるから
2人前にして別のものを1人前頼めば? と。
そうしましょう。えーっと、4人だから、リブアイ2人前、
ラムチョップ1人前(人数マイナス1人前くらいで大丈夫)、
あと前菜にパテドカンパーニュとリエット。
つけあわせはじゃがいもの、ごろんとしたフリットと
青野菜のサラダ。これは自動でついてくるみたい。
何飲む? 赤ワインを1本、安いのをもらおう。
さあ、喰うぞ!!
リコちゃん、Oちゃんとも再会をよろこび、
4人でわっしわっし食べる。
うまい。ほんとうに、うまい‥‥。泣ける。
ホントに泣いちゃあ、いませんけどね!
味だけじゃなくてこうして一緒に食べられることに感謝。
縁とかタイミングとかそういうものにぜんぶありがとう。
食べ終わる。あら、安い、と感じる。
ランチには高いかもしれないけど、
この量、この質、しかもパリで、これ?
4年前はユーロが高かったからなあ‥‥。
リコちゃんから朗報。
7月にNYでグループ展に参加することになったそう!
はじめてのNYでの展覧会。
(紹介がおくれました。リコちゃん、アーティストなんです。)
オープニングパーティにぜひどうぞ、というお誘い。
わあ、うれしい。行きたい! NYだけど。
でも、ビルバオのグッゲンハイム体験で、
あらためてNYにも行ってみたい気分が
むくむくと湧いていたところだったので、
これも縁、タイミングかな?
前向きに検討する!
駅への帰路、Oちゃんがサブレットしている部屋を見せてもらう。
リコちゃんちの隣人が不在がちな人で
その人の部屋を借りてるんだって。
値段を訊くと、この立地でその価格だったら最高!
‥‥とはいうもの。
インテリアは、なんていうんでしょう、
東洋趣味のフランス人的なもので、
さらに濃厚なゲイテイストがベースにある。
ちょっと、まがまがしい感じって言うのかな、
まあ、よく言えばムーディである。
これでミラーボールでもあったら
新宿あたりにありそうなバーのようだ。
しかも、ちょっと古い感じで、
罵倒するママ(男)が出てきそうな‥‥。
でもこの値段だったら‥‥次、借りてみようかな‥‥、
と弱気かつ前向きな気持ちで部屋をあとにする。
Oちゃんとはそこでさよなら。また東京で!
駅前にできたMONOP'という、
MONOPRIXのexpress版、
コンビニ版みたいな店でちょこっと瓶詰め食材を買う。
これは自分用と、東京のご近所のMさんにおみやげにする分。
移動は、リコちゃんが空港までついてきてくれた。
おかげで、Chatelet/Les Halles駅で切符を買うのも、
どの電車に乗ればいいのかも、
迷うことも気疲れすることもなく移動。
すばらしー! ありがとう!
空港に着いたのが16時すぎだったかな。
荷物をピックアップして、そこからは長い歩道を歩いて
JALの離発着するターミナル2Fへ移動、
無事チェックイン。
出国間際まで手を降ってくれたリコちゃん、
うわーん、さびしいよー。
あれ? 長くいたビルバオより、パリを去るほうが寂しい?
ふしぎだけど、これがパリの魔力。
レアールからマレを往復しただけだけど、
しかもやったら人ごみだし、ごちゃごちゃしてるのに、
町に、やっぱり魅力があるんだよなあ。
でももちろん、ビルバオにはなんだか
また行きたいなあと思う魅力がありました。
やりのこしたことがあるし。
(最後の方で、このレストラン行きたいというのを見つけたんだけど、
郊外どころかビルバオからかなりの距離の村にあって、
予約もむずかしいらしいので断念したんです。)
そうか、パリからぱぱっと往復すればいいじゃん。
1泊とかで! なんてねー。
ということで年末年始の休暇が終わりました。
さいごのパリのおまけもついて、
今回の自炊旅も楽しかったです。