恒例・冬の自炊旅、スペインのバスク自治州、
ビスカヤ県のビルバオに来ております。
大晦日、JALのボーイング777-300で成田を発ち
シャルル・ド・ゴールでエールフランス便、
ロンバルディアのちいさな飛行機に乗り継いで
同日夜にたどり着きました。
アパートホテルのキッチンは、
大きくはないけど必要十分。
食洗器もオーブンもレンジもある。
そして食器や調理器具はあるけど、
食材や調味料はない(当たり前ですね)。
元日はきっとスーパーマーケットも休みだろうと、
到着してすぐ、慌てて食材と日用品の買い出しに。
5,6分くらい歩いたところにある、
ちいさなデパートみたいな品揃えの
(なんでもあるが、そんなに種類はない。
そして高級でもないが、たぶんちょっと割高な)店で、
洗剤やら、調味料、困らない程度の食料を買って戻る。
ふう。お茶をいれて、
もし店が開いてなかったらというときのために
シャルル・ド・ゴールのPAULで買ってきたパンを
オーブンで温め直してもそもそと食べ、
使い方のわからない洗濯機と格闘していたら
すっかりくたびれて就寝。
しかしながら、時差のせいなのか旅の興奮なのか、
どうにも寝つけない。
そのうち外でどっかんどっかんと花火があがり、
爆竹が鳴り響く。
そうか、2012年になったんだとあらためて思う。
もともと宵っぱりの国スペインだから、
さぞやにぎやかなんだろうなと思いつつ、
外に出る気力はなく、かといって爆睡するわけでもなく、
なぜか助平な夢を見てびっくりして飛び起きたりして
(起きなきゃよかったなあ。損した気がする)、
5時半に起床。
トーストと生ハムとチーズとオレンジで朝食をとり
オーブンでローストチキンの仕込みをする。
さあ外出。
しかし元日、
店も美術館もなんにもやってないうえ、
人通りも少ない。
白夜の街みたいにしんとしている。
ビルバオは鉄鋼業が廃れ、
アートで再生を図っている街ということで
建造物にも前衛的なものが多く、
それが過去数世紀の石の建造物と
奇妙に同居している。
そこに人が歩いていないわけだから
なんというか非常にSF的な感じになっている。
グッゲンハイム美術館まで歩く。
部屋はわりと市内中心部にあり
街もそんなに大きくないので
基本的にどこでも歩けそうな感じがする。
誰もいないグッゲンハイムで
出迎えてくれるのはジェフ・クーンズの「パピー」。
でかいな、この子犬。
前にあるホテルのカフェに入り
カフェ・ソロ(エスプレッソです)を飲んでたら
偶然撮れたこんな写真をどうぞ。
ところでバスク自治州は
カスティーリャ語(いわゆる本土の共用スペイン語)と
バスク語が併記されている。
ビルバオはバスク語ではビルボだそうだ。
バスク語はウィキペディアによると
「バスク語は現存するどの言語とも
系統関係が立証されていない孤立した言語であり、
西ヨーロッパで唯一生き残った
インド=ヨーロッパ語族以前の言語である」
ということらしい。
まあそう言われてもにわか知識の旅の者には
なんのことやらなんだけれど。
昨晩は街じゅうで紙吹雪や紙テープが飛び交ったらしい。
ゴミ箱にはワインやカヴァ(スパークリングワイン)の瓶が
無造作に放り込んである。
ぶらぶら歩いていたら昼の時間になり、
元日でレストランはやっていないので
部屋に戻ってスパゲッティを茹でる。
オリーブオイルでベーコンの切り落としとにんにく、
トマトをじっくり炒めて塩胡椒をしてゆで汁で和える。
あっさりしたナポリタン的なものができる。
ふたたび街へ。
川を越えて旧市街に入ってみると、
店は開いてないながらに、
そぞろ歩きの人がけっこういる。
ところどころに商売っ気のあるカフェやバルがオープンしていて
(スペインにもそういう商売人がいるのだ)、
そういうところにはやたら人がいる。
意外とビールを飲んでいる人が多い。
あるいはワイン。
部屋の近くまで戻ってきたら
メディアテークという、
図書館と、映像系の複合施設のなかのカフェも開いていたので
カフェ・ソロを一杯。
薄暗い中でシャッターを押したら
なんだかカウリスマキ的な写真が撮れました。
部屋に戻って、つくってあったローストチキンを捌いて、
フライパンで焦げ目をつけて食べる。
早めに就寝。けっこう疲れているみたいだ。