コクーン歌舞伎「盟三五大切」(かみかけてさんごたいせつ)
観てきました。
先に観た同僚の解説で
忠臣蔵外伝? くらいの知識はあったんだけど
くわしいストーリーは知らなかった。
そして最後列に近い座席は
表情まではちょっとわかりにくい遠さだったけど
さすがに歌舞伎役者たちの声はよく響き、
串田和美さんの演出はとてもわかりやすく、
壮絶で悲しいものがたりが届きました。
最初から最後まで頻繁に使われる幕の絵は
印象派的な筆致で描かれた風景と空と雲。
これがなんともぼくは好きでした。
主人公たちの救いのないかなしみの感情と重なると
ひじょうにやるせない気分になるような風景で。
ストーリーはこちらを参照いただくとして。
夜も更けての猟奇的な殺人の場面。
回り舞台を場面転換ではなく
一軒家をぐるり360度見せるために使う。
いま何が起きているのか、追うものは、追われるものは、
その現場を一部始終目撃させる。
照明がひじょうにうつくしく、その凄惨な現場を浮かび上がらせる。
そしてそのあと源五兵衛が小万を殺める場面の
赤子まで巻き込んだ殺人の、これでもかの凄惨さ。
ここは役者の技量に圧倒されました。
しかしぼくがいちばんぐっときたのは
小万の首を持ち帰った源五兵衛が
その生首の前で飯を食う場面。
もともとの話では「怒りがおさまらず女の首に茶をぶっかける」とあるけど
串田さんの演出は、
源五兵衛がほんとうに小万に惚れていたのだということを
仄めかすように思えたなあ。
だからそのあとで三五郎が腹を切りながらも
小万の首をいつくしむ場面を見て
立ちすくむ源五兵衛がつらい。
サプライズは勘三郎さんが最後に出演したこと!
おかえりなさいの拍手は鳴り止まず、
スタンディングオベーションになった楽日でした。