ゴミを漁りたかったわけではない。
AESOPの洗顔石鹸(液体)がなくなってきたので
ポンプ部分を外して使ってて、
空になったんで瓶ごと捨てたら、
あたらしく届いたのにはポンプがついてなかったので
そのポンプだけ「まだ収集されてないはず」と
探しに行っただけのことです。
しかし深夜のゴミ置き場って、せまい敷地内とはいえ怖い。
猫か、あるいはドアの軋む音か、
「んよーぉ」
みたいな声(みたいなの)がしてびびった。
そういうときにはこっちが音を出すといい、
とかいう半可通の知識を動員して、
指ぱっちんを繰り出して対抗したが、
そんな自分のほうが気味悪いと思った。
「ねえ、ほら505号室の太った人、
夜中にゴミ置き場で指ぱっちんして踊ってたわよ」
とか噂が広がったらどうしよう。
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ちょっと旬の話題からずれちゃいますが、
例のノーベル賞のひと、
「劉暁波」をニュースで「りゅう・ぎょうは」って、
せっかく憶えてもほかの国で通じないよー。
調べたらLíu Xiăobó(リウ・シャオボー)だそうです。
毛沢東はMao Ze-dong(マオ・ツォートン)、
Deng Xiao-Ping(ダン・シャオピン)は登阝小平。
そう読んでくんないかなあー。 ↑字が出ない
この考え方を敷衍していくと
ぼくらの名前も外国のかた向けには
Yoshiaki Takeiじゃなくて
Takei Yoshiakiの順番にしたほうがいいんじゃない。
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21時40分から1回だけ上映という「A SINGLE MAN」へ。
クリストファー・イシャーウッド原作の小説を
あのトム・フォードが映画化。
つまり、ストーリーの部分では盤石なわけで、
安心してそこにとんでもない美意識をのっけられるわけなので
怖いものなしな感じ。
いやはやその映像美たるや!
で、その美意識。
コリン・ファースのお洒落がそりゃあもう半端なく、
着てるもの身に付けてるものだけじゃなく
インテリアも車もなにもかも、
(思い出のデートの現場までも)
どこを切り取っても「TOM FORD」ってロゴ入れれば
かっこいいポスターになりそうなほどだ。
ほんとにかっこいいんだ、この、中年(もう老境)のおっさんが。
さらに、トップモデルながら体温の高い乱暴な色香をもつ
ジョン・コルタジャレナと
爬虫類顔(超苦手)のずうずうしい恋する少年ニコラス・ホルトがいて、
亡き恋人役に知性的なマシュー・グードがいて、
不幸な、でも金のある元カノ(?)にジュリアン・ムーアおばさま。
そりゃあ豪華絢爛、トム・フォード、
撮るの楽しかっただろうなあと思います。
映画としてはすごくいい、んじゃないかなあ。
しかし、美意識に訴えても、魂は震えない、
というのがぼくの感想です。
映画的に「上手だよなあ」と褒めるしかない感じも
逆に、ちょっと引いちゃったりもした。
あ、シリアスな映画だけど、
けっこうクスクス笑うところもありました。
老境の主人公が醸す、妙な愛らしさですね。
ところであれってハッピーエンドなんだろうか。
そうだと思うんだけどなあ。
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金沢21世紀美術館の
「ペーター・フィッシュリ
ダヴィッド・ヴァイス」の展覧会。
まいりました。おそれいりました。
もうばかばかしいことこのうえないんだけれど、
「やむにやまれぬ」ものを表現というのだとしたら
これはまさしくそうだ。
日本の作家たちよ、そして自分たちよ、
それがあるか。どこにあるか。
と、ついつい言いたくなるくらいでした。
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土曜、小松弥助。
こんなお店だったんですね。
ぼくはゴハンを食べて
その旨さに感動して泣いたことがかつていちどあって、
それはピアット・スズキだったんだけれど、
(わんわん、じゃないですよ。じんわり、です。
感動じゃなく悲しくて
号泣しながら食べたことも、あるけどね)
ここが二度目になりました。
バイ貝の握りを食べてたら、
もうたまらなくなってしまって。
なんていうんだろう、「幸福」なんだ、この店。
まず店に入ると、お客さんがみんな笑顔。
そしてたいへん高齢だという大将だけれど、
自分のにぎる鮨で、ひとを幸せにしたいという思いが、
というより、自分の仕事はそれなのだと確信している、
その思いが、もう、あふれちゃってて、
それが店内に伝わってる感じ。
もちろん、鮨はものすごく美味しい。
烏賊、中トロの炙り、ウニ、バイ貝、
ちいさな鉄火丼、鰻の手巻き、甘エビ、アラ、
穴子、ヅケ、蒸し鮑、小鰭、ネギトロ手巻き、
をいただいたのだけれど、
年齢を超えた茶目っ気があって、味が自由。
正統派、江戸前、そんなことどうでもいい、
この鮨は小松弥助の鮨、
この鮨はあなたが幸せになるために握られる鮨、
目の前のおじいちゃんはそれを信じて
リズミカルに、たのしそうに、幸せそうに、
お客さんにもほどよく愛嬌をふりまきながら
最高においしい鮨を、どんどん握っていく。
その姿がもう、ご馳走。
先に帰った、ぼくよりひとまわりくらい上の二人連れは
どうも常連さんらしいんだけれど、帰り際、
「ありがとう。うまれかわった気持ちです。
あしたから、またがんばれるよ」
なんて、本気で言ってた。
そして大将は、ぼくらが食事を終えたとき
「おいしいものを食べると、あしたからまた
がんばれますからね。
みなさんの、これからの人生が、
もっと、よくなりますように、やな」
と、ちょっと照れたふうに言って、
ぼくらが「わぁー」と歓声をあげると
「ほんとだよ」と、こんどはちょっと真面目な顔をして言う。
まいっちゃうなー!
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金沢の近江町市場で「きのこ」をいろいろ買ってきた。
そのなかに「一本シメジ」というものがあって、
それは見栄えのする立派なきのこだったんだけど
買う時におばちゃんが「ちゃんと茹でて塩漬けして、
‥‥を抜いてね」と言う。
その「‥‥」が聞こえなくて「えっ」と言ったら、
「まあ、そのまま食べるひともいるけど、
あたしらはねえ」と。
まわりを見渡すと「塩漬け用」などと書いている店も。
くわしく訊いてみたら、そうやって「毒を抜く」のだと言う。
ど、どくきのこ?
ほかの店には「クサウラベニタケ」なんて名前もあった気が。
調べてみたら「ウラベニホテイシメジ」を
「一本シメジ」と呼ぶ地方もある、というんだけど、
(それは食用だそうです)
で、これは?!
ともあれおばちゃんのアドバイス通り、
ゆでこぼしてから塩漬けにしてみました。
さあこの先どうすればいいんでしょ。
同時に買ったいろんなきのこのなかで
豊作で安くて投げ売りしていた松茸。
パスタにしてみました。
パンチェッタ、にんにく、鷹の爪といっしょに。
さらにトリュフかけたりして。
狼藉。
結果、松茸香というよりは、謎のかぐわしい
(ひとをうっとりさせるような)アロマが立ち上り、陶然。
かなりぼんやりしてしまいました。
またやりたいかと言われたら
「もういいか」と答えますが。
(おいしいよ、でも。)
青山のギャラリーCOMOさんで
プラハのシノさんの個展がはじまった。
なんと初日は開店待ちが出たそう!
FACEBOOKはじめてみました。
まだよくわかってないんだけど
このブログもそのまま載る‥‥はず。