コム デ ギャルソン全店で、
2010春夏物の展開が始まった。
初日の朝、都内某店で
いろいろ試着して鏡の前でふざけたポーズを取ってたら、
むこうから渡辺淳弥さん(副社長)がやってきた。
お見えになった。いらっしゃった。ご尊顔を拝した。
川久保さんはそうでもないのに、
渡辺さんには、謎に、ありえない緊張をする私。
頭のてっぺんから汗が吹き出て
右手右足を同時に出して歩いたりするくらい緊張する。
そんなに好きか。そうなんだろうなあ。
こ、こ、こんにちは、と一応言ってみるが、たぶん聞こえてない。
永遠にそれ以上のコミュニケーションは取れないと思う。
さらに川久保玲さんが時間差でやってきた。
なんでしょう、あのオーラ。あの迫力。
コム デ ギャルソンのデザイナーって、どうも「神」ぽいな。
神みずから初日の朝から全店チェックに回るというのも凄い。
デザイナーが本気で会社を経営しているという姿は、
いまのクリエイティブの在り方を象徴する、イコンだと思う。
で、お布施……じゃないや、お買い物。
ポリエステル縮絨の、黒のジャケット&パンツを
セットアップで買いました。
ジャケットはピークト・ラペル(剣襟)で
シングル・ブレステッド。
パンツはわりと細目で、タックなし、
ちょっとローライズ気味で、
裾はロールアップして穿きます。
革靴じゃなくてスニーカーでもカワイイかも。
さらにウイングカラーの白いシャツ、
これも洗いがかかってて、くしゃくしゃ。
そもそも。
ピークト・ラペルのシングル・スーツに
ウイングカラーのシャツなんて、
きっちりした素材だったら、
ぼくに買う意味はない。
そんな服、きちんとしたパーティ的な場所しか着る機会がないし、
ぼくはそういう場には出ないから。
そういうものを、くっしゃくしゃにして、
野に放っているわけだから、
それってとてもパンクだと思う。
ぼくにとっては、ずっと憧れていたコム デ ギャルソンを
象徴するような服なんでしょう。
この生意気な買い物に、
「まぁまぁ、もう43歳だし」という自分もいるけど、
ほんとは「まだ早い、このひよっこが」と思ってます。