昼はサラダだけにして、
夜、年に1回か2回くらいしか会わない友人と「シェフス」。
見た目はごついんだけど(そっぷ型の力士みたいな体格で
ゴルフ、テニス、スキー焼けで一年中まっくろけ)
意外なことに「ほんとは病弱」という、
ぜったい少女マンガには出てきそうにないタイプの男ですが、
といって少年マンガにも、なかなか出てこないかもしれません。
あ、浦沢直樹さんあたりのマンガに、
いい感じの脇役で出てきそう、ではあります。
ときどき強く不調となるらしい体を鍛えつつ
野に山に街にと、ふだんはたいへん元気に暮らしている男です。
会社経営者です。東京のお坊ちゃんです。
生活時間帯とか根本的な何か(人生観のようなもの)が
たぶんまったくぼくと違うので
滅多に会うことがないんだけど、
会うとあんがい仲がいい。話が弾む。
めずらしいタイプの友人だと思います。
大阪に行くときホテルを紹介してもらうんで連絡をしたとき
この夏、ある症状によりたいへん不調であると知り、
最近、秋になってだいぶよくなったということで、
さらに誕生日がこないだ来たばかりだというので、
ほぼ・快気祝いと、遅れた誕生祝いをしました。
それにしても、おたがい、いい年になっちゃいましたね。
ここまで生きてこられてよかったと、
なにかにつけて思う今日このごろです。
関係ないけど「きょう」と打つと
「卿」が先に出るぼくのパソコンって、
山田ルイ53世みたいですね。
で、この時期に上海料理といえば、上海蟹です。
‥‥狙って行ったわけではなく、
予約の電話を入れたらマダムに
「蟹の季節ですけれどいかがなさいます?」
と、とてもきれいなことばで言われて、
「も、もちろん、いただきます」となったのでした。
さあ喰うぞ。上海蟹なら予算は文句言わないぞ。
「黒米紹興酒」をボトル1本あけつつ、
ピータン、辣胡瓜、揚げ春巻(以上前菜ゆえ、やや少量)、
トマトと卵の炒め(ここから、けっこうな量)、
黄ニラと干豆腐絲の炒め、
蒸し上海蟹の雄・雌それぞれ1ぱいをシェア、
黄金色の蟹豆腐(もちろん上海蟹)、小柱入り茶わん蒸し、
そして、ネギそば(それぞれ1ぱいずつ)食べて、
最後に無花果のコンポート。
食べ過ぎな気もしますが、
ここの料理はあぶらっこくなく、しょっぱくもなく、
「出汁」を満喫するタイプの中華料理なので、ぜんぜん大丈夫。
最初のひとくちが「あれれ?」というくらいスッキリしているのに
食べていくうちに、舌が慣れ、
複雑な旨みがひそんでいることが理解できるようになってきて、
終わる頃は「もっとぉ‥‥」となっている。
そもそも美食は官能だと思うけど、ここのはとりわけ官能的な料理です。
ただしムードであるとかそういうものはいっさいない。
伊丹十三ムービー的な色気と言いますか、
そういうものはある気がします。
お値段はそれなりでしたが(こないだのスズキさんより上)、
満足です。大満足。
「蟹を素早く大量に食べながら
これだけしゃべるやつは初めて見た。黒柳徹子か」
と言われましたけど、そんなことはない。
ほんものの徹子さんは200倍くらい凄いです。
それにだ。おかしいなあ、ぼくの記憶では、
ぼくが聞き手で、ほとんど、君の、ここ最近の、
のろけ話だったような気がするんだけど?
幸福な話と、不幸の話を、ないまぜに、
話し、聞いた夜でした。
ともあれ、楽しくておいしかった。
全快に向かっているようでよかったです。
誕生日おめでとう。