昔からそうだったのか、
知らず知らずのうちに川久保教育に染まったのか、
立体造形はゆがんだものとかねじれたものが好きです。
まっすぐにしたかったのに心ならずも、というものよりは、
作り手が意図して、というか、それをいいと思って
ゆがんだ状態を完成としたもの。
ほのかな左右非対称や、ゆらぎ。
考えてみれば人間もそうなんですもんね。
ということで高橋禎彦(よしひこ)展「うつわ」@ギャラリー介。
プラハ在住のガラス作家シノさんとの
二人展「bijoux」で知り、
昨年の「うつわ」展では赤ワイングラスを買ったので、
ことしは白ワイングラスを入手。
介のマダム井上さんによれば
高橋さんのグラスで飲むと
1000円ワインも極上になっちゃうのよと。
はたして‥‥ほんとうなのですよ。
理屈を言うと、唇に当たる部分、
ふつうなら、整形して切り落とすんだけど、
宙吹きという、遠心力による整形で、
一気にこの形をつくるので、
「ガラスの溶けた、端の部分」が
そのまま唇に当たることになる。
その感触が、官能的でないわけがなく、
つまりは食の官能にもつながっているわけです。
さらに、ふつうは仕上げに木のヘラで整形するところを
いっさいやっていないので、
ガラスの表面のなめらかさが、
「うまれたて」のまま。
液体がかたまった形、そのままなのです。
うつくしいです。
これ、ものすごい技術なんだそうで、
そんなご本人もさぞや繊細なかた‥‥かと思いきや、
長髪に革ジャン、ギター大好きのロック青年‥‥おじさん、
しかも、とてもよくしゃべる人でした。
おもしろいもんだなあ。
作品はこのページがわかりやすいです。
色彩のあるオブジェ作品もすばらしくいい。
ところでギャラリー介。
あの江戸染物の小倉充子さんを最後に
6月で閉廊だそう。
「ことぶき(退職)ですか、って言われたのよ」
と、井上さん、白髪で元気に笑ってました。