旅を前に『風味絶佳』読了。
感想がちゃんと言葉にならないですが、
訥々とでもいいから書いてみますとね、
かねがね、食は官能であり、粘膜と心をつなぐものであり、
そしてそれは人と人を強固に結びつけてしまうことだと、
体では、わかってたんだけど(ああ、いやらしいね)、
やっと文学として証明していただいた気分。
エイミーばんざい。
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「ナイン」打ち上げ。
女優陣、ほんとうに美しかった。
あんなにたくさんの職業的美女と同席することなんて、
人生でもうないのではないか?
以前ともだちが
「ぼくは美しいものが、好きなのです!!」
と言っていたのを思い出す。
わかる、わかるよ。いまのおれにはわかるぞ。
それから、別所さんが
「稽古場が、いいにおいで‥‥」
と言っていた意味がわかりました。
花園にいるようでした。
↑ラグビー場ではなくてさ。
そして千秋楽。
末席(3F最終列のさらにうしろのパイプ椅子)で
見させてもらう。
毎日ちょっとずつちがう別所グイド、
最後まで、とてもよかった。
とくにクラウディアとのシーンは
最高だったんじゃないのかな。
もう、2幕は「終わっちゃうんだ‥‥」
と、そればかりを考えながらだったけど、
さわやかに終演を見届ける。
楽屋にお邪魔する。
リリアンに挨拶、クラウディアと淋しさを分かち、
リナから写真をもらい、カルラと次回の約束をし、
マリアとハラマキの話をして、
ジュリエッタと「丸顔だけのコーラス隊」を
結成しようかという話に‥‥
だんだんわけがわからなくなってきました。
初めて別所さんの楽屋に行く。
気持ちのよい人でした。手がでかかった。
ほんと、隣町の同学年から
ああいう人が出るとはな‥‥。
それにしても、どんないい舞台でも、
終わるとカンパニーは解散なわけだ。
そしてまたばらばらになって、
次の舞台の準備に入るんだろう。
そんなふうに、「終わり」と「はじまり」の
繰り返しの職業って、ふしぎだよなあと思う。
ふつうの人生では、あんなにたくさんの
「終わり」と「はじまり」は経験のしようがない。
役者ってすごいなあ。
僕も旅支度を終え、1週間のバリ旅行へ。
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そして時間は1週間経過。
熱帯の祝祭が終わる。
あの天国のことは、もはやなんだかうまく思い出せない。
すべてがぼんやりとした湿気の向こう。
ニワトリと虫と猿と野良犬と降る星と花の向こう。
うねる波と深い森と灼けた肌とガムランの向こう。
「これは映画の中か? それとも現実か?」
墓で眠っていたような1週間。
起きると、現実は5時間遅れの飛行機。
現実は風邪を引けとばかりの空調。
現実はタクシーの競馬中継。
現実はカードの請求書。
がんばれ俺!!
大丈夫、たっぷり貯金をしてきた気分だ。
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ひとり新宿まで散歩して
紀伊國屋書店で本をじゃかじゃか買う。
京都の旅館「井雪」のことが出ている随筆、
イタリア人の働き方についての新書、
橋本治の新書、山田詠美の対談。などなど。
趣味の本ばかりです。
イタリア人の働き方についての本を読みながら
ひとり日本酒と蕎麦。うわー、じじくさい。
気づいたら3時間くらい経ってた。
ちょっと時間の使い方が戻ってない感じがした。
太刀魚のてんぷらがうまかった。
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日曜日、本願寺出版局の編集者F女史が上京、
同僚のYさんと3人で、打ち合わせと称してゴハン。
Fさんの話が面白くて面白くてたまらない。
彼女のまわりには面白い人が集まるんだけど
「なんででしょうねえ」とのんびりした関西のことばで言う。
そりゃ、あなたが面白いからですってば!!
聞いた話はオフレコ話ばっかりなんで書けない‥‥。