●褒め方。
担当している「ほがらかな人々」に
NYでのハイソなジムでの褒め方についてのくだりがあって
それはたとえば筋肉がついてフィットな体形になったら
「アルマーニが似合うようになりましたね」
みたいな褒め方だというんだけど、
さてうちのジムはどうか。
今日ですね、ゴリが忙しくて代打のYくん。
「カモン」とこっそりあだ名をつけているくらい
「カモーン! カモーン!」とうるさい‥‥じゃない、
元気のいい男なんだけど、
ラットプルダウンという、背筋系のワークアウト中、
ぼくの肩甲骨の内側の筋肉を見て一言。
「すごいですね!
肩甲骨で缶ジュースが
はさめますよ!!!」
‥‥‥‥。
ま、ね、たぶん、はさめるのかもしれないがね、
そういう褒め方ってどうよ?
背中で缶をはさんで、まあ一献どうぞ、
おっとっと、なんて、お酌でもするのか。
あ、それ、舞台向き?
じゃなくてですね、やっぱり現実味がないだろう!
なので、ほらそこにある「HUGE」とか見てさ、
いまのトレンドはタイトだから
流行のジャケットをお召しになれば
肩から背中のラインがきれいですよ!
とか褒めたまえ、と言いました。
「勉強しまっす!」だそうだけど
格闘技にしか興味がなさそうなんだよな、こいつは。
●なんのことかわからないことばかりですが。
1)
「いい知らせがあるの」
「お‥‥それは、あ、そういうことなのか?!」
「そうなの!」
「ほんとかい?!」
「ほんとよ」
「でかした!」
「ふふふ、ありがとう!」
「こちらこそありがとう‥‥」
などと、まるでラブラブ夫婦のような電話ですが、
仕事の電話でした。
2)
どんべえさんとスパイラルで打ち合わせ。
ていうかいつものことながら雑談。
音源をいただく。いま聞いております。
さ、最高ッス‥‥。泣きそう。
あーほんとに泣けてきた。
ぼくは仕事という仕事ではなくて
手伝えて心から幸せという物件。
3)
ヤナセさんから電話だというので
負け猫の先輩への敬意を表して、いきなり
「にゃあ」と出てみたら、
でっかい声で「にゃああああ!」
と返してくださってありがとうございます。
いいんでしょうかそんなことで。
ちなみに(当然)仕事の電話でした。
●ワインワインワイングラッパ。
すごい会だったなあ。
マンジャ・ペッシェで特別なディナーの会をやるというので
参加したんですけど、
それはワインの輸入業者のタンさんという、
えーっと、格闘家みたいな体形の中国人マダムが、
自社の輸入する、なかなかすごいイタリアワインを
賞味してもらいつつ、
それにあわせた料理を食べましょうというもので、
そのことをぜんぜん知らずに行ったのでした。
レストランの馴染み客が呼ばれたのかと思って行ってみたら、
ぼくら4人以外は(どうやら)全員がワイン関係の人々。
半分、がいじんー。英語フランス語中国語日本語が
入り乱れてて、なんのこっちゃというかんじ。
晩餐会スタイルの長いテーブルで
たっぷり(ほんとにたっぷり)の料理と
たっぷり(こんな量飲んだことない)のワイン。
べろんべろんになったのに二日酔いしなかった‥‥
「いいワインはリバーにいいの!」(中国語なまり)
あ、リバー。肝臓ね。なるほど。
メニュー書いちゃいますね。とんでもないから。
●有機野菜をオリーブオイルで
●イタリア産サラミ、スモークタン、ラルドの盛り合わせ
●いわしのマリネと、いさきのスモーク
●千葉 八街ひとみ五寸人参のババロア仕立て
キャビアを添えて
●宮城 気仙沼メカジキマグロのコンフィ
2色のオリーブのソースで
●フランス シャラン産鴨胸肉のローストと
春野菜の温かいサラダ仕立て
レフォールソースと
●富山湾のホタルイカをのせた、
ブロッコリーソースのオレキエッテ
●春野菜いっぱいのフォンドゥータソースで和えた
リングイネ
●コラーゲンたっぷりの牛ホホ肉のマルサラ酒煮込み
●31ヶ月熟成 パルミジャーノ レッジャーノ
セルバピアーナ
ゴルゴンゾーラ ピッカンテ
ペコリーノ サルド スタジョナート
●旬の甘い苺のミルフィーユ仕立て
●コーヒー
で、ワイン。これもとんでもない。
◆スプマンテ(銘柄わからず)
◆オペレ ロゼ オペレ トレヴィジャーネ(白)
◆ヴィーニャ レジス ヴェッキエテーレ
ディ モンテフィーリ(白)
・2001
・2000(つまり2杯ね)
◆(メモし忘れた、なんか、こっくりした白)
◆トゥリーガ アルジオラス(赤)
・1995
・1994
・1993
・1992
・1991(つまり5杯ね)
◆マルヴァジア デッレ リパリ ハウネル(デザートワイン)
・1996
◆グラッパ ディ トゥリーガ アルジオラス(グラッパ)
あーうー。ぜったいボトル2本飲んでる。
しかも、むちゃくちゃうまかった。どれも!
料理は、いつものマンジャペッシェの、
2倍‥‥は言いすぎだけど、あきらかに力が入ってた。
緊張があった。
ここはリラックスしてるからおいしい、という店なんだけど
こういうのもつくれるんだー!! と驚きました。
行く前、夕方に仕事抜けてワークアウトしたけど
ゴリにばれて(「なんでこんな時間にいらしたんですか?
夜用事があるってことですね? 何召し上がるんですか?
あー。そういうことですか。重くしましょうね」)
さんざん体を使ったあとだったけど、
‥‥3日ぶんの栄養とったな。
●うさぎ眼科。
ものもらいができたので会社の近所の眼科へ。
上品なおばあさんの受付嬢。
謎のBGMがうっすらと。
♪あのこはだあれ だれでしょね
怖いです。
先生は上品なおじいさん。
眼圧検査。
機器にあごをのせて、目を開く。
「うさぎを見てください」
うさぎ?
「うさぎを見てください?」
うさぎ‥‥ですか?
「ああ。あんた近眼か。
カーテンにうさぎがいるんだよ。
そこ見て」
だって真っ暗だし、でもまあ、
うすらぼんやり白い壁の点を見る。
「パンダを見てください」
ぱ、パンダですか。こんどは。
「パンダを見てください?」
えーっと。
「こっち!」
怒らなくてもいいじゃないですかー。
暗い上に近眼なんだから。
で、目薬もらって2520円ってのは
ちょっと高い気がするんだけど、
ま、いっか‥‥。
メガネかけてみたら、
カーテンにはたしかにうさぎとパンダの、
小さなぬいぐるみが吊るされておりました。
●本の勉強。
仕事の話で恐縮ですが。
以前「座談会原稿が6295行になっちまった」と
騒いだ原稿、ようやく! 7割削除してまとめなおし、
全9回のコンテンツとなりました。
月曜から「本の勉強。」というタイトルで3週間連載です。
ふう〜。
元原稿を、とある信頼する編集者に
モニターとして読んでもらったんだけど
「面白かったけど‥‥、
これ、脚注つけるのたいへんでしょう?!」
──つまり、専門用語や、座談会の場だからこそ
わかる言葉みたいなものにあふれているものだから、
それをふつうに傍から見て(読んで)も、わかりにくいと。
うーむ。脚注つけてみるか? と、
何度目かの改稿で全17回(‥‥って!)に
してみたんだけど、そんなに読まないってばー、だよな。
そもそもが、けっこう深い、出版業界の話だし、
うーん、それでも面白くするにはどうしたらいいんだー。
悩む悩む。座談会出席者がただ者ではない、というのも
プレッシャーになったりして。
一人は永江朗さん。
フリーライター、というより評論家と作家と編集者の
垣根を軽く乗り越えて活躍なさっているかた。
そしてマイミクにもいる編集者であり友人の、
まあ、ここではどうしようもない裏の顔を‥‥あ、失礼、
見せてくださっているものの、じつはものすごい編集者、
私もたいへん尊敬している2人。
いやほんと。正直組むのは緊張するんですよ。
「双子」とか「負け猫」とか
別のユニットならいいんだけど(笑)。
そして司会というかいちばん喋ってるのはうちの社長。
えーん。これまとめるのに緊張しない編集者がいますか!
でもまあ、なんとかなり‥‥ました。たぶん。
月水金×3週間。
出版関係のかた、そこらへんに興味のあるかた、
ぜひお読みください!
●TKドクターストップ。
ヒョードル強かった‥‥
いま一番強いんじゃないだろうか。
TK、おそらく、寝技に持ち込んで
間接を決めることができれば勝てる、
と踏んでいたと思うんだけど、
マウントされてもひっくり返して
アキレス腱か足首、
あるいは手首をとって固める、
という作戦だったんじゃないかと‥‥
でも、ヒョードルのマウントは、
TKをもってしても返せない。
どうタックルしてもマウントされる。
んで、あの巨体にもかかわらず、
ものすごく俊敏に動く。
軽く見える打撃なんだけど、
「ぶんっ」「ばすっ」っという音が
1F席にまで生で聞こえる。
おそろしい。
魚座のTKを応援する
われら魚座と蟹座チーム。
もう、自分が殴られてるみたいで
途中、泣けてきた。
客席の静かだったこと‥‥
あんなに静かな「プライド」の試合は
ないんじゃないだろうか?!
TK、左目の上、眉の下あたりを切って
血が止まらず。そこを執拗に打つヒョードル。
1ラウンド目は何度かドクターがはいり
それでも試合をつづけていたんだけど
2ラウンド目にいく前に、
ついにドクターストップ。
あああ。まだ動けるのに‥‥
高阪TK剛、負けました。
でも、いつもの「にっかにか」の顏じゃない、
神聖としかいいようのない勝負の顏が見られてよかった。
ぼくは、あんな顔をする瞬間が、あるのだろうか。
●山田詠美、恩田陸、三浦しをん。
さっきやけに男な体育会な日記を書いてしまったので
そうでもない文系な日記も書こうっと。
「大傑作だと、本人が言っている」
と、双子情報。
いくら期待しても期待外れがありえない!
それは山田詠美(エイミー)の新作! 5月に出る!
わーい!! 前作『PAY DAY』もすばらしかったけど、
その名も『風味絶佳』といい、今回はまたエイミーらしい
「ガテン系男との恋愛小説(連作短篇)」だという。
ぼくは山田詠美という作家の紡ぐ日本語は
ほんとうに、ほんとうに美しいと思っています。
一字ずつ堪能できる、数少ない、大好きな作家です。
久しぶりの恋愛もの、うれしいなあ。
んでもって、Graziaという女性誌に
山田詠美特集があるというので買ってきた。
たっぷりたっぷり特集されている。
Graziaは前号でうちのボスのインタビューが載り、
その文章がほんとうにすばらしいものだった。
で、今回のエイミー特集は‥‥うーん、
これはぼくの求めるものではなかったなあ。残念です。
Graziaの読者層である、30代女性(婦人公論予備軍?)が
どういうふうに山田詠美を必要としているか、
は、よくわかった気がするけれど。
ただ、野中柊さんとの対談での、
食事と官能についてのくだりはよぉく理解できました(笑)。
エイミーとご飯食べてみたいなあ。と、
ただのファンのたわ言をほざいてみたりして。
ついでにやはり女性誌のVOGUEニッポンを買ってくる。
Graziaは、山田詠美特集以外はまったく読めなかった。
それは‥‥すみません、虫酸が走る系の厭さだったんだけど、
こっちは、ぜんぶ読めるねー。
ま、ともかく、
男雑誌は、男がライバルだからか、
読者の連帯感というか仲良し感がないけど、
女雑誌って、仲良し感がたっぷりで、いいねえ。
うらやましいです。
それから、恩田陸『ユージニア』と『Q&A』読了。
先に読んだ『夜のピクニック』は
小説として五つ星だったけど、
こちら2作は、いわば、小説の冒険。
(冒険小説ではなくてね)なので、評価が難しい‥‥。
面白かったか、と言われたら、すごく面白かった。
でも、‥‥読後感がよくなかったかも。
悪意、というものを主題にしているせいかなあ。
好みではない、ということです。
ミステリーだと思うと、
ちょっと納得いかないという点もあるけどそれはまあいい。
小説の冒険という点において『Q&A』はよくできていた。
いつの間にかぐいぐい引き込まれて、引きずり回されて、
混乱し、放り出されるという、乗物的快感が、けっこうあった。
でも、乗り物酔いしました。後味が悪いよ‥‥。
乗り物の快感は、運転手と乗客の、
お互いの信頼関係があって初めて楽しめる。
ローラーコースターは安全だから楽しい。
でも‥‥恩田陸さん、読者を振り回しすぎだと思った。
もうちょっとだけ親切にしていただきたいなあ。
ドライバーとして、彼女を信頼してないのかな僕が。
筒井康隆に振り回されるのは好む僕だけれども。
『驚愕の荒野』はほんとうに驚いたっけなあ。とか。
『ユージニア』は、書容設計(祖父江慎さん)に
負けてるかもしんない。それに助けられてるかもしんない。
装丁家と組むってことを深く深く考えさせられました。
ていうかやっぱりなにか納得いかない終わり方だったかも。
しかし、読書中の快楽は強くあった。
ページをめくるのが楽しくて楽しくて‥‥ってかんじ。
なんだけど、最後でペースダウン、だったんだよなあ。
で、いまは、三浦しをんさんのデビュー作を
いまさらながら読み始めております。
「この人は天才ですよ」と聞いたのです。
まだ途中だけど、とっても気持ちがいい!
「歩く早さ」で読める感じ。
正直で、のびのびと、すくすくとした感じです。
さあ読書に戻ろうっと。