●逗子へ。
茅ケ崎に10年住んでたことがあるんだけど
あのへん(逗子界隈〜茅ケ崎までのR134沿い)の
海の感じは、やっぱり好きで。
葉山は、もちろんいいところだけど、
他所者が好きだと言いにくい何かがあるんだ。
月曜、取材で逗子へ、海が目の前の、とある喫茶店に。
往きは品川からチキン弁当をみちづれに。
938キロカロリーって! と驚くが、
まあいいや、と、がつがつ完食。朝、食ってないし。
んめー。これは「まずくてもうまい」弁当です。
崎陽軒のシウマイ弁当は品川駅にはなかった。
逗子駅。
降りたとたんに海の匂い‥‥
あー。
あー。
あああああああー。
この海はおれをだめにする海だ。
近づいてはいけない! 寄るな! ああ。
ここにいたいー、ずっといたいー、の海。の匂い。
住もうと思えば住めちゃう距離なあたりが、
その迷いを濃くさせるのだ。
だめだだめだ。だから茅ケ崎を離れたのだ。
と、きちがいのようにぶつぶつ言いながら、
車で来ていたあやちゃん(ほぼ日)と合流。
取材はたんたんと、あたたかく終わり、帰路は車。
「海ぞいの道を通りましょう」
と、ロマンチックなことを言う魚座のあやちゃんですが、
FMヨコハマのよくわからない「ダンス・クラシックス」
とかいう妙な番組の、黒人女性ボーカルにあわせて
知りもしない歌に大声の裏声でコーラスを合わせるのは
お願いですからやめてください。
天窓開いてます。聞こえてます。
ほらあのばあさんがギョッとしてこっち見てるでしょう!
あ、あの家の窓ガラスが割れたよ?
ハトサブレのキャラクターは「はと・さぶろう」だと聞いて
爆笑しながら西鎌倉のレ・ザンジュ。
取材ではない。ただ甘いものが食べたかったのです。
ケーキを2コずつ(‥‥)食べる。
「いいですよね、鎌倉だし」
と、わからないことをまた言う。いいですよ別に。
関係ないけど鎌倉高校って吉田秋生の
『ラヴァーズ・キス』の舞台? だよね?
●また本をつくるのだ。
火曜日、外回り、会議、会議2、打ち合わせ1〜打ち合わせ2、
あとはページ制作と原稿書き‥‥な日。
それでも終電で帰れたのでよかった。
打ち合わせ2は、ツツジュンさんと、
「この人に頼むと本が遅れる」
と評判のかたのところへ。
本を設計する人です。
仮にSSさんとしておきましょう。
正直、三すくみの(?)
ノーアイデア状態で始まったんですが、
もちろんそれは「そうするしかないよね」という作戦です。
すばらしかったのは、これは受け取られなくてもいいや、
と投げた球が、見事にキャッチされて、
倍になって帰ってきた瞬間!
「【D】みたいだったら最高なんですよね」
と、言ってみてよかった!
(すんませんわかんないですよね。でも書けないの)
そこから、急激に加速し加熱する打ち合わせの現場。
すばらしい‥‥。
文殊の知恵とはこのことか?
いやSSさんがやっぱりすばらしい。
さあこれが「リヤル」にどうなるかお楽しみー。
SSさんと組むのはじつは初めてなのでそれも楽しみー。
内容は自信あり、だよね、ツツジュンさん。
あとは、横にはりついて入稿データぶんどってください。
帰路、骨董通りへ足を伸ばし、
きょうオープンの「JAN Comme des Garcons」へ。
オトナの男の店! なんだけど、
そしてぼくはオトナの男のはずなんだけど
「きゃあ。きゃーっ」と、騒いでしまいました。
内装が秘密基地めいていて、
ものすごく細い空間に陳列があったり、
ジャングルの木のようにびっしりと服があって
それを縫って歩いたりして楽しかった。
馴染みの店員さんが2人ここに異動になってた。
でもきょうは買いませんでした。
カードの残額たしかめてからにする。
16枚しかないシャツとかさあ、ひきょうなり。
ほしくなるようにできてる。
シャツ襟の、ポロシャツがまたカワイイ。
「むきーっ。こんなに素敵なのになんでレディスがないの」
と怒るツツジュンさん。
しかたないさベイベー。
ここはオトナの男の店なんだから。
‥‥あらん、このかばんカワイイ! きゃーっ。
ところで先日しり先生と遊びにいきました、
って書きましたが、
しり先生はじつはそのときちゃんと仕事をしていたのだ!
とわかった。ダ・ヴィンチ5月号の先生のまんが。
まさしくそのときのアイデアが絵に‥‥
もうじき出ます(事務所にはちょと早く届いた)んで
ぜひ読んでください。
ありゃー。遊んでたの、やっぱりぼくだけ? 反省。
双子よごめんな。
さて謎の画像は、
「SSさんの事務所に行く目印の井戸@笄町」
「SSさんちの隣の、べつに熱くないトタン屋根の上の猫、
と、フライパン」
「オトナの男の店・外観(無駄な空間)」です。
●こけしの夜。
木曜、さとしさんの出版記念と
ツルコーさんの上京記念をかねて
吉祥寺に集まりました。
吉祥寺、ぼくは、これまで4〜5回くらいしか
行ったことのない街。
縁が無いんですね。
駅をおりるとすぐにやきとりのにおい。
道はすごく人がいっぱい!
「人が住んでいる街」の気配、濃厚。
いいよなあ、と思うけど、
ざんねんながらぼくの暮らせる街じゃないことは明らか。
でもこうしてさそっていただけると、
遠慮なく出かけられるのでうれしいです。
一日だけ、住人として認めてもらったみたいで。
ペパーミント・カフェはタイを中心とした
エスニック料理の居酒屋。
食べたり飲んだりしている人たちの顔つきがちがう。
それは「飲んだくれても、歩いて帰れるもんねー」の顏。
これ、都心との決定的なちがい!
地方都市的な雰囲気があるんだね。
ツルコーさんの上京祝いのプレゼントを
さとしさんが選んできた! というので
箱入りのそれを開けるのをじっと見つめる一同。
出てきたのは「こけし」でした。
こけし‥‥。
女の子なんだけど、
「卯三郎」と命名。
みんなにかわいがって‥‥たぶん‥‥もらえた‥‥と思う。
いまデジカメ画像をとりこんでみたんだけど
こけしを置くと、エスニックな飲み会が
なんだか妙な雰囲気になっちゃうものですね。
●合同誕生会@ナカムラ。
39歳にもなっていっしょに金曜の夜に
ほいほいとごはんを食べてくれる友人がいるのは
ほんとうに幸せなことです。
って、胃袋の大きさと食の趣味が
かんぺきに一致するうえに、
別に一生懸命喋らなくても
時間がゆっくり安心して過ぎていくって、
こんなやつ、いまんとこ、
ひとりしかいないんだよな。だよね、賢太郎くんよ。
前回、この男とは交通事故の快気祝いで
ピアット・スズキに行き、
うまいうまいと泣きながら食った。
味覚と涙腺が直結したのは初めてだった。
ぼくにはあれがいままで生きてきたなかで
いちばんうまいめしだった。
と、なんだか照れつつ
(その気分が自分でもよくわからないんですけど)
そう言うと、「おれもそう思ってた!」
いうことなのでよかった。しかし、
‥‥てことは、あれを超える「うまいもの」を食うのは
たぶん、今後、無理だと思うのだ。
あの日は、あらゆるタイミングが、
たぶん星の奇跡として、合った日だった。
星の奇跡を「うまいめし」に使ってしまうわれわれも
どうかと思うんだけど、ま、40年に1度ってことで、
許してください。
しかしその思い出があまりに強烈なものだから、
今回はスズキを外しました(スズキさんごめん)。
ほとぼりがさめたらまた同じメンツで行きますね。
ぼくは2004年12月13日月曜日のあの料理を
生涯忘れないことでしょう。ほんとうに。
それで、今回は、言い訳としては合同誕生会。
ぼくはひと月過ぎちゃったけど、
やつは、エイプリルフール生まれで
しかも40歳になりたて。
べつにめでたくもないんだと思うが、
やっぱりおめでとう。
生きて40になれてよかったじゃないか。
ということでレストラン選びは、
まちがいなく別の感動があるはずの
ローブリューが第一候補だったんだけど
1週間前では予約がとれなかった。
金曜日はとくに。残念だ。なんか2週間は必要みたい。
で、あ、そうだ、ここがあった! の、
六本木のオステリア・ナカムラ。
まったくちがう性格の男の料理。
どう性格が違うかというと、
スズキさんには
「スズキさんたら、んもう、イジワルなんだから!」
とハンカチを噛みながら言いたくなり、
ナカムラさんには
「あなたはほんとうに実直でいい人だ!」
とタオルで汗を拭きながら言いたくなる。
そんなかんじです。
ディナーコースは4000円。すごく安い。
けど絶対に足りないのでアラカルトにする。
メニューを決めるのはすごく簡単。
なぜなら意見が一致するからです。
前菜に、焼き野菜のアンチョビソース、
白インゲンのピューレにのせた海老、
ホワイトアスパラガスのベーコンソース。
パスタは、カラスミ、そして、
すなぎもとタケノコのラグー。
どちらも手打ちめん。カラスミはスパゲティ、
ラグーは、ひもかわうどんみたいなやつ。
リッチャレッレだっけ? レレレのレ? なんかそういうの。
メインは、やんばる豚のグリル、
それから牛のスネ肉のオーブン焼き。
以上、すべてはんぶんこして食べました。
デザートは、バルサミコで煮たいちごと
バニラのジェラート、リコッタチーズのケーキ。
最後の料理を出すとき、マダムナカムラが
「こんな量、ほんとうに大丈夫ですか。
多かったら、残していいですからね」
とやさしく言ってくれました。
しかしそんな親切も無駄にするほどに
ぺろりと平らげてしまいました。
厨房でナカムラさんが
「‥‥よく食うなぁ‥‥」
と言っているのを友人は聞いたそうだ。
はい、よく食います。しかも、
「じつは、まだ足りません!」
(ほんとにまだ余裕があった)
と言ったら、本気で驚いた顔をしていた。
テリーヌも食べればよかったねと話していたのだ。
ところでこの店には一回行っただけなのに
マダムがちゃんと覚えてくれていたのに感激。
「モツが、お好きなんですよね」
って、そんな細かいところまで。ありがとうございます。
こんどはモツ用意しておいてください。
後日、店の隣のテーブルにいた3人組の女性が
K書店ツツジュンさんの友人だということが判明。
「男お二人さんは
凄く食べ物好きなんだろうな〜って思わせる程
真剣に一番入口の席で食べてたよ。」
だそうです。そうさ、いつも食べるときは真剣さ。
‥‥はぢかしい。
●TARO-Tイベント。
向ヶ丘遊園駅って初めて降りた。
遊園地があったころに駅と園を結んでいたという
モノレールの跡地が不自然な広さの中央分離帯になっている
駅前の道をまっすぐ歩くと、生田緑地に出る。
その中に、というかかなり奥に、岡本太郎美術館がある。
1年‥‥もっとかな? 続けてきたわが社の
岡本太郎プロジェクト。TARO-T展ファイナル。
もとはといえば、あるスタッフの
熱い想いひとつで始まったことだった。
それがいつのまにか、うちのボスやら伊賀ちゃんやら
いろんな人や会社をまきこんでの
こんなでっかい仕掛けになった。
それはもちろん岡本太郎という人の
とんでもないパワーがあったからこそだし、
こうして「死んでも生きている」っていうのは
冥利に尽きるというやつだよなあと思う。
「なんだかとんでもなくすごいこと」
ができるときって、
縁だの運命だの大げさなこともあるんだろうけど、
「無茶が通れば道理が引っ込む」力だということだ。
もちろんその無茶は、思いつきの原子核を育てて
周到に準備して爆発させたもので、
道理に通じるみちすじを予想しながら、
のことだったりもするんだけれど、
それにしても博打の要素がなかったとは言えない。
でもできた。
なんとかなるもんです!!
よくやった!!
夜の生田緑地は幻想的ですこし寒かったけれど
パーティ盛況。田島番長もひょっこり。
伊賀ちゃんのお兄さんと名刺交換をしたら
なんと「ピアット・スズキ」や「ヴィーノ・ヒラタ」に
トリュフやベーコンを卸しているイタリア食材やさんだった。
21世紀の東京的食物連鎖?!
それからポー・ワングさんのアシスタントのボタンさんと
アーティストのキミさんが、セントラルパークのクリスト展を、
ばっちり見てきたという話を聞かせてもらい、
すごく面白かったなあ。
なお、TAROプロジェクトはじつはまだ続きます。
たぶん。きっと。
●One Fine Day
桜吹雪の日曜日、ミクシィを見ると
みんなお花見してたんだねえ。
ぼくは大橋歩さんをゲストに迎えての、
大貫妙子さんのトークライブ@銀座山野楽器。
すばらしかった!
あ、いや、司会進行役の不肖武井は、
最低レベルでOK、
みたいな出来だったとは思うのだけれど、
なにしろサービス精神がきわめて旺盛な大貫さん、
素のままで喋るだけで、ほんとうに楽しいのです。
ほっんと素だったなあ大貫さん。
でもだからこそ、お客さんを飽きさせない!
40分の予定を超えて1時間10分喋りました。
大貫さんがなにか「がーっ」と言うたび
「ほんとうは、恐くないんですよー」
と僕がボケる(?)と
お客さんがどっと笑ってくれるのが嬉しかった。
‥‥って、漫才じゃないんですから。
大貫さんと事前に決めてあったのは、
心から尊敬している大橋歩さんが、
まず人前に出て喋るなんてことのない大橋歩さんが、
こうして出てくださるのだから、
(それだけでもすごいことだ!)
大橋さんに対しての「おもてなし」の気持ちを
強く強くもとう、ということ。
あとは、何を喋るかはまったく打ち合わせなし。
というもののぼくは不安なので、いちおう質問項目を
手帳にメモしておいたんだけど、
ほとんど使うことはありませんでした。
ほんとうは「年齢を重ねてからの友情」みたいなことや
「恋愛と友情の境目」みたいなことをも
この大先輩おふたりにお聞きしてみたいなあ、
と思っていたんだけれど、
それはちょっと春の日曜の銀座にはそぐわず、
また、その話題の方向には向かわなかった。
基本的に仕事‥‥というか人生の姿勢、
みたいなことになっちゃったかな。
大橋歩さんがどんな気持ちで「ARNE」を始めたか、
ということを、おおらかにのびのびとした声で
明るく話してくださったんだけれど、
イラストレーションが雑誌にとって
一部品でしかないということにたいしての
消化不良な感じとか、
広告のイラストに使いたいと依頼されても
じっさいはプレゼンに参加するのみで、だめだった、
ということの繰り返しの日々のなか、募る疑問。
じゃあ、じぶんでなにもかもやってみよう! と考えたとき、
さあなにをやろう、そうだ雑誌だ、と思ったと。
くしくも、それはご自身がデビューした媒体
(大橋さんは「平凡パンチ」の専属イラストレータだった)
だったのも、めぐりあわせかしら‥‥と。
この「ぐるっと回ってもういちどそこに戻る」
というテーマは、大貫さんのレコーディングの方法とも
リンクする話題だったりして、
そんな話で時間がすぎていきました。
なお、いまだ、「ARNE」は、
やっとアシスタントが1人ついたけど
撮影も原稿も台割作成も
ぜんぶ大橋さんがやっているんだそうです!
宅急便で書店に送る、ということまで!
さすがに体力が要ることは、
手伝ってもらうようになったけれど、
とおっしゃるけれども。
でもそういうことができる背景には
デジカメやパソコンという便利なものがあって
いままですごくお金をかけなければできなかったことが
ほんとうに安価にできるようになったこともあったり。
つまり、「いま」の時代だったから、
こうして個人的な雑誌ができた、のだと。
ミーハーだけど、最後に記念写真を撮っていただいた。
顏ぱんぱんだ、僕。
あと、ぼくは身長が163センチなのででかくないです。
おふたりが、小柄なのです。
終わってほくほくとニューオータニまで行って
「スーパーショートケーキ」を自分に御褒美!
と思ったんだけど、今日の運を使い果たしたか、
「さきほど最後の1コが出てしまいまして‥‥」。
がーん!
かわりにエルメのプレジール・ショコラを食べました。
あいかわらず、うまかった。満足。
そして四谷まで、花見客であふれる埃だらけの土手を歩き、
丸の内線で新宿に出て伊勢丹で食材。
これでいつもの日曜日‥‥となるはずが、
たくあんを買っていたら背後からマイミクの友人が巨大な声で
「イベント終わったのか!!」と声を掛けてきて驚愕。
こいつはもともと声がでかいうえに酔っぱらってやがる。
花見帰りに、ふらふら寄ったら、僕を見つけたのだという。
納豆と豆腐ハンバーグを持ったままお茶しました。
そのまま飲むか! という話にもなったけど
まだ肉を買ってないし、お互いクタクタだったのでやめた。
その後もいちど伊勢丹で、久しぶりにたらこを買ったら、
いつものおばさんに靴を褒められ、
たらこ1パックしか買ってないのに
2パックおまけにくれました。
ううむ、今日の運勢はどうなってるんだろう。
One Fine Dayなのだろうなと、ほどよいオチがついたところで
これから刺し身でえんどうまめのごはんの夕食です。
わりと平和だったと思う。うん。