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このごろ野菜は。

あたらしいスーパーが２軒できた。
１軒は勤務先の近くでわりと都心高級系、
１軒は最寄り駅の近くで、関東ディスカウント系。
その都心高級系のほうに、仕事帰りに寄ってみた。
広くはないけれど、ちゃんと牛肉の対面の売り場があったり、
保存食系の品揃えはいいし、デイリーフレッシュ系もたっぷり。
野菜やくだものはイマイチかなあと思いつつ、
スムージーに入れようとセロリを買ってみた。

これがダメで！
冷蔵庫で３日で腐っちゃった。
前日まで元気だったのに、いきなり。
それも、一気に全体がぐしゃっと溶けた。
茎も葉も、一気にです。
弱いなー。見た目ばっかしだなー。
ああ、これが人だったら、
こんな人間とはつきあいたくないし
こんな人間にはなりたくないなあ。すぐ腐る。
そういえば以前便利につかっていた
わりと近くのちいさな青果店があったのだけれど、
同じことがあって（買った翌日、溶けるように腐った）、
そこはわりと志高くやっていたはずなので
「こんなことがあった」とメールしてみたのだが、
いっさい返事がなかったので、行くのをやめちゃった。

週に１度の買い出しだと、
食材は健康、かつ、よくもってくれないと困る。
というか健康な野菜は青菜でも
１週間くらい平気でもつはずだ。
金に糸目をつけなければ青山の紀ノ国屋はすごい。
むかしっからテーブルまわりのスタイリストさんは
（料理ではなく、食器を見せるときに、
　野菜なんかを配置する場合）
「野菜は青山の紀ノ国屋なのよ」と言っていたなあ。
ヘタらないんだって。なんだかプロのモデルっぽい。

そこまで高くはないけど、
伊勢丹の地下の野菜はなかなかいいし、
タカシマヤもがんばっている。
けれどなんというか「野性味」みたいなものには、
どうしたって、欠ける。
とてもきれいな野菜ばかりで、育ちもいいんだけれど、
優等生がずらり、という感じがちょっとなじめない。
そこまできれいで優秀な子ばかり選ばなくってもいいんじゃない？
と思ってしまうんですね。
これはお店の方針だから、ぼくがとやかく言うことじゃないけど、
もっと「いのち」な感じのものがいいなあと思うのだ。
わんぱくだったり、やんちゃだったり、色っぽかったりさ。
その点都心のデパ地下の野菜は
みんな正座して待ってるみたいな印象だ。

そんななか、土日開催の
青山ファーマーズマーケットに行くようになった。
最初はどうなのかなって思って近づかなかったんだけど、
ふと行ってみたら、とてもいいんですね。
ここには産直のブースもあれば、青果店のブースもあって、
とくに産直系は、作り手が自分で売っているのがいい。
もちろん見た目はそんなに気にしていないものが多い。
当然のように土もついてるし、虫食い上等、
ときには虫もいっしょに入ってたりするけど、
「いのちそのもの」の元気さ、健康さがあるんだなー。
売ってる人も「これ、見た目はわるいけど、おいしいよ！」
って、自信をもって売ってるのがいい。
そして、青菜だって平気で１週間はもつ。
２週間くらいでもかなり大丈夫。
しなびることはあっても、
あんなふうに一気に腐ることはない。
長く保存しすぎていると、葉っぱの一部分が
ちょっとダメかなーってことはあるけど、
そこだけ落とせばちゃんと使える。
これが人間だったら信用できるでしょう。
じぶんもそうありたいものです。

そんなわけで青山ファーマーズマーケットではこのごろ、
野菜と果物、納豆、味噌、醤油、胡麻油などを買っている。
きのこもあれば買う（でも夏の間はお休み）。
ときどき米も買う。たまごも。
対面販売でそれぞれのブースで現金精算だから
なにかと話をするのも楽しい。
なかには「このトマトは世界一おいしいですうっ！」
などと言い切る、やけに目のきれいなおばさんがいたりして、
そういうこと言わないほうがいいよって思ったりもする。
「‥‥世界一って、そんなことないでしょ？」
「いいえ、ほんとうですうっ！（きらきら）」
「だって、おいしいトマトって、いろいろあるでしょ」
「いえ、ほんとうなんですうっ！
　このトマトが世界一おいしいんですうっ！
　どうか召し上がって！（きらきらっ）」
と。こういう人はかなり苦手なんだけれど、
まあ近づかなければいいわけで。
（買ってみたけど高いわりに普通でした。まずくはないけど。）
先週は「いましか出ないんだよ」という
沖縄の生のもずくが出てたので買ったら
これがもう、おいしいのなんの。
あっという間になくなったので
また欲しいなあと思って今週も行ってみたけどもうなかった。
（そのブース自体がなかった。）

願わくば、欧州のマルシェのように肉や魚やチーズが
あったらいいのにな、とも思わないでもない。
でもそこはまあ、東京はいい店がいっぱいあるし
（基本、精肉は伊勢丹新宿店に行きます。
　ホルモン系がほしいときは渋谷市場。
　牛はタカシマヤの今半か松屋の日山、
　鶏肉だけは明治屋のがじつは好き。
　魚は渋谷市場か東急フードショー。
　ああ、一箇所にあったらどんなにラクだろう‥‥）、
そもそも、気候がこんなんだから、
ああいう青空市で冷蔵品を扱うのは
なかなか難しいところでしょうね。
そうそう、ヴァンナチュールのブースとかあったら
人気になると思うんだけど。



写真は黒大根。葉っぱ落として１週間くらい干して
しわしわになってからグリルするとおいしいよ、
って言われたので、いま干しております。

ルンバかダイソンか。

ルンバがほしいなあとフローリングのこの部屋に越してきてから何度も思った。
あのロボット掃除機である。
前の部屋はカーペットだったのでそんなに気にならなかったのだが
フローリングは掃除を怠ると埃が浮くし、スリッパの裏がジャリジャリする。
まめに掃除機をかけ、拭き掃除をすればいいのだが、なかなかそうもいかず、
ジャリジャリしたりフワフワしたりしてからやっと掃除機を出す。

しかしこの掃除機をかけるという行為が苦手で。
何がどう苦手なのかというと、コードが引っかかることや、
ホースが拗（ねじ）けること、方向転換のときに家具に引っかかることだ。
苛々する。なぜか汗をかく。
道具がとっちらかるのもイヤだし。
せめて掃除機が気に入れば違うだろうとずいぶん前にセールで
ダイソンのいわゆるキャニスター型掃除機を買った。
その妙ちきりんな形状や色彩感覚はとても好きなのだけれど、
だからといってやっぱりしょっちゅう出してかけるわけでもない。
そもそも掃除機を出してセッティングするのが面倒なんだもの。
出してかちゃっと嵌めてコンセントひっぱって電源を差し込むだけなのに。

だからジャリジャリやフワフワがあまり好きじゃなくても、
見つけたらすぐになんとかしたい気持ちをないことにして、
見て見ぬフリをして、ギリギリまでほうっておくのだ。
引き戸のレール部分に溜まる小さなゴミなんかも気になるが、
「いずれまとめて」なんてことにして無視する。
あんまりよろしくない。仕事だったら自分を叱る案件である。

ルンバのすばらしさは、猫を飼っている家や忙しい家庭のヌシたちからの絶賛で
「なるほどそういうものか」と理解している。
初期費用のみならずランニングコストが（毎年バッテリーを交換するとか）かかるし
けっこう壊れるみたいだということもわかったが、
ルンバ愛好家たちはそれを厭わない。コストを補って余りあるよさがあるのだろう。
昼間不在のぼくのような生活スタイルだったら、
セッティングしておけば留守の間に掃除ができちゃうわけで、
そりゃあ便利だろうなあと思う。
知らない間にあの床のジャリジャリがなくなるんだから。

わかる。わかるのだが、踏み切れずにいた。
くれる人がいれば遠慮なくもらうだろうけど、という感じで。
なぜだろう。理由は値段の高さだけじゃないはずだ。

いっぽう、コードレスのハンディタイプの掃除機のよさ、というのもまた
コードレスハンディ派の人びとからよく聞いていた。
気になったらサッと出してチャッとかけておしまい。
すごく便利だそうだ。きっとそうなのだろう。
そしてコードレスを導入するならば
「ダイソンは高いからＭ社のにするといい」という意見も多かった。
壊れたら平気で買い替えられそうな価格帯のＭ社製品は、
なるほど悪いとは思わないがすがたを見るにぼくの好みではない。
残念だけど仕方がない。

「たのしいほうがいい」と思っているんだろうなあ、と思う。
暮らしが。掃除ですら。
主体的な行為としてたのしみたいと。
そんななかで選ぶとコードレス掃除機はいい。
そして見た目のたのしさや、
ばかばかしいとすら言えるほどの高性能の追求がダイソンにはあって、
これを使うこと自体が面白いじゃないかと思う。

ルンバにも「ばかばかしいとすら言える」部分は濃厚にある。
けれども、購入者（使用者）はルンバの奴隷になるわけである。
奴隷は言いすぎか。お世話係ですね。
掃除はあっちがするわけで、ぼくはごみ捨て係になるわけでしょう。
主体を失った掃除という行為。
それがどうも。
これは一眼レフを使うとき
「せめてピント合わせは自分でしたい」と思うのに似ている。
たまにオートフォーカスを使うとすごく便利ではあるんですけどね。

というわけできょうダイソンのコードレス掃除機が届いた。
買っちゃったのだ。ほとんど衝動買いである。
勤務先で隣席の夫人となんとなく話していたら
「わたし、先週、壊れたのをきっかけにルンバをやめて、
　ダイソンのコードレスにしたところです！」
とニコニコと言うのが背中を押した。
そうでしょうそうでしょう、やっぱりそうでしょう。

ちなみに長く使っているキャニスター型は壊れたわけではない。
けれどもチャッと出してサッとかけられる状態が欲しかった。
ダイソンのコードレス掃除機は壁にかけて充電セットできるんだけれど、
そのすがたが悪くない。というかかなりヘン。
洗面脱衣所にいいスペースがあったので、
いま、そこにセッティングして最初の充電中なんだけれど、
はやく使いたくて仕方がない真夜中である。
うるさいからしないけど。
そこまで掃除をさせる気になるんだから、ダイソンのコードレス、
たいしたものだと思うのですよ。