日曜日。6時起床。
歯を磨き顔を洗い、コンタクトレンズを装着。
襟つきのシャツ、革の靴、カーディガン、くびまき。
機内が寒いかもしれないので、ねんのためハラマキ。
(JALは寒いことないと思うけど。)
機内に持ち込む手荷物とパソコンを抱えて階段を下りる。
おっとっと、腕時計を忘れるところだった。
トランクは昨晩のうちに階下に降ろしておいた。
持ってみると、これはいくらなんでも重すぎる。
体感35キロくらいになっている。
なんたって大型本が何冊も入っている。
(ワインの教科書を買いました。)
まず本はぜんぶ手荷物にしよう。
1キロあるキャラメルの大袋も、だな。
ワインは手荷物じゃ持ち込めないしなあ。
あれこれ工面してなんとか
エコノミークラスの規定重量内になるよう分散させました。
冷蔵庫に残しておいたネクタリンを齧り、
バドワ(炭酸水)を飲む。
バドワのペットボトルは今回の滞在で
2リットル入りを12本消費した。
なんだか気が抜けてる感じのするフランスの水で
(ガラス瓶入りはもうちょっと炭酸が強いのかなあ?)
ひじょうに庶民的なものだが、
こういうアパート暮らしにはぴったりだ。
ペリエでは、決して、ない。
もちろんサンペレグリノでもない。
やっぱりバドワ。
日本で飲んでもべつに格別
おいしいと思えないところもいい。
ちなみにビストロでは水道水派です。
あれでじゅうぶん。
7時半。
頼んでおいた迎えのクルマが来る。
アパートの前はうんと狭い露地なので、
10メートルほど石畳をがったんごっとんいわせて
トランクを運ぶ。
きちんとしたハイヤー、真面目そうな運転手。
ちょっと高いけど、帰路は安心なほうがいい。
(ホテルならいくらでも手段があるんですけどね。)
青空。明け方に雨が上がったんだな。
そうだ、旅立ちの日は晴天がいい。
クルマのトランクに荷物を入れてもらう。
ああ、ほんとうに帰るんだなあと思う。
‥‥いかんいかん、
ここでセンチメンタルになっちゃいかん!
そういえば、最初に来たとき、タクシーの前で
帰りたくないというぐずぐずの顔を
あからさまに見せているぼくに向かって、
「こういうときは、あっさりのほうがいいのよ!
さ、乗って乗って!」
と見送ってくれたリコちゃんが言い、
バタンとドアを閉めて元気に手を振った。
おなじようになんだかめそめそくよくよしている
たかしまさんを前に、いかんいかん。
たくさんのさよならを経験して、
ぼくもそんなふうにできるはずなのに。
発車。「トキオのアネダ往きですね」と運転手。
Hを発音しないから地名でもアネダになっちゃうんですね。
直前でやや渋滞したものの、
じゅうぶん早い時間にロワジー到着。
あまりにあっさり着いちゃったので
センチメンタルになる暇がなかった。
それでいいのだ!
ターミナル2Eはすでに大混雑。
人だらけ、いろんな言葉だらけ。
いろんな流れが混じっている岬の海流のようだ。
JALのカウンターは、開く5分前で、
スタッフがミーティングをしている。
そしてまだ誰も人は並んでいない。
自動チェックイン機は使えるみたいだけど、
そうすると一括集荷の荷物のドロップで
別のところに手続きに行くんじゃなかったっけ。
ここはぜひ荷物のことも
JALのひとにやっていただきたいのと、
購入のとき持っているマイレージを使って
Cクラスへのアップグレードを申し込んでいたのを確認すべく、
人のいるところに並ぶことにする。
カウンターが開き、いちばん乗りで受付。
アッグレードは、満席ゆえ、かなわず。
けれどもプレミアムエコノミーの席に
追加料金で乗れることになった。
しかもそのエリアのいちばん前。
足もと広いぞ。よかった!
預け入れ荷物の重さもぎりぎりクリア。
そうだ、けれども、「鍋」がある。
そう、ヴァンヴの蚤の市で買った、銅の巨大な鍋。
トランクにはとても入らないので
(入ったとしてもえらい重量になってしまう)
スーパーの袋に入れたまま単体で持ち込んだのだ。
なんと生活感のある荷物。
ちょっとびっくりされたけど、
ちゃんと運んでくれるというのでほっとする。
席のことも含め、不安ないろいろを投げ掛けたら、
日本人の女性スタッフふたりが
ていねいに対応してくださった。
ちょっと手続きに時間がかかっているあいだ、
ワインの運びかたの話や、料理の話などをする。
こちらでワインを買われるなら、
コンテナをお持ちになるといいですよ、
とアドバイスをいただく。
日本に戻ったら調べてみよう!
*追記 調べたらヤマトにこういうのがありました。
「ボトルBOX2本用(ワイン対応)」
羽田でもそうだったけど、
JALのホスピタリティと
誠心誠意ぶりはほんとうにすごいです。
がんばれJAL! また乗るよ!
ところで荷物ってエコノミークラスで
23キロ×2個まで大丈夫なんですね。
そうか2個口にすればよかったんだ。
といっても今回は鍵つきのかばんがない。
次回は、畳んでスーツケースに入れられる
ソフトなバッグを持ってくるか、
あるいは最初からスーツケース2個で来るか、考えよう。
そうすれば好きな服がもっと持ってこられるし、
ワインや本もまだまだ運べるじゃないか!
エアパッキン、ガムテも必需品だな。
こうして「また来るぞ」モードで
センチメントを吹っ飛ばそう。
はやめに出国審査を受け、搭乗口手前で朝食。
サラダとクロワッサンとコーヒーと水で2000円くらい。
空港内、たかっ!!
ありえない値段。悔しいけど払って食う。
まずくは、なかった。
iPhoneで自分撮りしたら、やけに顔のくどい男が。
もしかして肉の食べすぎ?!
飛行機は定刻どおり出発、
わりとすぐに夕食が出た。
午前中に出発したけど東京時間はもう夜なので夕食なのだ。
けっこうなボリューム。
食わせて寝かせちゃえ! という魂胆ですね。
無念だが炭水化物はパス。おかずだけ。
さっきクロワッサン食べたしね。
こうして3日間のブログをまとめて書いているあいだ、
窓の外は、朝から昼、夕方になっていった。
茜色から群青色へのグラデーションの空のなか、
飛行機の高さに浮かぶ月を見たと思ったら、
あっという間に夜になってしまった。
そうして暗闇の中、
いまこうして座席でパソコンを打っている。
旅はまだ続いているのか、
それとももうとっくに終わっているのか。
たぶん、離陸の瞬間が、エンディング。
飛行機の旅は、
タイヤが滑走路を離れたときが旅の終わりだと、
ぼくはなんとなく思っている。
その時から「この街」が「あの街」になる。
そして、機内から帰宅まではエピローグ。
目を閉じていろんなことを思い出せばいい。
そこから先はもう日常。
どうしたってぼくはパリのことを忘れていくし、
無理やりヘタなフランス語を使うこともなくなる。
パリのほうはもちろんぼくのことなんか必要としていない。
ヘミングウェイはこう言っている。
──────────────────────────
If you are lucky enough to have lived in Paris
as a young man, then wherever you go
for the rest of your life it stays with you,
for Paris is a moveable feast.
(もしきみが幸運にも青年時代にパリに住んだなら、
残りの人生をどこで過ごそうと、
パリはきみについてまわる。
なぜなら、パリは、移動祝祭日なのだから。)
Ernest Hemingway
──────────────────────────
青春の一時期ではないけれど、
最初に訪れたときからずっと、
ぼくにもたしかにパリはついてまわっていると思う。
しょっちゅう「かぶれている」という一言で片づけられ、
嗤われるけど、べつにいい。
ささやかながら自分だけのパリが、いつでも、
ヘミングウェイのいう移動祝祭日のように、
心の中にあることを、ぼくはとても誇りに思う。
あなたの旅のスタイルがぼくには真似できないように、
ぼくの旅はぜったいにあなたには再現できない。
だから、ぼくはそのことをとても大切にしている。
それでいいじゃないか。
今回、たかしまさんと同行したけれども、
そこにはふたつの旅が同時にあったのだと思う。
たぶん、たかしまさんにもパリはこれからずっと、ついて回る。
石畳が歩きにくくて人が多くて、
困っちゃう人も面倒な若者もけっこういて、
ときには厄介な目に遭ったり危険だったりもする街。
そういうことを注意深くすり抜けても、
自動化されている便利なはずのところが
やけに使いづらかったり、故障ばっかりしていたり、
「それって東京じゃありえないんだけど」
という小さなトラブルばかりだ。
地下鉄の駅やちょっと隅っこの暗がりは
まずおしっこ臭いし、
以前より減ったとはいえ犬の落とし物は
毎日新鮮でほかほかのものが見られる。
なんという不衛生。
これまた減ったとはいえゴミも多い。
たばこのポイ捨てはもう全域がそうだ!
きっと悪口を言い出せばきりがないのだろうが、
思い出すパリはなぜかいつもキラキラとしている。
そもそも、現地でだって
うまい肉とチーズと野菜とワインですべてがちゃらである。
ぜんぶ赦す。
やっぱり好きなんだよなあ。
惚れた弱み。ああなんと厄介な街だろうか。
30カ国150都市、
いろんな土地に行ったけれど、あんな街はない。
ほんとうにないのだ。
暗闇のなか飛行機の翼の輪郭を探しながらぼんやり考える。
あと何回、旅に出られるだろう。
どんな季節にあの街を訪れるだろう。
誰に会うのだろう。なにを食べるのだろう。
でも、旅に向けてそんなプランニングをしても、
なにひとつとして役に立たない。
人生に残る季節を数えても予定どおりにはいかない。
それは死んでしまった友人たちが教えてくれた。
いつの間にか機内の照明も落ちた。
まわりの人たちはぐっすり眠っている。
しまった、寝そびれた。
ぼくもパソコンを閉じて一眠りしよう。
起きたら東京の朝が始まっているはずだ。
* * * * *
ということで、久しぶりの旅日記、
お読みいただきありがとうございました。
またどこかに行きたいな。できればパリ経由で。
歯を磨き顔を洗い、コンタクトレンズを装着。
襟つきのシャツ、革の靴、カーディガン、くびまき。
機内が寒いかもしれないので、ねんのためハラマキ。
(JALは寒いことないと思うけど。)
機内に持ち込む手荷物とパソコンを抱えて階段を下りる。
おっとっと、腕時計を忘れるところだった。
トランクは昨晩のうちに階下に降ろしておいた。
持ってみると、これはいくらなんでも重すぎる。
体感35キロくらいになっている。
なんたって大型本が何冊も入っている。
(ワインの教科書を買いました。)
まず本はぜんぶ手荷物にしよう。
1キロあるキャラメルの大袋も、だな。
ワインは手荷物じゃ持ち込めないしなあ。
あれこれ工面してなんとか
エコノミークラスの規定重量内になるよう分散させました。
冷蔵庫に残しておいたネクタリンを齧り、
バドワ(炭酸水)を飲む。
バドワのペットボトルは今回の滞在で
2リットル入りを12本消費した。
なんだか気が抜けてる感じのするフランスの水で
(ガラス瓶入りはもうちょっと炭酸が強いのかなあ?)
ひじょうに庶民的なものだが、
こういうアパート暮らしにはぴったりだ。
ペリエでは、決して、ない。
もちろんサンペレグリノでもない。
やっぱりバドワ。
日本で飲んでもべつに格別
おいしいと思えないところもいい。
ちなみにビストロでは水道水派です。
あれでじゅうぶん。
7時半。
頼んでおいた迎えのクルマが来る。
アパートの前はうんと狭い露地なので、
10メートルほど石畳をがったんごっとんいわせて
トランクを運ぶ。
きちんとしたハイヤー、真面目そうな運転手。
ちょっと高いけど、帰路は安心なほうがいい。
(ホテルならいくらでも手段があるんですけどね。)
青空。明け方に雨が上がったんだな。
そうだ、旅立ちの日は晴天がいい。
クルマのトランクに荷物を入れてもらう。
ああ、ほんとうに帰るんだなあと思う。
‥‥いかんいかん、
ここでセンチメンタルになっちゃいかん!
そういえば、最初に来たとき、タクシーの前で
帰りたくないというぐずぐずの顔を
あからさまに見せているぼくに向かって、
「こういうときは、あっさりのほうがいいのよ!
さ、乗って乗って!」
と見送ってくれたリコちゃんが言い、
バタンとドアを閉めて元気に手を振った。
おなじようになんだかめそめそくよくよしている
たかしまさんを前に、いかんいかん。
たくさんのさよならを経験して、
ぼくもそんなふうにできるはずなのに。
発車。「トキオのアネダ往きですね」と運転手。
Hを発音しないから地名でもアネダになっちゃうんですね。
直前でやや渋滞したものの、
じゅうぶん早い時間にロワジー到着。
あまりにあっさり着いちゃったので
センチメンタルになる暇がなかった。
それでいいのだ!
ターミナル2Eはすでに大混雑。
人だらけ、いろんな言葉だらけ。
いろんな流れが混じっている岬の海流のようだ。
JALのカウンターは、開く5分前で、
スタッフがミーティングをしている。
そしてまだ誰も人は並んでいない。
自動チェックイン機は使えるみたいだけど、
そうすると一括集荷の荷物のドロップで
別のところに手続きに行くんじゃなかったっけ。
ここはぜひ荷物のことも
JALのひとにやっていただきたいのと、
購入のとき持っているマイレージを使って
Cクラスへのアップグレードを申し込んでいたのを確認すべく、
人のいるところに並ぶことにする。
カウンターが開き、いちばん乗りで受付。
アッグレードは、満席ゆえ、かなわず。
けれどもプレミアムエコノミーの席に
追加料金で乗れることになった。
しかもそのエリアのいちばん前。
足もと広いぞ。よかった!
預け入れ荷物の重さもぎりぎりクリア。
そうだ、けれども、「鍋」がある。
そう、ヴァンヴの蚤の市で買った、銅の巨大な鍋。
トランクにはとても入らないので
(入ったとしてもえらい重量になってしまう)
スーパーの袋に入れたまま単体で持ち込んだのだ。
なんと生活感のある荷物。
ちょっとびっくりされたけど、
ちゃんと運んでくれるというのでほっとする。
席のことも含め、不安ないろいろを投げ掛けたら、
日本人の女性スタッフふたりが
ていねいに対応してくださった。
ちょっと手続きに時間がかかっているあいだ、
ワインの運びかたの話や、料理の話などをする。
こちらでワインを買われるなら、
コンテナをお持ちになるといいですよ、
とアドバイスをいただく。
日本に戻ったら調べてみよう!
*追記 調べたらヤマトにこういうのがありました。
「ボトルBOX2本用(ワイン対応)」
羽田でもそうだったけど、
JALのホスピタリティと
誠心誠意ぶりはほんとうにすごいです。
がんばれJAL! また乗るよ!
ところで荷物ってエコノミークラスで
23キロ×2個まで大丈夫なんですね。
そうか2個口にすればよかったんだ。
といっても今回は鍵つきのかばんがない。
次回は、畳んでスーツケースに入れられる
ソフトなバッグを持ってくるか、
あるいは最初からスーツケース2個で来るか、考えよう。
そうすれば好きな服がもっと持ってこられるし、
ワインや本もまだまだ運べるじゃないか!
エアパッキン、ガムテも必需品だな。
こうして「また来るぞ」モードで
センチメントを吹っ飛ばそう。
はやめに出国審査を受け、搭乗口手前で朝食。
サラダとクロワッサンとコーヒーと水で2000円くらい。
空港内、たかっ!!
ありえない値段。悔しいけど払って食う。
まずくは、なかった。
iPhoneで自分撮りしたら、やけに顔のくどい男が。
もしかして肉の食べすぎ?!
飛行機は定刻どおり出発、
わりとすぐに夕食が出た。
午前中に出発したけど東京時間はもう夜なので夕食なのだ。
けっこうなボリューム。
食わせて寝かせちゃえ! という魂胆ですね。
無念だが炭水化物はパス。おかずだけ。
さっきクロワッサン食べたしね。
こうして3日間のブログをまとめて書いているあいだ、
窓の外は、朝から昼、夕方になっていった。
茜色から群青色へのグラデーションの空のなか、
飛行機の高さに浮かぶ月を見たと思ったら、
あっという間に夜になってしまった。
そうして暗闇の中、
いまこうして座席でパソコンを打っている。
旅はまだ続いているのか、
それとももうとっくに終わっているのか。
たぶん、離陸の瞬間が、エンディング。
飛行機の旅は、
タイヤが滑走路を離れたときが旅の終わりだと、
ぼくはなんとなく思っている。
その時から「この街」が「あの街」になる。
そして、機内から帰宅まではエピローグ。
目を閉じていろんなことを思い出せばいい。
そこから先はもう日常。
どうしたってぼくはパリのことを忘れていくし、
無理やりヘタなフランス語を使うこともなくなる。
パリのほうはもちろんぼくのことなんか必要としていない。
ヘミングウェイはこう言っている。
──────────────────────────
If you are lucky enough to have lived in Paris
as a young man, then wherever you go
for the rest of your life it stays with you,
for Paris is a moveable feast.
(もしきみが幸運にも青年時代にパリに住んだなら、
残りの人生をどこで過ごそうと、
パリはきみについてまわる。
なぜなら、パリは、移動祝祭日なのだから。)
Ernest Hemingway
──────────────────────────
青春の一時期ではないけれど、
最初に訪れたときからずっと、
ぼくにもたしかにパリはついてまわっていると思う。
しょっちゅう「かぶれている」という一言で片づけられ、
嗤われるけど、べつにいい。
ささやかながら自分だけのパリが、いつでも、
ヘミングウェイのいう移動祝祭日のように、
心の中にあることを、ぼくはとても誇りに思う。
あなたの旅のスタイルがぼくには真似できないように、
ぼくの旅はぜったいにあなたには再現できない。
だから、ぼくはそのことをとても大切にしている。
それでいいじゃないか。
今回、たかしまさんと同行したけれども、
そこにはふたつの旅が同時にあったのだと思う。
たぶん、たかしまさんにもパリはこれからずっと、ついて回る。
石畳が歩きにくくて人が多くて、
困っちゃう人も面倒な若者もけっこういて、
ときには厄介な目に遭ったり危険だったりもする街。
そういうことを注意深くすり抜けても、
自動化されている便利なはずのところが
やけに使いづらかったり、故障ばっかりしていたり、
「それって東京じゃありえないんだけど」
という小さなトラブルばかりだ。
地下鉄の駅やちょっと隅っこの暗がりは
まずおしっこ臭いし、
以前より減ったとはいえ犬の落とし物は
毎日新鮮でほかほかのものが見られる。
なんという不衛生。
これまた減ったとはいえゴミも多い。
たばこのポイ捨てはもう全域がそうだ!
きっと悪口を言い出せばきりがないのだろうが、
思い出すパリはなぜかいつもキラキラとしている。
そもそも、現地でだって
うまい肉とチーズと野菜とワインですべてがちゃらである。
ぜんぶ赦す。
やっぱり好きなんだよなあ。
惚れた弱み。ああなんと厄介な街だろうか。
30カ国150都市、
いろんな土地に行ったけれど、あんな街はない。
ほんとうにないのだ。
暗闇のなか飛行機の翼の輪郭を探しながらぼんやり考える。
あと何回、旅に出られるだろう。
どんな季節にあの街を訪れるだろう。
誰に会うのだろう。なにを食べるのだろう。
でも、旅に向けてそんなプランニングをしても、
なにひとつとして役に立たない。
人生に残る季節を数えても予定どおりにはいかない。
それは死んでしまった友人たちが教えてくれた。
いつの間にか機内の照明も落ちた。
まわりの人たちはぐっすり眠っている。
しまった、寝そびれた。
ぼくもパソコンを閉じて一眠りしよう。
起きたら東京の朝が始まっているはずだ。
* * * * *
ということで、久しぶりの旅日記、
お読みいただきありがとうございました。
またどこかに行きたいな。できればパリ経由で。