早朝の羽田でIさんにばったり。
つい最近も仕事でご一緒したばかり。
台湾行きは、そもそも、そのご縁なんだけれど、
とくに予定をすりあわせず、
現地で連絡をとりあって、
夜はみんなでご飯を食べましょう!
というようなゆるい約束。
それがいきなり同じ飛行機とは! しかも席もすぐ近く。
Iさんは取材旅行。
同行の担当編集者のマダムは、時々お会いする、
おおきな声でよく笑う、あかるくて頭の回転がはやくて
食いしん坊で買い物好きで、という、とてもきもちのよい女性。
カメラマンのかたは、初対面だけれど、
お名前はよく存じ上げている著名なかた。
「大きなクルマが来るから、いっしょに行きましょう!
宿はどこ?」
と聞かれて答えると、なんと、同じホテル。
まったくの偶然!
しかも有名なホテルじゃない、隠れ家っぽいところ。
べつに吟味したわけじゃなく、
キッチン付きというだけでぱっと選んで楽天で予約したんだけれど、
なんと今回のコーディネーターさんのおすすめ宿なんだそう。
うむ、ついてる。
こういう縁には、乗っかろう! ということで、
一人旅が、急に、飛び入りグループ旅行になりました。
そもそもぼくも予定があるわけじゃないので
みんなにくっついて、
三谷龍二さんの個展会場であるギャラリーレストラン
「小慢」に直行。
三谷さん、初日でサインやお話ぜめで大人気。
「ぼくのことなんか誰も知らないんじゃない?」
なんておっしゃっていたのだけれど、
生活に感度の高いタイワニーズのあいだで
三谷さんがとても人気のある作家さんなのだとわかる。
作品も、梱包を解く先から売れていったそうで
「もう半分くらいになっちゃったんだよ」。
物価からするととても高価な作品群だと思うんだけれど、
「お茶会」というテーマとのマリアージュを目論む
三谷さんの作品への気合もすごくて、
今回のためにつくったものもたくさん。
これは台湾の人たちもうれしいよねー。
お昼はみんなで鼎泰豊本店へ。
コーディネーターさんたちが
「やっぱり本店は味が違う」という、その本店。
ものすごい行列だけど、4フロアあって、
回転もいいうえ、予約をしてくれていたので
ちょっと待ったけどわりとスムースに入れました。
小籠包、いやはやほんとうにうまい‥‥
東京店、シンガポール店、香港店と食べてきて
わりと鼎泰豊の味は知ってるほうだと思うんだけど、
ちょっとこれ東京でなんで再現できないのというおいしさ。
台北でも支店はちょっと違う味になっちゃってるそうだから
しょうがないのかもしれないんだけど。
ちなみにシンガポールや香港は、
とてもおいしかった記憶があるけれど、
それを上回る本店の味。
つきだしの筍水煮(!)、青菜炒めや鶏スープ、
そのほか、お総菜系の料理もぜんぶおいしかった。
食後は永康街をぶらぶらしつつ、
のどがかわいたので「50嵐」でタピオカミルクティ。
小満に戻って、オーナーのお宅見学。
とてもていねいな暮らしぶり。
ペントハウスがあって
屋上に庭、そして露天のバスタブと
露天のトイレ(!)があったのにびっくり。
そのあとIさんたちが市場の下調べに行くというので
ついていくことにする。
問屋街は、午後はもう閉まっている店も多いけど
(それに、土曜日だしね)
食材から雑貨から、ありとあらゆる専門店があって、
こういう生活の場、エネルギーの集散地は
なんでこんなにおもしろいんだろう。
台北の下町は建物のリノベーションが進んでいて、
けれども解体新築ではなく、あくまでもリノベーション。
古いれんがの建物を生かして作り直す、
みたいな感じなので、風情がうまく残ってた。
通りかかった「希望廣場」という、
東京で言うと明治公園みたいなところで
大規模な産直市が出てたのを覗く。
‥‥覗くつもりが、試食大会になる。
龍眼とライチのやったらでっかい瓶入り蜂蜜を買い、
ピータンも買う。
そのあといったんホテルにチェックイン。
なにしろ湿度と気温が高いので、ぐっしょぐしょ。
シャワーを浴びて着替えて、
ふたたび「小慢」へ。
ディナーの時間は満席。
「あそこは、台湾の有名な出版社の社長さんと、
電信会社の女性会長さんがテーブルを囲んでいるんですよ」
「こちらには、有名な陶芸家の先生が」
と、こっそり教えてもらう。
そういうお店なんですねー。
夕飯は、最初は「極品軒」を考えていたんだけれど、
のんびりしていたら遅くなっちゃって、あきらめる。
途中、ギャラリー(Hidari Zingaro Taipei)や
コーディネーターさんのやっている日本のうつわや台所用品の店に寄りつつ、
中山の「青葉」という老舗へ。
スタンダードな台湾料理で、紹興酒。
ああ、おいしい。
なんでもないけどおいしい、というやつですが、
ぼくらにはそもそも台湾料理というだけで「ハレ」なわけで、
地味に興奮しつつ食らいつく。
みんなでうまいうまいと箸を止めずに食べつづけていたら、
コーディネーターさんが笑う。
「こんなに早く料理がなくなるグループは
はじめて見ました。
それに、料理がきれいに片づいていってびっくり!」
そ、そう?!
そもそも食いしん坊&呑み助のチームではあるんだけど、
この美食で大食の街の人に言われると、
こっちがびっくりです。
といいつつ、完食。
いろいろ聞いたら、若い人はまず料理をしないし
中国茶もあまり淹れないのだそう。
いわゆる独身用のワンルームマンションには
最初からキッチンがついていないんだそうだ。
「なくてもぜんぜん不自由しません」
というのは、外食が充実しているからですねー。
早朝から朝の4時くらいまで、ってことは
ほぼ24時間、街には食べ物やが開いてる。
のむものはコーヒーが増えて、
だから食器はコーヒーマグが売れるんだって。
「でもこのごろは週末に料理をしようという
若いカップルも増えてきました」
いいキッチンがある部屋に住むのが
ステイタスみたいになってきたところが
あるんだそうです。
さーて、きょう(日曜)は取材チームとは離れて、
ぶーらぶらしてきます。
お昼は三谷さんと、夜は取材チームも合流して
いっしょに食べることだけ決まってます。
といいつつ、部屋が快適なのでなんとなく出不精中。