グ

肉とけだもの。

誕生日は「おめでとう！」だが
命日はなんかあるの？　言葉。
ひとまず「ありがとう」と言うことにする。
ほかに思いつかない。
何度でも言う、「ありがとう」。

●

床屋で長髪（当社比）をうんと短くしてもらう。
丸坊主じゃないぎりぎり。
担当の千葉さん（女性）、
「今回も攻めました！」と。
毎回、チャレンジらしいです。
はじめてマッサージをしてくれた、
異動してきたばかりの理容師さん（女性）が
ぼくの背中を揉んで驚いておられた。
「これ、肉ですか、しこりですか」と。
肉です。

●

朝食べたっきりで、夕方のジムで極限の空腹に。
でも直前に食べると気持ち悪くなるしなあ。
がまんしてぼーっとしながらやって、
終わって明治屋でステーキ肉一枚買って
家でこそこそ（こそこそする必要ない）
はだかのまま（暑かったんで）焼いて食った。
んまかったー。
つけあわせはトマトと、オニオンスライス。
炭水化物は抜き、だけど、食後に梨とネクタリン。
「肉と野菜とくだもの」って
かなり好きな組み合わせ。生肉もいいなあ。
はだかで食う、というところがポイント。原始ぽい。
「肉とけだもの」だな。
あ、焼く時は現代人なのでエプロンはしました。

わりとたいしたことない近況。

迷ってたリージョンフリーの
ＤＶＤ／ブルーレイディスクプレーヤー、
OPPO社のを買うことにしました。
これで米国版とかヨーロッパ版のディスクが観られる。
字幕の英語についていけるか、かなーり不安ですが。
そしてSACDも聴けるようになる。
アナログ出力の音がいいらしいので古いアンプにつなごう。
（うちはサラウンドじゃないです。）

ちなみにAmazon、日本で登録したメールアドレスとパスワードで、
ほかの国のページにも入れます。買い物もできる。
（国外発送不可のものも、ありますけど。）
amazon.comもamazon.co.ukもamazon.frも。
でもamazon.cn/は入れません。

あとDVD探すならここかな。

●

なくなった今敏監督の「最後の日記」なるものの
再録ページを、同僚がおしえてくれた。
面識はないですし、
作品もきちんと見ているわけではないですが、
1963年生まれですよ‥‥。
３つしかちがわない。
こんなふうに人生が終わるなんて、
「悪い予感のかけらもなかった」と思う。

これをうっかり朝のトイレで読み始めたら、
はらはら、はらはらと、涙が止まらなくなった。
加えてうちのトイレすごく暑いんで、
汗がぽたぽた、ぽたぽたと。
もうなにがなんだかわからないくらい
ぐしょぐしょになりました。

こちらです。

●

とてもひさしぶりに会った20年来の友人と飯へ。
夜10時すぎにまともなものが食べられる店、ってことで
ほかに知らないのでと言い訳しつつスズキさんに電話。
どうぞどうぞとおっしゃっていただき、
軽くさくっと、おまかせで超特急飯。
うまかったー。
前菜２（冷・温）、パスタ２（冷・温）、
Ｌボーンステーキに、デザート２。
どこが軽くさくっと、だ。満腹。
おたがい近況報告など、よく話す。
としをとったが、中身、かわんない。

●
Brian Wilsonの「Reimagines Gershwin」、
とてもおもしろく聴いたんだけれど
もうまったくそれはBrian Wilsonとしか言えないものになってて、
本家の持ってる、オシャレをして胸を張って
顎をきゅっと上げて口角の片方だけで笑う、
というような1920年代アメリカの
都会的イメージ（武井の勝手な印象です）が
みごとなまでに消し去られている。
どんなオーケストラでも消せないその匂いが
ブライアンには、消せるものなんだ‥‥。

●

麻布十番の公営駐車場、
横滑りで格納した車が、出る時は逆向きになる、
そのしくみやいかに？！　と思ったら、
あれって石川島播磨重工業と三菱重工の
「空母」づくりの技術を使っているんだって！
くうぼ！　「ちとせ」とか「かいよう」とかそういうの？
その方面は詳しくないですが、すごい。
でも陸海空、好みで言えば海だな。

●

急に風邪引いちゃって、恒例の伊豆旅行欠席。
鈴木さん誕生日おめでとうございまーす。
お祝いできなくて残念です。また近いうちに！

●

その伊豆旅行、ぎりぎりまで行こうと思って
荷物もつくってたんだけど、
シュノーケルを探して押し入れをごそごそしてたら
伊勢丹の紙袋の底から、赤い携帯電話が出てきた。

ここにあったんだ。

前に使ってたやつなんだけど、
「そういえばあれどこにやったかな」と
探しても出てこなかった一台。
なんでもないメールのやりとりがいっぱい入ってて、
それを読み返したいなと思ったときに出てこなかった一台。
で、電源入れて読み返してみたら、
「今日、ジム行けないです、すんません」
「ジム遅れます、すんません」
「明日のジムキャンセルしてください、すんません」
そんなんばっかり。
いまはちゃんと行ってるよー。
 
もうすぐ命日。

●

よく眠り汗をかいて風邪の追い出しに成功、
友達と約束してた新宿の寿司屋（「匠　達広」）へ。
ものすごく久しぶりに会う、20代からの友人。
今週はこういうタイミングなのかな？

その友人は、ほぼ同世代（もう40代はみんな一緒だ！）で
見た目はぼんやりしているがものすごく頭の切れる男。
剃髪（すごいな）してるんで、坊さんみたいな感じ。
こちらの発言を逃さずいちいち鋭く突っ込むので
適当なことが何ひとつ言えない相手なんだが、
こちらがちょっといい加減にしてたことまでもが
つまびらかになっていくわけで、
それはそれで必要な会話だと思うな。
おたがい、かかえている
「とんでもなく大きくはないが、解決しようのないこと」
「もやもやと、現状ではいかんと思いつつも、
　どうしようもないこと」などが似ているようで、
そんな話を延々と。
だいたい40代をそれなりに真面目に生きてると、
そういうことに直面するのかもしんないけどねえ。
仕事も忙しくなるいっぽうだしね。

寿司、うまい。
やっぱりここはうまい。
日本酒もおいしい。
病み上がりだし飲みすぎ注意、と思いつつ、
なんだかくいっくい飲んでしまいました。

５時から始めたんで、７時すぎにはもう終り。
なんとなく話し足りないので、
西新宿までぶらぶら歩いてポール・バセットへ。
土曜日の西新宿なら空いてるだろうと思ったら大間違い、
なんだか若者でぎっしり。
ピザ屋（サルバトーレ）と共同なんで、
そっちのお客さんが多いみたい。
誕生会をしている女子のグループの奥、
すみっこに席をみつけてまた話す。
コーヒー、プレスで出してくれるようになったんですね。
それもうまい。アイスクリームもうまい。

話は、おたがい、なんだか
「立ち枯れた観葉植物のようだ」という結論になり（悲しい）、
でもまあそれはそれでいいじゃないか、
そうだそうだ上等だ、
「立ち枯れ友の会」をつくろう！　と（一瞬）なったが、
それはあまりに悲哀が過ぎるので、やめました。
にっちもさっちもどうにもこうにも、ということで
「ブルドッグの会」というのはどうかな、と、
それはいま思いついたんだけど。
昭和の匂いが強すぎだな。
こういうときに思い出すのは
「東京するめクラブ」というネーミング。
やっぱりすごいなあ。

●

友と別れ、まだ営業してたタワレコとオッシュマンズを流し、
ユナイテッドアローズで靴下買って帰ってきました。
明日は床屋行こう。もう長髪なくらいだ。
高校の時、あんなに坊主頭が嫌だったのになあ。

●

¡Feliz cumpleaños!

ふしぎなプールと永遠の16歳（の胃袋）。

日曜日、プールの入場券、もらったまま使ってなかったので、
夏が終わる前にと品川まで出かける。
10時半くらいから３時半くらいまで
そんなに混んでない（でもチェア満席）水辺で、
日なたでのんびりできてよかった。
本を読んで、ときどき泳いで、水飲んで、
うとうとして、また本読んで、ってやってたら
あっという間に夕方になっちゃった。

このプール、一部の客層がものすごくヘン！
監視員たちとたいへん親しげにしている幾人かがいて、
どうやらその人たちどうしは、顔見知りらしいと、
数時間の滞在で、おぼろげながら、わかってきた。
つまり常連？　ホテルのプールに常連っているの？
それが、だいたい二人組なんだけど、
「痩せてて真っ黒のおじさん」＋「痩せてて真っ黒のおばさん」、
あるいは「小さくて真っ黒のおじいさん」×２、
または「鍛えてない真っ黒のおじいさん」＋「妙に若いむちむちした女」。
その、目立つひとびとは、ほとんど高齢者ってことです。
そしてその真っ黒なひとびとに共通するのが
「ものすごく妙な水着をつけている」ことだ。
なに、あれ、ヒモ？！　みたいなのが、
しかも、ずれてて、ほとんど「ひっかかってる」だけみたいとか。
尻、まるだしとか（Ｔバックってやつにしては、ゆるい）。
おじいさんなのに、そんなだよ！　ふんどしじゃないよ！
しかも黒さが尋常じゃない。
ウオーターサーバーの近くに陣取ってた
「よぼよぼの体の真っ黒なおじいさん」が、
膝を折って天を仰ぎ口を開けて眠っていたので
「はっ、ミイラ？！」かと思ったよマジで！
死んでるよ！　たぶん去年の夏からだよ！
焼いてるというより焼かれてるよ！
プールがガンジス川に見えてきたよ！
沐浴！

いったいあのひとびとはなんなんだろうと考えたんだけど
ナルシストにしては、ちっとも美しくないし、
ナルシストがああいうふうにつるむとは思えない。
そもそもぜんぜん鍛えてないし、ひけらかすような肉体美ではない。
妙な水着の目的が
「なるべく面積をちいさく」ということだとすると、
えーっと、「日焼けマニア」、の高齢者？
そんなのいるの？
あるいはたまたま東京に住んでるけど、
ほんとはヌーディストとか？
ああわからない。
東京ってこわいところですね。

●

廣州出張の帰りに香港に寄った同僚が
香港で２食しか食べてないのに
「東京でもいいかな」とツイートしていたのでしつこく異論。
「根も葉もない噂の正体」って
こういうことからなんだと思ったからなんですよ。
だって２食でわかるわけがないじゃーん。
このことばをそのまま信じたらその人の仲間には
「香港の中国料理、たいしたことないんだって」
「東京のほうが、おいしいんだって」
と伝わっちゃったりするでしょう。
そもそも比較すべきではない。
東京の旨い中国料理店は、
東京の旨い中国料理店であって、
香港の中国料理店と別のもの。
素材も違うし値段も違う。
文化が違う。持っているものの深さが違う。
環境ごと料理だ。値段も料理だ。
断言するが、香港の中国料理は
香港に行かなければ食べられない。
そして、値段にかかわらずたいへん旨いとぼくは思う。

いやはやこういうことになると頭に血が上る。
このノリで旅行ガイドブック書いてたんだから、
さぞや暑苦しい本だったことだろうなあ。
すべて絶版ですけどねえ。

それはそうと『利寶閣』はものすごくおいしかったらしいよー。
尖沙咀のiSquare（そんなのできたんだ）の24階、だそうだよー。
行きたいよー。

●

「個人的な写真に写っているのは被写体ではなく、
　撮影者の視線。
　そして撮影者と被写体の関係性。
　その写真が撮られたところを想像するところから
　写真の鑑賞が始まる。
　そしてこんどは鑑賞者に対し、発表者の意図が重なる。
　そこを読み取るのが写真鑑賞の愉楽。」

──というツイートをした理由は、
「とても個人的で、幸福な写真」を見たから。
被写体の幸福は、
それを撮ったひとがいるということのほうに、
すごく大きな比重があると思ったからです。

●

朝焼き肉、昼天丼、夜ケンタッキー。
なにをどう間違ってこんな世界に
ぼくは入り込んでしまったのだろう。
あの世界で僕の胃袋は16歳なのかもしれないが
この世界の僕の腹はすっかり中年だ。
そうだ空に月はふたつある（偽１Ｑ８４）。

●

朝焼き肉、ですが、
焼き肉用の牛肉がたまたまあって、
ご飯はきのう炊いたおひやがあって、
じゃあ焼いて食うかというだけの話です。
長ねぎを細かく刻んで、
ショウガも細かく刻んで、
ごま油で和えて、塩を加えて、
それをのっけて食べたせいで、
なんだか夜っぽい味になった。
キムチがあったら最高なんだけど。
あと、ちくわ、それからミョウガの糠漬け。
にっぽんの標準的な朝ご飯、
じゃないのはわかっちゃいますが、
じつは、実家はそんな感じでした。

●

それに黒烏龍茶飲んでるから大丈夫。

●

長寿の老人は肉食が多いという。
晩年の森繁久彌も外でゴハンというときは
「で、いつ肉が出るの？」と訊いたというし
現役の大滝秀治は野菜食わず肉ばっかりだというし
白洲正子は死ぬ直前まででっかいステーキ２枚、
ぺろり、だったそうだと聞く。
そういう胃袋の人に私はなりたい。
「わしが死んだら、ごま油でこんがり揚げとくれ！」
そう言って困らせてみたい。

Akiko Yano Trio @ Blue Note Tokyo

矢野顕子トリオ＠blue note TOKYOの最終回、
2ndステージへ。

矢野さんが毎年進化しつづけるのを
毎年見続けておりますが、
昨日観た糸井さんが
「もう人間じゃない、化け猫だ」と褒めた意味が
よーくわかりました。
Will Leeというすんばらしく自由なベーシストと
Chris Parkerという矢野さん好みの音をばっちり、
いっけん控えめながら、とても個性的に出すドラマー、
このふたりのとんでもない高い技術（と、余裕！）があってこそ、
の、まさしく音を楽しむ音楽の空間。
１曲ずつに、仕掛けというか、遊びというか、
とくべつなアレンジがあって、
それはやっぱり彼らでないとできないことばかり。
しかし「どう？　どうよ」というような
これ見よがしなところはみじんもなく、
「できてうれしい！」のほうが強い。
だからこっちも、すげーっと思いつつも、
楽しむことができるのです。
３人合計で、手が12本くらいあるんだと思うな。

THE RASKALSのPEOPLE GOT TO BE FREE、
ひさしぶりに聴いたDAVID、てぃんさぐぬ花、
中央線、Isetan-tan、
このところ毎回やってくれるROSE GARDEN、
それからアンコール最後の
ALL THE BONES ARE WHITEなどなど、
たまんなかったなあ。
DAVIDは、もう聞き飽きた！　なんて思ってたけど、
ああこういう歌だったんだ‥‥と、
あらためて、感じ入りました。
矢野さんの歌う友情って、かなりまっすぐに届く。
それからROSE GARDENは、
矢野さんの曲のなかでも一、二を争う
演奏技術の要る曲だと思うんだけど、
たぶん、「つくったとき」よりも「いま」のほうが
できるようになってるんで、
たのしくてしょうがないんだろうなー。

さあ次の矢野さんは年末の「さとがえる」かな？

いとおしく、ばかばかしく、ちょっと悲しくて、そして愉快なもの。

ゆうがたちょっと時間ができたので
表参道ヒルズで開催中の
梅佳代（うめかよ）さんの展覧会「ウメップ」へ。
ほんと、かなわない、このひと。
写真が単なるテクニックではなく
「見ること」、まなざしそのものであるということが、
とてもとてもよくわかる。
そして、お客さんがみんな、
にこにこしていて楽しそう。
こんな表現をする写真家、いなかったよなあ。

いとおしく、ばかばかしく、
ちょっと悲しくて、そして愉快なものは何だ、
と彼女の写真は語りかける。
それは人生だ、
人生そのものにちがいないのだ。

●

夜、仕事関係の６人で、
といっても仕事抜きで、
高田馬場のミャンマー料理。
「ノング・インレイ」という名前で、
14人でいっぱいになっちゃう小さな店、
そしてわれわれ以外はすべてミャンマー人客。

ミャンマー料理は、むかし麻布十番の夏祭りで
（あっ、今日がそうだ！）
ミャンマー大使館の出す屋台で、
すごくうまいカレー素麺みたいなのを食べたことがある。
臭くて辛いんだけど、濃厚に旨みがある、
醗酵調味料系の旨さ。
しかし当時（10年前）は探しても
ミャンマー料理店は都内になかった。
柴田書店のエスニック料理本を買ってきて
大久保のアジア食材店で調味料を買い
ミャンマーカレーをつくってみたこともある。
これまた臭くて旨かった。
なので今回「ミャンマー料理を食べましょう」と言われた時
そりゃもう一も二もなく乗ったのでした。

はたして、久しぶりに口にするミャンマー料理は、
醗酵調味料大行進の旨さでありました。
辛さはさほどでもない。
油と砂糖はそんなに使っていない。
それより旨みが濃厚。
醗酵ゆえの酸味と、魚醤や干し海老のだし、ナッツ、塩分。
さまざまに複雑なスパイス、生ハーブが使われているんだけど
（しょうがのサラダ、お茶の葉のサラダ、なんてのもあった）、
こまかいことは口の中でうまく分析できない、再現不可能の旨さ。
鶏、豚、牛、魚、卵、野菜に米、麺、なんでもあるが、
個人的にはモツ料理が多いのも嬉しい。
麺の種類も豊富、汁麺、汁なし麺、炒め麺、
米料理も、鳥の脂で炊いたごはんだとか、ほんと複雑。
野菜は、香菜の量が半端じゃない。
食った食った。
〆はミャンマー風ミルクティー。
ただのミルクティーじゃない、
ココア？　チョコレート？　なんかそんな風味と
ほんのり塩気がある、甘さ。謎。
そしてたらふく食って飲んでひとり3600円。
この店では使いすぎのようですけど、
やっぱり安いと思うな。


  

ジョン・アーヴィング的な。

はっ、明日朝から歯医者だ、と気付いてから
慌ててソニッケアー（電動歯ブラシ）。
ああこの泥縄人生。

ちなみに虫歯ではなく、
かぶせもの（金属冠）が摩耗してきたのでその交換治療。
金属じゃなくてセラミック冠にしようかなと思っとります。
笑って光るのはどうもね。

●

すごく久しぶりに地方在住の友人から電話。
入院、手術することになったと。
なんでも扁桃腺を腫らした菌が腎臓に入り
投薬治療をしなければならないのだが
その投薬の内容を決めるために
腎臓の組織サンプルを片腎から５分の１ほど
切除して取らねばならず、
開腹手術をするので２週間入院だと。
それって進んじゃったら人工透析が必要になるような、
それなりに重篤な症状じゃないか、と思うのだが、
本人いたって元気でへっちゃらの様子。
むかしっからそういう人なんだよね。
なんというかジョン・アーヴィングの小説の
主人公みたいな人生の人です。
でもフィクションじゃないから心配だなあ。
治るよう祈ってます。

●

このかたの文章はほんとうに美しいと
いつもおどろきをもって読ませていただいているのが、
松原耕二さん。
たぶん、心根（こころね）が美しいのだと思う。
そして、背伸びせず、低くもせず、等身大で、
きちんと考えたこと、思ったことを言葉にできる人。
そして「書くべきこと」が与えられていることに
きちんと感謝をもって、真摯に向き合っている人。
そのまっすぐさに打たれるのです。

ぜひ読んでください。
御巣鷹山の話です。

●

で、翌日歯医者さんへ。
担当医師が柳原可奈子っぽい。
ぎゅんぎゅん機具を使うときは
裏声で「いやだねーっ、いやだよねーっ。
でも虫歯こんなに少ないなんてすごいねーっ。
おかあさまが大事になさったのねーっ」、
作業が終わり素に戻ると低い声で
「あーっしのほうがよっぽど虫歯多いしょ！
　あーっはっはっは！」となる。
なかなかステキです。

ぱーっと。

こう暑いと、家に戻ってぱーっと脱ぐのが快楽。
そのままうろうろ。
はっ、カーテン開いてる！
５階だけど、見られて困るというよりは
見たほうが困るだろうという謙虚な判断のもと、
腰をうんと低くして歩いたりしている。
ちょっと頭ヘン。

●

すずきじゅんいちという在米の監督の撮った
『４４２』という映画の存在を知る。
そしてその名前は
太平洋戦争時、日系人だけで編成された
連隊の名だということも、はじめて知る。
つまり、日本を敵国として戦わねばならなかった日系人のはなし。
公式サイトはこちら。
こんな監督インタビュー動画もありました。
うむ、見なきゃならんだろう、これは。
１１月に新宿ケイズシネマで公開らしいです。

●

「もう夏が終わるね」なんて言葉、
聞きたくないやいやいゃぃゃぃ‥‥。
そんなこと言うの訳知り顔の大人だけだ。
こどもはそうは思ってないと思う。
太陽というものを信じきっていると思う。
だいたいきょうみたいな暑い日に
「もう秋の気配が」なんて嘘だ。
信じない。

●

とか言いつつ秋も大好きだったりして。
冬は冬で楽しい。
春も悪くないね。

●

昼にタイ料理屋で、なんとか麺を食べた。
あつあつの汁麺。
さらに唐辛子入りのナンプラーと香菜を投入、
わしわし食べてたら汗が尋常じゃなく出た。
「当店でいちばん汗をかいた人は無料」
とかないんだろうか。（ないない）

●

「ワルっぽい顔をしてくれ」って言うからそうしたのに、
ほかのみんなはなぜ普通？
でもほんとうに怖いのは、
おだやかな顔をしている人なんですよきっと。

●

グランドプリンスホテル新高輪のプール利用券、
もらったまま財布に入っている。
なかなか行く時間がない。
夏が去ってしまう前に行きたい。
もちろん晴れた日に行きたい。
そんなことばかり考えつつ
机にへばりついていております。

おばあちゃんの糠漬け。

ぼくの冷蔵庫には糠床が入ってて、
それは太平洋戦争のとき
おばあちゃんが防空壕に持ってったという糠床から引き継いだもの。
伝来、というほどのものじゃないし
ことさら大切にしているわけでもないんだけれど、
女王陛下のプディングの静岡町人編、と言えなくもない。
実家のはちゃんと生きてるし
こっちにわけてもらったのもなんとか大丈夫なので、
あのたくましい明治女だったおばあちゃんの味を
ぼくはいまも食べることができる。

戦争にいたった道のりだとか、
終戦の瞬間のことだとかを
テレビはずいぶん特集しているけれど、
おばあちゃんのことを考えると、
戦時中はもちろんのことなんだけれど、
終戦から、が、ほんとにたいへんだったんじゃないかと思う。
先妻（病死した、彼女の実姉）の子供と
自分の子供、何人だ、たぶん十数人かかえていたはずで、
その先妻の子である「長男」を戦死させてしまったが、
静岡にいたほかの子供たちは全員無事に終戦を迎えた。
父や、叔父、伯母・叔母たちにきくと
おばあちゃんはまるでイタリアンマンマのような勢いで
トラブル続出の戦後の武井家を仕切っていたようだ。
本人から聞いたわけじゃないけれど（もう聞くすべもないが）、
おばあちゃん、めそめそしてるタイプじゃないし、
「さあ、ここからだ」と立ち上がったはずなんだよなあ。
祖父は戦後５、６年で没しており、
どうも「家族の歴史」のなかで影がうすい。
そんななか、しっかりしないとならなかったのは彼女だったはずで、
おかげで、戦後みんながなんとか生き延びてこられたんだと思う。
糠漬けとともに。

ちなみにおばあちゃんもだけど、
静岡の親戚、みんなイタリア人みたいです。
よく泣いてよく笑う感情表現とか、
なんだかやけに愛情深い感じとか、
おそらく助平なところとか、
それとは別に家族大好きな感じとか。
一族でイタリアに移住してもやってけたと思うな。

もちろん、戦争のことを知るのは大事だと思うけど、
この、「庶民がなんとか生き延びてきた戦後」のこと、
「必死」ということばが、そのまま本気だった時代のこと、
ぼくとしては、もっと知りたいなあと思う。
なんかね、きょう散歩しててさ、
閉店のおしらせと空き家、空き地と駐車場、
そんなんばっかりで、
元気のなさがもう蔓延している感じがして。

おばあちゃん、糠漬けおいしいよー。
ありがとねー。ぽりぽり。

 

流木のような。

８時ちょうどのあずさ５号で松本に行き
８時ちょうどのあずさ36号で帰ってきました。

昼は「みたに」というイタリアンへ。
「松本に行くならぜひ！」と
何人かから言われていた店でスパゲッティ・ランチ。
４人で２種類取り分けましょうかと言われ
たいへん喜びつつも、たらこ、アンチョビレモン、
アラビアータまで絞り込んだところで、
もうどの子もかわいい！　状態になり、
眉間にしわをよせうんうん唸っていたら
「３種類にしましょうか」と。
即答でイエス。
前菜、レタスの冷製スープ、
そして３種のパスタがすこしずつ。
いずれも、たいっへん、おいしかった！
噂以上のおいしさです。
きりっと酸っぱいアンチョビレモンのスパゲティ
（しかもあつあつ）ってすごい発明じゃない？
想像するにかなりのレモンの量だと思う。
ケッパー、アンチョビ、にんにく、レモンだと思うんだけど、
まねしてみようかな。




   
２つの取材＆うちあわせが終わったところで６時。
ちょうど松本にいたダ・ヴィンチよこさとくん
（信州大学経済学部出身ゆえ、松本に４年在住経験あり）が
仕事おわったよー！　と連絡をくれたので
ホテル花月前の立ち飲み屋「８オンス」で合流。
それから居酒屋「きく蔵」に移動、
ほんじつお会いしたおふたかたをまじえて
みんなであずさの出発時間ぎりぎりまで飲みました。

松本を愛する、松本生まれではない人たちの集い。
偶然に流れ着いた流木のような集い。
40〜50代、波に磨かれたぶん、強い人たち。
いやはやよく笑った！　たーのしかったー！
なんていうんだろう、Strangers in Paradiseな感じ。

１時間半くらいでビール、ホッピー、日本酒とかっこんだので、
したたか酔っぱらって、帰りのあずさでは爆睡。
志ん朝さんの「真景累ヶ淵」の「豊志賀の死」、
行きで途中までだった続きを聴きはじめたものの、
サゲ覚えてないです。

新宿に着いたら、コンタクトがはりついて視界が白に。
たぶん勝新の座頭市みたいになってたと思うな。

●

ようこそ「ハムサンド」。
（という名のクマの彫刻。石原稔久さん作）

 

鮨のスタンダード。

夏休み最終日。
床屋、食材買い出し、それから
ＮＴＴからportable Wi-Fiのレンタル機「光Link」が届いたので
SIMカード（b-mobileの）を買いに行ったりしました。

その設定をしたいと思いつつ、
友人から鮨の会のおさそいがあったので岩本町へ。
神田のとあるお鮨屋さん。
あすから夏季休業だということで、
常連さん向けにちょっとリーズナブルな価格で
「どうぞ、食べ放題飲み放題でやってください」
という会に、混ぜてもらいました。
はじめて行くのに申し訳ない。
その友人というのが常連なんだけど、
各方面に声をかけたら
「おれも」「わたしも」というひとが
ひとりずつ集まったということで、
結局、なんの脈絡もないながら、
食いしん坊で呑み助の40代男女４人が集まりました。


 
で、今月４回も、ちょっといい鮨を食べることになって
ようやくわかったんだけれど、
「どこに標準を置くか」という話なんですね、鮨って。

鮨って（とくに江戸前の、東京の鮨って）、
上を見れば切りがなく、
下は下で、いくらでも「鮨と呼ばれる食べ物」はある。
言うならコンビニの115円の納豆巻きだって鮨なわけです。

これ「標準」を自分のなかに置いておかないと、
ただただブレるばかりで、
旨いかどうかとか、金額が妥当かどうかとか、
そういうことがわかんなくなってくる。
もちろん「どれにもよさがある」うえで
「自分はそれは選ばない」なり「背伸びして選びたい」なり
決めればいいわけで、
そうしないと「久兵衛食わないと鮨じゃないよ」なんて言い放つ
妖怪化したグルメができあがる。

何が言いたいのかというと、
その友人（東京生まれ東京育ち）が
この店を標準に据えているんだなということがわかって、
とてもいいなあと思ったのでした。
なるほど、ここが基準ならば、
あの店はこう、この店はこうと「わかる」し、
誰に何と言われようと、ゆるがないだろうし、
そして、戻ってこられる。
自分にそういう鮨屋はないなあ。
背伸びして食べてきたなかに
とても好きな鮨屋はあるけれど
ひょいと行きつけ、みたいにはなってないし、
馴染みにもなっていない。

むかしながらの商店街育ち、和菓子屋（潰れた）の倅としては
やっぱりそういう人間関係が当然と思っているところがあって、
鮨屋と客の関係も、そういうもんだろうと思う。
ああ自分はぜんぜん（鮨的には、東京に）
根付いてないんだなと思ったわけでした。
丁寧に握り、手渡しをし、感想をつぶやくと
ほんの少し笑ってうれしそうにしてくれる大将。
いいお客さんが揃っているんですねと思う。

で、このお店、握りもつまみも酒も旨い！
松茸のフライや、マンボウの腸なんかを出して
ちょっとハッとさせる工夫もあるし、
ときどきちょっと強めの味に
「酒、酒」ってなる感じも楽しい。
といって“これ見よがしな感じはしない”（友人談）。
じゃあ自分が常連になれるかというと
そういうわけでもなさそうなんですけれど、
また顔を出した時覚えておいてもらえたら、とても嬉しいです。


 
帰宅して、「光Link」の設定。
SIMフリーのほうを借りたんだけど
標準設定がe-mobileになってるのを
買ってきたb-mobileに修正するのに
Macにつないで、設定を変えて、っていうのが実にわからなくて
小一時間四苦八苦。
なんとかできました。よかった。
あした松本出張に持ってってみよう。