ぼくの冷蔵庫には糠床が入ってて、
それは太平洋戦争のとき
おばあちゃんが防空壕に持ってったという糠床から引き継いだもの。
伝来、というほどのものじゃないし
ことさら大切にしているわけでもないんだけれど、
女王陛下のプディングの静岡町人編、と言えなくもない。
実家のはちゃんと生きてるし
こっちにわけてもらったのもなんとか大丈夫なので、
あのたくましい明治女だったおばあちゃんの味を
ぼくはいまも食べることができる。
戦争にいたった道のりだとか、
終戦の瞬間のことだとかを
テレビはずいぶん特集しているけれど、
おばあちゃんのことを考えると、
戦時中はもちろんのことなんだけれど、
終戦から、が、ほんとにたいへんだったんじゃないかと思う。
先妻(病死した、彼女の実姉)の子供と
自分の子供、何人だ、たぶん十数人かかえていたはずで、
その先妻の子である「長男」を戦死させてしまったが、
静岡にいたほかの子供たちは全員無事に終戦を迎えた。
父や、叔父、伯母・叔母たちにきくと
おばあちゃんはまるでイタリアンマンマのような勢いで
トラブル続出の戦後の武井家を仕切っていたようだ。
本人から聞いたわけじゃないけれど(もう聞くすべもないが)、
おばあちゃん、めそめそしてるタイプじゃないし、
「さあ、ここからだ」と立ち上がったはずなんだよなあ。
祖父は戦後5、6年で没しており、
どうも「家族の歴史」のなかで影がうすい。
そんななか、しっかりしないとならなかったのは彼女だったはずで、
おかげで、戦後みんながなんとか生き延びてこられたんだと思う。
糠漬けとともに。
ちなみにおばあちゃんもだけど、
静岡の親戚、みんなイタリア人みたいです。
よく泣いてよく笑う感情表現とか、
なんだかやけに愛情深い感じとか、
おそらく助平なところとか、
それとは別に家族大好きな感じとか。
一族でイタリアに移住してもやってけたと思うな。
もちろん、戦争のことを知るのは大事だと思うけど、
この、「庶民がなんとか生き延びてきた戦後」のこと、
「必死」ということばが、そのまま本気だった時代のこと、
ぼくとしては、もっと知りたいなあと思う。
なんかね、きょう散歩しててさ、
閉店のおしらせと空き家、空き地と駐車場、
そんなんばっかりで、
元気のなさがもう蔓延している感じがして。
おばあちゃん、糠漬けおいしいよー。
ありがとねー。ぽりぽり。
それは太平洋戦争のとき
おばあちゃんが防空壕に持ってったという糠床から引き継いだもの。
伝来、というほどのものじゃないし
ことさら大切にしているわけでもないんだけれど、
女王陛下のプディングの静岡町人編、と言えなくもない。
実家のはちゃんと生きてるし
こっちにわけてもらったのもなんとか大丈夫なので、
あのたくましい明治女だったおばあちゃんの味を
ぼくはいまも食べることができる。
戦争にいたった道のりだとか、
終戦の瞬間のことだとかを
テレビはずいぶん特集しているけれど、
おばあちゃんのことを考えると、
戦時中はもちろんのことなんだけれど、
終戦から、が、ほんとにたいへんだったんじゃないかと思う。
先妻(病死した、彼女の実姉)の子供と
自分の子供、何人だ、たぶん十数人かかえていたはずで、
その先妻の子である「長男」を戦死させてしまったが、
静岡にいたほかの子供たちは全員無事に終戦を迎えた。
父や、叔父、伯母・叔母たちにきくと
おばあちゃんはまるでイタリアンマンマのような勢いで
トラブル続出の戦後の武井家を仕切っていたようだ。
本人から聞いたわけじゃないけれど(もう聞くすべもないが)、
おばあちゃん、めそめそしてるタイプじゃないし、
「さあ、ここからだ」と立ち上がったはずなんだよなあ。
祖父は戦後5、6年で没しており、
どうも「家族の歴史」のなかで影がうすい。
そんななか、しっかりしないとならなかったのは彼女だったはずで、
おかげで、戦後みんながなんとか生き延びてこられたんだと思う。
糠漬けとともに。
ちなみにおばあちゃんもだけど、
静岡の親戚、みんなイタリア人みたいです。
よく泣いてよく笑う感情表現とか、
なんだかやけに愛情深い感じとか、
おそらく助平なところとか、
それとは別に家族大好きな感じとか。
一族でイタリアに移住してもやってけたと思うな。
もちろん、戦争のことを知るのは大事だと思うけど、
この、「庶民がなんとか生き延びてきた戦後」のこと、
「必死」ということばが、そのまま本気だった時代のこと、
ぼくとしては、もっと知りたいなあと思う。
なんかね、きょう散歩しててさ、
閉店のおしらせと空き家、空き地と駐車場、
そんなんばっかりで、
元気のなさがもう蔓延している感じがして。
おばあちゃん、糠漬けおいしいよー。
ありがとねー。ぽりぽり。