帰省という言葉には
「親を見舞う」という意味があるそうで
今回は単に「里帰り」ですけど、
まあどっちでもいいや。
東京駅から1時間だしなぁ。
その割には滅多に顔を出さない。
さいわい、両親とも健康だし、トラブルもないし、
ぼくもまったく父方の親戚付き合いをしていないし、
この実家の「ゆるさ」にどっぷり浸かると、
東京にいる自分とは別人のようになっちゃって
ふにゃふにゃのゆるゆる人間になっていくのがわかるから。
や、もともとゆるいんですが、
それをばっちり思い出す感じがなんとも困る。
なにか目的をつくりましょうと、
かねてより言われていた
母のiMacを新調するという使命をいだいて行きました。
そのことも急に決めたので
年末あわてて渋谷のアップルストアで買って送っておいたiMac。
2002年に、母に買った初代iMacからは
ターゲットモードでデータ移そう‥‥と、
FireWireケーブルを持って行きました。
そして実家で開封。
それが、旧iMacもOSXなれど、
どうやらバージョンが古すぎたらしく、
(leopardじゃなかったんですね)
環境の移行ができず。
だったら手作業だ、と、
CATVでのインターネット接続と
メーラーの設定をして、
(こういう書類はきちんととっておく人なので助かる)
あたらしいプリンタをつけ、
動作確認をしてから、
母にひととおりのレクチャーを行う。
初代iMacのときスクールに通って習得しているとはいえ
昭和12年生まれにはなかなか
新しいことを覚えるのが難儀らしく(そりゃそうだ)
伝えたことがちゃんと理解されたかどうかは謎ですけど、
でもまあ、ちょっとわからないくらいのほうが
張り合いがあっていいんじゃないでしょうか。
「ワープロでいろいろ打ちたいの。
あと、来年はこれで年賀状をつくるわ」
と言われたものの、いわゆるワープロは入っていない。
テキストエディタはあるけど、
レイアウトはできないですなあ。
じゃあソフト(iWork)買いますかと思って出かけたら、
うちはけっこうな商店街のまんなかなんだけど、
近所にパソコン屋がまったくない!
ていうか、なくなってた。この何年かで。
町内に伊勢丹もスタバもコムデギャルソンもあるし
ズッカもアヴェダもできるのに、
パソコン屋は、なーい。
以前はおいてあったはずだと
とある大きなレコード店に行くと
あったはずと思って行ってたずねたら
入り口すぐのところにいた若い女店員が
「あんた何いってんの」というような
きょとんとした顔をする。
困った顔、というより、
「おかどちがい」という顔をなさる。
「うち、レコードと楽器の店ですけど?」
と、いわないまでも、顔に書いてある。
酔っぱらいのおじさんがケーキ屋に来て
「せんべいあるかー」と言ってるような気分になる。
すみません、おれがわるかった。
でもほかに訊く人いないしなあと
隣接する高級オーディオ部門の店舗で
ていねいそうなおじさん店員をつかまえてたずねたら
もう6、7年前に、パソコンソフトの取り扱いは
やめてしまったとのこと。
「郊外に大型家電量販店ができまして
うちでは、扱わなくなりました」
しかたがないのでローカル線に乗って
郊外のヤマダ電機まで行きましたよ。
なんとか見つかりました。疲れた。
これでお役ご免、かと思いきや、
最後の一山が待っていた。
きていた年賀状の住所録を作成せよと。
命令されたわけじゃないんだけど
無言の圧力がございまして、
厚さ3、4センチくらいの分厚いはがきの束、
ぜんぶ入力しました。
ところでMacを新調して、母が、
いちばん気に入ったのはYouTubeみたいです。
裕次郎はあるの?
ひばりは?
ちあきなおみは?
「カスバの女」は聴けるかしら?
と、検索しては見入っておりました。