ここ3週間くらいのメモでございます。
中島みゆきが歌うとおり、
日々の暮らしは心とは別にゆきます。
・ようやく「ダークナイト」を観る。たいへんすばらしい。しびれる。
客席はなぜか半数以上が白人。
都心の映画館(の洋画上映)に夜中に来る白人の鑑賞マナーって、
ひどいんだけど、ホームorアウェイで言うと、
なぜかホームっぽく、ひどい。アウェイなのに。
・赤坂「おんがね」に行く。とてもおいしい韓国家庭料理。
ご一緒したかたから、厳しいビジネスの近況を聞かせてもらう。
スケールも立場も、雲の上の話のようだけど、
目の前にいるのはリアルにそれに立ち向かっている人。
多少なりともリラックスした時間が提供できたのならうれしいです。
・気のおけない(気の抜けたとも言う)グループで
静岡「つま恋」に行く。半数は現地のみなさま。
静岡出身なれど過ごした年数的には
すっかりアウェイ気分の私。
しかし面白いもので故郷はやっぱり静岡。
生しらす、生サクラエビ、黒はんぺん。いずれも大好物。狂喜。
新しい蕎麦屋にも連れていっていただく。
蕎麦そのものはとてもうまかったけど、
(静岡の蕎麦は、あんがい、うまいんですよ)
飲食店としては、まったくの新人さんでした
(いわゆる定年おやじ蕎麦)。
でも蕎麦だけはおいしい。
あの蕎麦ならまた食べたいけど
「またあのガマン、すんのかな」
と思うと、ううむ‥‥です。出てこないのよ、蕎麦が。
そして、蕎麦以外が、きわめてふつう。
結論、蕎麦(蕎麦割烹)に関しては
総合的に東京っていう街が
とんでもなくすごいんだなあとあらためて思う。
ああ三合菴よ、細かわよ。
・「つま恋」でアーチェリーを初体験。
これはまったく「心が肉体を左右するスポーツ」であると知る。
ぼくは心が弱い。ひどく弱い。ぐらんぐらん。
・帰りに静岡駅ビルの「三久」という
たいへんどうでもよさそうな居酒屋に入ったら
これがアタリ! アタリ! うまいのなんの。
桜エビのかきあげ、鯵フライ、静岡おでん。んー、たまらん。
母親から「静岡で飲む時間があったなら何故寄らない」と
後日怒りの電話。
しかし母さん、「つきあいのほうが大事だから、
家には寄らなくていい」と電話くれたじゃないですか。
遠慮なくそうしたんですけど。理不尽。
ていうかその日に偶然電話があったのも謎。
・移動中iPod touchで古今亭志ん朝の落語を聴きつづける。
すばらしいったらない。目を閉じるとそこは江戸。
もっとも手軽なタイムトリップ。
DVDはまだ手付かず。もったいなくて。
亡くなってもこうして声が聴けるというのは幸運。
芸術と技術って、すばらしいな。
・赤坂大歌舞伎「狐狸狐狸ばなし」「棒しばり」に行く。
客席はおかねもちっぽい年配客で埋め尽くされている。
とっても自分たちが場違いな気分。
勘三郎さんは、余裕たっぷりで楽しそうでしたが、
残念なことにぼくは、おもしろいけど物足りないという、
「勘三郎ぜいたく病」みたいな状態に。
串田演出や野田演出、堀尾美術で
「びっくりさせて癖」がついているのにちがいない。
・日本橋二丁目ダイニングに行く。これは書いた。
・ピロリ菌の呼気検査に、朝飯をたらふく食べて行って叱られる。
食べちゃダメって書いてあるでしょうと。
すみません読み飛ばしてました。
1週間延期。(後日、無事終える。結果待ち。)
・シアターコクーンで「人形の家」を観る。
宮沢りえちゃん、すごい。ほんとうにすごい。
この人はこんな女優になったんだ!
そしてさすがのデヴィッド・ルヴォー演出。
すがすがしい舞台。大拍手。
ルヴォーさんといえば「ナイン」また観たいなあ。
・「ナイン」で思いだして、ようやく
「81/2」をDVDで観る。
好きだなあ、これ。ほんと好き。
ぼくはどうもダメ男で艶福家が出てくる話に弱い。
・ダメ男といえば自分もそうで(艶福家ではありません)、
出費が重なりすぎて、お取り置きした洋服を
まったく取りに行けてない。無計画すぎる。
事情だけ話しに行って、お取り置き延期。
すみません。
ジャケット2枚もあるんです。
・うんと久しぶりに焼き肉を夜中に食べる。
すごくおいしい。でも、その晩、ちょっと負ける。
・仕事で松尾スズキさんの対談に立ち合う。
これまたたいへん色っぽい人。
と思うのはぼくだけでしょうか。
・某誌の編集長をしている同い年の友人Yくんから
深夜にメールが来て、女装姿の写真が添付されていた。
前々からその計画だけは聞いてたんだけど、
実現したんだねー。よかったねー。
ちゃんとメイクも衣裳もカメラマンも
プロを揃えての、それって権力濫用じゃないの。
このためにダイエットをし、
ある意味ちゃんとキレイにしてもらってて、
「ちょっとうらやましい」と思う自分が情けない。
それはさておきYくんの誕生祝いにゴハンを食べようと
月末のローブリューを予約。久しぶりでうれしい。
しかしその女装の話ばかり聞かされそう。
・平成中村座「法界坊」先行チケット取れる。やった。
土日狙いで、松席はダメだったけど、
竹席、それも2F最前列なので、よし。
それにしても高い。
映画は安い。
・映画「TOKYO!」に行く。
ミシェル・ゴンドリー、いい! さすが!
くらっくらしちゃいました。
レオス・カラックスは、ごめんなさい、
おもしろいなーと思いつつ寝てしまいました。
そしてポン・ジュノの、蒼井優ちゃんと香川照之の一編は
まるで山本直樹のマンガのようでよかった。
汗が匂うようであった。
・江戸博の「浅草今昔展」に行く。
江戸は、浅草は、ぼくにとって志ん朝さんの落語の世界。
それが現代と地続き、という実感がうれしい。
・まもなく立ち退きになるという麺屋武蔵青山に行く。
いままで知らなかったけど「せいざん」って読むんですね。
ぼくはラーメンマニアじゃないので
ほかと較べてどうのこうのということは全くなく、
わりと近くにある個性的なラーメン屋として
とっても重宝しておりました。
で、塩か醤油か迷って塩。
チャーシューとメンマ追加。
うまい。でも量が足りない。大盛り、ないんだもの。
その足りないくらいがいいのだと
じりじりと脳みそで耐える。
胃袋はもっと食わせろと暴れる。耐える。耐えろ。
・これからラーメン(というより中華そば)は
青山一丁目「薮」かなあ。あの愛しいダメそばよ。
・地方在住の友人(年長の)から電話。
孫ができたと。
孫かよ! おめでとうございます。
それより心臓の検査結果はどうなんですか。
声は元気そうでしたが。
・今回のことで、いろいろなおたよりをいただきました。
よく知っている人から、まったく知らない方までもが。
ほんとうにありがとうございました。
なかに「小学校の教科書に載っていた、
高田敏子の『忘れもの』という詩」のことを
思い出しましたというメールがありました。
忘れもの。
そうか、そんな詩がありました。
ちいさなころ、読んだときは
ただ、ゆく夏を惜しむ詩だと思っていました。
ネットで検索して、読み返して、
しみじみ、いい詩だなあと、
「ほぼ日手帳2008」の8月30日、
ゴリちゃんが逝っちゃった日のページに書き写しました。
そして写し終わって、その日の欄外の「言葉」を読んで、
不意打ちのように泣かされちゃいました。
なんだろうなあ、こういう偶然って。
ほんと、なんなんだろう。