神保町の下駄屋の娘、江戸型染の作家。
落語好き、蕎麦好きで酒飲みの人情家。
江戸っ子ここに極まれり。
というか、小倉さんは特殊な目がねを持ってて
江戸が覗けるんじゃないだろうか。
あるいはあっちとこっちを行き来できる
からくり下駄を持ってるんだな。
小倉充子展@ギャラリー介、です。
ぼくの持ってる小倉さんの浴衣は「ざる蕎麦」と言って、
右手後ろから背中にかけて箸でたぐる蕎麦、前裾にざるという
藍染ながら派手なもの。
年に一度着るか着ないかですけど、
たいへん気に入っております。
今年をことのほか楽しみにしていたのは
介の最後の展覧会だということのほかに
もうひとつありました。
それは、「江戸×迷彩」という
乱暴なぼくのリクエストにこたえる作品を
つくってくれたから。
リクエストっていうのはおこがましいな。
その会話をヒントに、ひとつできあがったらしい、
と、事前に聞いていたからです。
気に入ったら買ってもらったらいいし、
気に入らなかったら、買わなくても大丈夫、
というあたり、自信があるのでしょう。頼もしい。
といってもべつに江戸の迷彩というのは
ぼくのオリジナルではなくって
小倉さんの3年くらいかな、前の作品に
「夜の舟遊び」というのがあったのです。
夜の大川での舟遊びを、鳥瞰で雲の上から眺めた図柄。
これを写真で見て、これは江戸の迷彩だ、思ったのでした。
二次元表現の雲って、カモフラージュに見えるでしょ。
それで、それをもういちどつくってくださいと言ったら、
だったらあたらしい江戸の迷彩をつくりますよと
おっしゃってくださっていたというわけ。
それが、2年越しに出来たのが、今年の新作展なのです。
「狐の嫁入/雨」
気に入ったら‥‥ということだったんだけど、即決。
とてもいいです。
これ、ハレ版もあって、アロハだったらかっこいいなと思うけど、
浴衣にしたらガールズ向きじゃないかな。
こちらは、入道雲から釣り糸を垂らし
瓢箪鯰を釣る雷様をモチーフにした大胆な柄。
とてもよかったです。
でも僕の背だと、柄がでかすぎた。
麻が入っててとても着心地がよかったんだけれど。
それから感動したのは「貝と蛸」。
蛸がいいんだ。
こちらも残念ながら似合わなかった。
というよりも、妙な似合い方だった気がします。
そして妖怪変化だとか。
鼠小僧だとか(これは手ぬぐいのみ)。
まいりました。
数に限りがございます故、
お急ぎください。