ああどう書いていいのかわかりません。
見てきました。
勘三郎さんのコクーン歌舞伎、
東海道四谷怪談。
南番のほうです。
すごかった!
梅ちゃんよりすごい!
ってあたりまえか?!
つまり、梅ちゃんの終演後のお客さんが
「あー、すっきりした!」というニコニコ顔で帰る、
その雰囲気を、もっとすごいレベルで、
勘三郎さんはつくってました。
以下ネタバレしますので、これから見る人は読まないでね。
・序幕〜二幕目は2時間たっぷり、
「古典的四谷怪談」を完璧に演る。
ただし舞台装置は、最初だけかなりアバンギャルド。
しかし内容は、歌舞伎座と同じように古典的な演出が基本。
(もちろん多少の現代的なのびのびした演出もはあるけれど、
それも、予想範囲内。花道がないので、平場の客の間を
出入りしたりするのは新鮮)
ある意味、退屈なくらいに徹底的に古典的に実力を見せるので、
お客さんは、「あれ? コクーン歌舞伎ってこうだっけ?」
と思うくらい。
ことばはかなり聞き取れるが、
残念ながらマイクを使っていないので、
最後列のぼくはけっこう苦労した。
そういう意味で歌舞伎座はすごい。
・休憩があけると、最前列から3列目くらいのお客さんが
合羽を着させられる。
たしかに三幕目の最後に水を使ったシーンがあるが、
べつに合羽を着るほどじゃなし‥‥
「あれ? こんなもん?」と思うていど。
・と、ここまでは「長い序章」だったと、あとで理解。
ここまでじっとがまんしたお客さんに、
このあと大プレゼントがある。
・休憩ではないが幕がおり、
舞台でけっこう大きな音(大道具の音)が聞こえてくる。
なんか組み立ててる‥‥というのは、わかる。
その間に役者が出てきて、
トークで場を沸かせる。
ほんとうはこのあとの流れとしては
「北番」が続くが、今回は別の舞台にしたので、
そこを割愛して、いきなりクライマックスが始まると告げる。
ビニールシートを前3列に配る。
「こういうところで濡れるからかぶるように」。
予行演習もあり。
そこでかなり笑わす。これから始まるのが
なにかとんでもない楽しいことが起こる場だということを
予感させる。
・大詰。早変り、水の中から登場する勘三郎、水の中で早変り、
火のなかから飛び出し空中浮揚するお岩さんの亡霊(勘三郎)、
水のなかで大立ち回り、スローモーション、早回し、
そのシーンの切り替えを大量の桜吹雪で行なう、
客席からいきなり勘三郎のお岩さん登場、
と、もう、マジック?!
「怖い」物語なのだが、客席は、悲鳴と、笑い声が混在する、
たいへんな興奮状態。怖いんだか可笑しいんだかわからない。
客、全員、前のめり。立ち上がらんばかり。
群集の立ち回りシーンで、役者のほぼ全員が
トンボを切って水に飛び込み、
前3列は、「びしょぬれ」。勘三郎も泳ぐ泳ぐ。
「いいなあ」と思って見ている後ろのほうの席の人にも
サプライズあり。
・歌舞伎らしい大団円。理屈抜きで大拍手。
・終演後、もう、お客さん大興奮。
最後列のおばちゃんまでスタンディングオベーション、
ぴょんぴょん跳ねながら拍手。
カーテンコール2回、しかも手拍子、鳴り止まない。
「江戸時代の歌舞伎って
こういう興奮だったんじゃないのかなあ!」
と思うような、舞台でした。
この舞台のために勘三郎さんは
トータルワークアウトに通いダイエット、
「胸のあたりをげっそりさせたい」
と苦労しておられましたっけ‥‥。
ああ、北番も見たいです!