高校のころのあだ名で始まるメールをもらった。
奥さんが『Say Hello!』を買って、娘さんともども
読め読めと言うので読み始めたらあっという間に完読、
涙していたところ奥付にぼくの名前を見つけ、
サイトで調べてメールをくれた、
高校のときの英語塾のともだちだった。
うれしいなあ。
いままでも本を編集して名前を載せたことはあるけど
奥付を見て僕だと確信した遠く離れていたともだちから
連絡をもらうなんてなかった。
中1の男の子、小4の女の子、
1歳のトイプードルがいるという。
あわただしい毎日だという。
ぼくのなかではそいつは10代のまんまなので
その10代のすがたのまま
一男一女一匹のお父さんをやってるふうにしか想像できず
とてもくすぐったい気分になる。
すぐに頭のなかを修正して、
その年齢を「かける2」にするけど
やっぱりうまく想像できずに顔がぼやける。
前にも書いたかもしれないけど
小学校のときのともだちふたりに、
大人になってから会ったことがあった。
ひとしきり遊んで、たくさん話して、
ひとばん泊まっていっぱい食べて呑んで、
そろそろ帰るね、というときに、
「またあしたねー」と言いそうになって、
三人とも絶句したことがあった。
いや、だれもそれを口に出していなかったし
そう言いかけたかどうかは僕の想像でしかないのだけれど
あの絶句はきっとそういうことなんだと思う。
「またあしたねー」は、もう、ないんだってわかってるのに。
そう言いたくなる「こぞう」がぼくのなかにいて
そんな気分がそのメールでよみがえった。
あいつは二児の父、ぼくはあいかわらずこぞうのままだけど。
●
さて土曜。横浜の反町に「キロ・ヤスキ」さんという
英国式手相術・エネアス数秘術・タロット占術を
組み合わせて占ってくれる占い師がいて
これまでも「決めなきゃいけないけど、悩んでいること」があると
運命はどう言うのかを聞きにいっていた。
でもこのところまったくそういうことがなく、
決めなきゃいけないことは自分で決めてきたのだけど、
友人が見てもらいに行くというのでくっついていってみた。
ふうむ、そうですか! そんなことになりますか!
具体的なことは書かないけど、
ある具体的な注意とともに、
ちょっと身に余る「よい予言」をもらってきた。
手相に大きな変化がある、と、
キロさんが驚いてうれしそうに説明する。
へーえ、それが本当ならぼくはとてもうれしいです!
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反町駅の近くのなかなかうまいケーキ屋で
シュークリームとコーヒー。
座るなり友人が
「それやばいんじゃない? ブクブクの腹」
と言いやがる。
お前に言われる筋合いはない!
と僕が憤る理由はそいつは僕よりプラス20キロあるということだ。
なのに「ぼくはたけいさんよりぜんぜん痩せて見える」と言う。
「言っとくがこちとら脂肪の下は筋肉だ!
脱ぐとそれなりなのだ」
「でも服着ててわかるそのぶよぶよ加減はまずいでしょ」
「健康診断はオールAだーっ。
ギャルソン吊るしで買えないやつに言われたくない」
というようなののしり合いを、
シュークリームをきちんと蓋をあけ
クリームをすくって食べながらしていたら
隣の女性二人組がうつむいてひくひく笑っておられた。
なんでしょうねえ、不本意ながら、
エンターテインメントになってたんでしょうか。
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中華街のお茶屋で中国茶をたらふく飲んでから
福建料理の店で昼飯。
このところいつも中華街は「慶福楼」です。
中華街に勤めるみなさんが来る店、というような感じの、
ちょっと外れにあって空いてるけどうまい店。
牡蛎を鉄板でかりっと焼いたもの、
蒸しホタテのしょうがねぎ醤油、
海老マヨネーズ、焼き餃子、福建炒飯、杏仁豆腐。
みんなうまかった。
そして会話はこんどはののしり合いではなく仕事やら、
来し方行く末の話になる。まったく中年の会話である。
しかしその友人はデブはデブだが
とある外資系のでかい会社の副社長なうえ
たいへん大ざっぱに言えば同世代だし(というとまた怒る)
仕事に対する気持ちに通じるところがあるので
ものすごく話がしやすいのです。
こうして年に1回くらいちゃんと話すとたいへんよい。
いろいろ話しているうちに
ずっと考えていたことの答えが、ちょっと見えたりした。
ああそうか、そういうことなんだな、と。
収穫。
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土曜夜、友人の事務所の忘年会に顔を出す。
ほぼ全員知らない人。
こういうときに「じつは自分は人見知りだ」と痛感する。
唯一知っている人が話しかけてくれてほっ。
ロシア料理うまかったです。
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日曜、矢野さんのコンサート。
ことしは「くるり」と共演する矢野さん、
ステージの「疾走感」みたいなものがすごかった!
ローラーコースターに乗ると
目の前の風景がぐんぐん後ろに行くけど
あんな感じのコンサート。
がつんとしたくるりの若い演奏は
矢野さんのいつものトリオでの、あの世界的な名演奏とは
まったくちがうものだけれど、
妙に居心地がよくて、矢野さんも楽しそう。
いや、いつものトリオでも楽しそうなんだけど、
ぼくらと共通の感覚で楽しそうなんでした。
(いつもは雲の上で楽しそう)
美雨ちゃんからも「本とどきました! 感想メールするね」
と声をかけられうれしうございました。
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毎年矢野さんの「さとがえるコンサート」は
日曜がマチネだけなので
5時半すぎには終わる。
ということで毎年恒例のマンジャペッシェへ。
牡蛎、ハマグリの黒焦げ焼き、かわはぎの肝あえ、
バーニャカウダ、小魚のフリット、
魚介の鍋、最後にそのソースでパスタ。
デザートはラフランス、柿のパンナコッタ、キンカンのゼリー。
ワインも1本半あける。
うまかった〜。
あ、でも明日は「ピアット・スズキ」だった!
同行者に「明日だよ」とメールしたら
「昼食抜いて2000kcalは食うぞ!」と返事がきた。
ぼくもそうしようっと。