そういえばオシャレな人を見ない。
まったく見ないわけじゃないけど、
ぼくの借りている部屋のあたり(中央駅の東側すぐ)は
まあまあ庶民的なエリアらしく、
いわゆるハイファッションな人を見ない。
といって、だらしない人も少ないんだけれど、
べつに格別オシャレというわけではない。
それにしてもここはミラノ、
もっとオシャレな人びとが闊歩していてもいいのではないか。
などと思いつつ午前中は洗濯。
きょうからひとり宿泊者が増えるのだが、
そのシーツを洗濯しておこうと洗濯機を回したら、
ぜーんぜん終わらない。
ついに昼をすぎてしまった。まあいいや。
腹が減ったので適当な食材でサンドイッチ。
あ、ちなみに朝もパンと、PECKのハムと、残り物でした。
洗濯がようやく終わったので、部屋干しをして散歩に出た。
すごくいい天気。晴れ男。洗濯物を外に干したい。
中央駅を通り過ぎて、正面口からまっすぐのびる
ヴィットル・ビザーニ通りを歩いていたら、
どうやらビジネス街らしく、
そうとうきちんとしたビジネスマンたちが多い。
なるほど、ここの人びとのスーツの形と着こなし、
シャツの襟の形などは「いま」ですね。
でもアレですね、「ジャケットは絶対脱がない」
というのはちがうみたいね。
ネクタイをしていない人も多いし、
オシャレなビジネスマンにしても、
どこかちゃんと抜け感というか、
「オシャレが当たり前感」があるので、
どうだオラオラ! な気合いは感じない。
ここに勤めていたら、こうなるだろうなということだ。
あと、シャツの腕まくりの「ミラノまくり」とやら、
だーれもやってないんですけど。
でもまあまくるときは「きちんと」折ってはいるみたいね。
カメラを向けられる感じではなかったので写真はありません。
モンテ・サント通りを右折して北西に進む。
散歩の最初の目的地はEATALY。イータリー。
ITALYとEATをかけてある、つまりはイタリア食品館。
3フロアぎっしり食品と、関連書籍。
道具類はあまりない。
どのコーナーに行っても、本のコーナーが隣接していて、
食べることと教養が一体化しているのがいい。
さすがにイタリア語なので買わなかったけれど、
「総合的なイタリア料理の本」がないのは
イタリアは都市国家ゆえ、地方によって文化が違いすぎて、
「これがイタリア料理だ」と国の名をつけるようなものって
じつはあんまりないのだった。
ということは一通りそろえようとすると? と、
探してみたら、プーリア、ローマ、カラブリア、
ミラノ、トスカーナ、シチリア、この6冊を買えば揃う。
しかも見つけた本はイタリア語と英語の併記。
でもなあ、大型本6冊は、とても持って帰れないなあ。
まだ時間あるからなと、いったんあきらめる。
あ、アマゾンにあるかな?
ちなみに、料理本として、編集センスと
写真のクオリティだけを比べると
(レシピの書き方まではぼくの語学力では比較不可能)
その出来は、フランスのほうが上です。
あの国はそうとう「しつこい」んだと思う。
イタリアはそういう意味で、ちょっといい加減。
さて、EATALYあたりまで来ると、
(EATALYの中ではなくそのエリアという意味ですが)
ふつうの人びとのオシャレ度がぐんと上がってくる。
あきらかにいいものを着ている。
質のいいものであると同時に、「あたらしいもの」を
ちゃんと取り入れている系の服装をしている。
そう、この近辺はブランドショップが多い。
なにしろここにはコルソコモ(という通り名)がある。
つまりその10番地には、あの有名ブティック、
ディエチ・コルソコモがあるわけです。
ファッション誌編集者のカルラ・ソッツァーニ女史が
「編集」したショップで、一時、東京・青山にも、
COMME des GARÇONSとの協業の店があって、
ぼくはその店が大好きだったんだけれど、
10年の営業期間を終えて閉店してしまった。
アジアは、ソウル、上海、北京にあるんだけどねえ。
その後銀座のDOVER STREET MARKET内に
ディエチ・コルソコモのコーナーができたけれど
それもいまはもうない。
さて、その本店。
一歩入ると、そりゃあもうオシャレ。
ぼくも気合いを入れて(着替えたわけじゃないんだけど)
オシャレな「勢い」をつけて入店。
こういうことは、割と慣れているのです。
(図々しい、とも言う。)
どうやるんですかと言われても困るんだけど、
ようするにオドオドしない、キョロキョロしない、
そして服をちゃんと見るということです。
店内では写真も撮りません! 撮りたいけど!
あと、店員さんに話しかけると、楽しいですよ。
「編集」されているショップなので、
ブランドごとのコーナー展開ではなく、
いろんなものがミックスされているんだけれど、
「編集方針」がちゃんとしているから、
雑誌のページをめくるような感覚で見ていけばいい。
ブランド名がいっさいわからない(タグを見ればわかる)のも
洋服好きには楽しい。
そして、まだ夏の名残のあるミラノながら、
ファッションの世界はとっくに冬。
しかも、ここまで尖っちゃうと、
ぼくの着られるものはないよなあと思いつつ見ていたら、
メンズウエアのコーナーにけっこうたくさんのニットキャップ発見。
そのなかに「AMI Alexandre Mattiussi」が!
ちょっと変で、でも品があって大好き。
服は似合わないと思うけど小物ならなんとか。
60ユーロで買いました。
わーい、初マテュッシ。うれしくて自撮り。
店内2Fのギャラリー
「GALLERIA CARLA SOZZANI」で
イタリア未来派の写真展
「FOTOGRAFIA FUTURISTA」をやってた。
初めて見るものばかり。
いわゆる写真としての凄みは感じないけれど。
カメラという道具を手にしたあの時代の未来派の人たちの、
「すげえ面白い遊び道具を手に入れた!」
と思っているその気持ちが満載でした。
それにしてもギャラリー、けっこう広いんですね。
屋上に出てみる。うわあ、気持ちいい!
景色もなんだかオシャレだし。
コルソコモ通りを抜けて、ガレ・アウエンティ広場へ。
広場といっても、六本木ヒルズみたいなところ。
北に抜ける道から、正面に威容が。
アパートのベランダに木がいっぱい生えている、
「Bosco Verticale」というアパート。
いいなあ、この感じ。
ちなみにこのあたりは歴史地区で、
ポルタ・ヌォーヴァと呼ばれているんだそうです。
てくてく歩いて(あまり面白い道でもない)
中央駅を通って帰宅。
さあ夕飯どうしようかな。