グ

三合菴、クマちゃん、モテキ、iPhone。

眠れた。

●

出張の予定が飛んで、いちにち、
それなりにゆっくりと机に向かう。
夜、というか夕方、用向きがあって白金の三合菴へ。
お店が縮小してから、たずねていなかったので
ずいぶん久しぶりということになる。
ぱっと用事を済ませる、というのもなんなので
１時間ほどで軽く（でもないか）同僚女子と食事。
冷たい茶わん蒸し、おから、海苔をちぎったおひたし、
卵焼き、しんとり菜のごま浸し、新じゃがの煮転し、
そばがき、天ざる、葱そばに、わらびもち。
やっぱり軽くはなかったですね。
それにしても、ここは、いつうかがっても、すばらしい。
こんどはゆっくりともだちと来たいものです。

●

会社でちょっと可愛いものを貰う。


 
『モテキ』読了。
女の子がよく描けていてすごい。
とても、タフ。たくましい。よく考えてる。
そして男の子も、女の子ほどではないけれど、
ダメさと、要らない繊細さにおいて、
とてもリアリティがある。
ぼくはマンガを読むのは速いんだけど、
このこまやかな心理描写を味わっていたら
ちょっと時間がかかっちゃった。
どのキャラクターに感情移入するかで
性格分析ができそうだ。

●

iPadに古今亭志ん朝さんの
持ってるだけの音源を入れた。
こういうのがあると、
出張も海外もどんと来いという気になりますね。

●

iPhone４。
電話ではなく、
おもちゃとして買うつもりにはなったけど、
並んでまで予約する気力は、ない。
ほっとくと買わない可能性もある。
新しいiPod Touchがでたら買わなくていいじゃん、
くらいに思っている。
それよりiPad用／iPod Touch用に
Portable Wi-Fiがほしい。
そんなにほしいほしい言うんじゃありません。

不眠、キャンセル、金券ショップ。

なんてネガティブなタイトル。

●

日曜の夜。
寝つけず、うとうとしたような気はするものの、
４時くらいに起きて、１時間ぼんやりし、
もういちど寝床に入ったけど、１時間くらいでまた起きた。
ま、あまり気にしないほうがいいよな。
月曜早朝、テレビつけたら「ハレンチ学園」映画版やってた。
主演・児島みゆき。この人、今みると妙にキュート。
当時から、美少女という感じじゃなかった気がするし
（おきゃん、というんでしょうか）、
むしろ今の顔をしてる気がする。
全部観ようかどうしようか
永井豪のギャグ系漫画のファンとしては気になるが、
（キッカイくん、オモライくん、大好き）
ま、別にいっかと思い直す。
朝だし、朝飯つくろう。
玄米を炊き、かぼちゃの煮付けをつくり、
ネギ卵焼きをつくり、しらすを出して、
骨付きの豚ロースを土鍋で焼いた。
海苔の佃煮、塩ウニ、なめ茸も。
そして早めに出社。

●

火水の出張が延期に。
来週の出張はそのままなんだけど
その日程がバッティングして、
コクーン歌舞伎「佐倉義民傳」に行けないことに。
泣く泣く同僚にチケットを譲ることに。
でも観たい。観たいんだよーっ。
串田さん演出の平成中村座だよーっ。
ということで売却金を軍資金にネットで探して、
20日（土）のチケット入手。

●

夜、Ｔ川Ｄ春さんの独演会、それも秘密の、に
お席用意しておきますとまで言っていただいていたのに
仕事が詰まっていたのでドタキャン。
観たくてもなかなか観れない人気の噺家を、
味わいのある和風建築で、
数十人だけで観るっていうんだから、
そりゃぜいたくな催しなのはわかっちゃいるが、
いますすめている仕事を選べとおれが言う。
偉い、とは思わない。
やりくりが下手だと思う。

●

おかげで、ひとつ仕事がすすんでよかった。

●

映画『MILK』ですが
ドキュメンタリー版もとてもいいと聞き、DVDをAmazonで。
まだ観てない。
とても楽しみ。
ひとりでゆっくり観れるときに落ち着いて観るつもり。

●

かえすがえすも『告白』そんなにいい？
そうかなあ。そうは思わないけどなあ。
でもあれだけヒットして、「賞総なめ確実」なんて評判だから、
なにか「いい」ってみんなが思う理由があるんだよねきっと。
ぼくにはわからない。
そもそもミステリーとしてすっきりしな（以下やっぱり自粛）

二日酔いと偶然の休日、MILK。

二日酔いの頭痛で４時半に起床。
夕べは、お祝いの席の楽しい酒だったんだけど、
立食で手持ちぶさで口さみしいので
ついつい、てきとうな赤ワインをかっぱかっぱ飲んでたのが敗因。
水をたっぷり飲んでさらに２時間ほど眠ったものの、
まぁ、酷くはないが、ちょっとツライという感じの日曜日。
薬は飲みたくないからコーヒーがぶ飲み。

原稿仕事をするつもりだったんだけど、
そんな状況だったので、やめる。
決めた、きょうは休む。
まずは洗濯と片づけ。
掃除機は昨日かけたから、
そこらへんにかかっている冬物を仕舞う。
クリーニングに出すニットが大きな紙袋いっぱいに。
いくらかかるんだろう‥‥。
軽めのジャケット類を表に出したけど、
もう暑いよね？！　タイミングを逃したかもしれない。
そんなふうだから「一度しか袖を通してない」ものもある。
「いつか、春の南仏で」なんて
妄想して買ったジャケットとかある。
行く予定はない。

●

昼、マンジャペッシェに。久しぶりです。
旧い友人を呼び出して２時間ばかり話す。
とはいうものの、何話したのか覚えてない。
それくらいどうでもいい話ができるのは貴重だと思うな。
と言っておこう。
友人がワインを飲んでいたのがとても悔しい。
二日酔いめ。
でも食欲は大丈夫。
これ自慢なんだけど、携帯で撮ったのに美味しそうでしょ。
 



   
●

いったん家に戻って、底のはがれかけた靴を持って
神宮前のトリッペンに。
底の張り替え、インナーの交換、そのほか修理できそうなところ
全部やってくださいと言ったら見積もりが２万円超えた。
新しいの買うと４万円だから、ちょっと迷ったけど、
おねがいすることにした。
修理して使えるんならね。気に入ってる靴だし。
いわゆる「どた靴」だけど、とても履きやすいんです。

●

夕方、ジムへ。
なんとか頭痛は去ったが、
妙な汗がたらたら出る。
まだ二日酔いは続いているような気がする。
トレーナーに事情を話すも、ぜんぜんかまってもらえない。
「汗流してすっきりしましょう！」とか言われる。
まぁその通りだな。
今週は出張があるから１回しか来れないと言うと
いつもの１．５倍くらいのトレーニングになった。
くーっ。まぁ、コストパフォーマンスは高いとも言える。
ふくらはぎのトレーニングってきついですね。

●

中国語と英語とよくわからない言葉の飛び交う
六本木交差点を抜けてミッドタウンへ。
豆腐を買って地下鉄で帰宅。
きょうは手を抜くと決めたので
伊勢丹に弁当を買いに出る。まぐろの寿司を買う。
知りあいっぽい後ろ姿を見かけたんだが見失う。
なんかものすごく真剣に総菜を選んでいたように思う。
メールしてみたら本人だったようです。

●

買ってきた寿司をつまみながら
ＤＶＤ『ＭＩＬＫ』の続きを観る。
時間がとれなくて、全編通しで観られずにいたのを最後まで。
ロードショーのとき「いいですよ」と聞いていたのに
なんとなく足が向かなかったのは、
切ないに決まっているから。
この手の切なさって、まともに向き合うのを
ぼくは、ちょっと避けるところがあって。

そしてやっぱり、とても切ない映画だった。
とてもいい映画であるのは間違いないんだけれど、
その、意味とか意義を超えて、とてもとても切なかった。
たぶん人と違うところに感情移入していたんだと思う。

山田詠美が「切ない」の定義を、
涙は浮かんでも、泣くのとは違う、
こぼれても、たった一粒。
そんな風に書いていたのを思い出す。
人の縁とか、運命とか、抗いようのないこととか、
そしていま生かされていることの意味とか、
さらに‥‥まぁ、いろんなことをぼんやり考える。

ＤＶＤの特典映像も観る。
ちなみにこれだけ入ってる。
・未公開シーン集(原題:Deleted Scenes)
・ミルクの伝説(原題:Remembering Harvey)
・映画『ミルク』メイキング(原題:Hollywood comes to San Francisco)
・希望への行進(原題:Marching for Equality)
これが、また、全部いい。
脚本家のこと、監督のことがよくわかるし、
ハーヴェイ・ミルク本人のこともよくわかる。
史実監修の「本人たち」もたくさん登場する。
あの妙なリアリティがある演出の秘密もわかる。
こんなふうに、おおぜいの人の思いがたっぷり詰まった映画、
おもしろくないわけが、ないじゃないか。
今のタイミングで観てよかったかもしれない。
特典映像のことだけじゃなくて、
公開当時だったらちょっと理解が浅かったかもしれない。

●

とまぁ、二日酔いのおかげで偶然のように
休日っぽい休日になっちゃった。
こんなことなら遊ぶ予定入れておけばよかった、
ってすぐ考えるところがいけないですね。
休まなくちゃね、上手に。
ちなみにこの日記を書いてるいまは
すっかり二日酔いは去りました。

しあわせの場所。

同僚の披露宴二次会へ。
こういう時でもないと着れない
（あ、香港では着た！）
千鳥格子の半ズボンとジャケットのセットアップ。
ちょっと色が違うけど
帽子と蝶ネクタイも千鳥格子。
シャツはウイングカラーの、洗濯しっぱなし。
アーガイルの短いソックスに、ガラス加工の光るスリッポン、
水牛の角でつくったフレームのサングラス（夜だけど）。
ひさしぶりに気合いを入れたオシャレをしました。
ほんと、こういうときでもないとね。
糸井さんに「この男、ここまでするか！」と言われたのは褒め言葉。
ただこういう時に持つかばんがないのが残念。
それにしても昨シーズンのシャツが
ぱっつんぱっつんなのはなぜ？！
ま、いっか。


 
基本的にパーティは苦手だから出ないんだけれど、
今回はとくべつ。
親しい仲間のしあわせという、かたちのないはずのものが
はっきり目の前にあって、
それをこころから祝う気持ちが集まっていた場所だった。
ベイちゃん奈美ちゃん、おしあわせにー。

栗Ｑ、四川、告白。

金曜日。
ご縁があってお招きいただき
自由学園明日館へ、栗コーダーカルテットのコンサート。
THE SUZUKIと組んだステージは観たことがあるんだけれど、
単独公演は初めてかもしれない。

会場に向かう途中、池袋の住宅地で
そのTHE SUZUKIの兄のほうの人が向こうから
携帯電話を片手にやってきた。
よく存じ上げている仲ですけれど、
こう唐突に予期せぬ場所で会うと驚く。
兄さん、なにしてるんですか。
そうか、栗コーダーですね。
でも逆行してますよ、会場そっちじゃないです。
聞けば道に迷っておられたとのこと。
ああよかった。こっちです。

栗コーダーですが、前半はリコーダーのアンサンブルで
後半は、いろんな楽器を手に演奏。
いずれもインストゥルメンタル。
２Ｆ席なのをいいことに、気持ちいいので、
うつらうつら‥‥すみません。気持ちよかった。
基本、明るい曲ばかりなんだけど、
後半で混じった暗い‥‥というか、
フランスかイタリアの映画音楽のような感じの楽曲は
たいへん好みでした。
そしてＭＣがあんがい達者なのでびっくり。

●

終わって、腹が減ったので
サンシャインシティにある栄児（ロンアール）四川家庭料理へ。
同僚３人と行ったので、けっこう食べられる。
菜譜を任せてもらい、こんなふうに組みました。
辛味豆腐、水餃子、糸豆腐のサラダ、皮蛋、
茄子の辛味味噌がけ、汁なし坦々麺、
麻婆豆腐（とゴハン）、鶏と春雨の煮込み、
最後に杏仁豆腐。
料理はいずれも花椒たっぷり。
痺れる、どっと汗が出る。
ふだんかかない種類の汗。
そして辛いだけじゃなくて、すごくおいしい。
これまた絶品の杏仁豆腐もいただいて
（ここの杏仁豆腐は東京暫定一位）、満腹。
これでひとり３０００円以内。すごい。
副都心線で事務所にもどってまたちょっと仕事。

●

土曜早朝、狭い密室にて
昨晩の四川料理を再び味わうことに。
か、からっ。ていうか、痺れてもう（以下自粛）

●

気になっていた映画『告白』、
朝一番の回をとって新宿ピカデリー。
さあこの前評判なら暫定一位二位に食い込むか？！
『アヒルと鴨のコインロッカー』や
『キサラギ』級か？！　なんて期待して、
意気揚々で行ったんだけれども（以下自粛）

●

きょうは同僚の結婚式の二次会に行きます。
何着てこうかなあ。
蝶ネクタイ買ったんだよー。
Ｔシャツと麦わら帽子も買っ（以下自粛）

小倉充子展、千鳥、はんぶんこ。

あいかわらず土鍋チキン。飽きない。



浅草橋で小倉充子「夏きもの」展。
ことしは、いつもの男っぽさが影をひそめ、
たいへん女性的な世界。そして技巧的で緻密。
ぼくとしては大胆なものが好きなので
おそれず怖がらず、名作「ざるそば」を超えてほしい。
思うに小倉さんって、「とんでもない職人」なんだろう。
いまは発注を自分でして、自分で仕上げてるんだけど
その「発注」の部分を人任せにしてみたら、
（その人の度量が必要だが）
さらにとんでもないものをつくりそうな気がする。
ちょっと不本意なところから化け物が生まれそうな気がする。


 
ギャラリーついでに両国に出て、ほそ川で蕎麦。
あつい蕎麦は、ごぼうの天ぷら蕎麦を、
冷たい蕎麦は、賀茂茄子のぶっかけを。
つまり２杯、食べました。
ここの蕎麦はうまいなあ。



自宅用のMacBook、
容量が足りなくなってきたのでＨＤＤとメモリ交換。
躯体は重いけど、動きが速くなった。
黒くてごつくてかわいいんだ。
だからまだ買い替えない。

●

忙しいまま夕飯をとらずに
（ウイダーインゼリーは飲んだ）
夜ジムに行ったら、
ベンチプレス、ぜんぜんあがらないでやんの。
そして気力もいまひとつ。
食べないとだめだね。

●

ぼくの仕事は締め切りは自分でつくるもんなんだけど、
その締め切りを決めるべき物件が
次、その次、その次、その次、その次、その次、その次、
というくらいたくさんある。
そのひとつが本１冊まとめるっていう仕事だ。
さらに覆いかぶさるように取材の山も、いくつか。
つまりそれがさらに次の締め切りになるわけで、
畢竟、やるしかない、という状況。
走り続けなければ倒れてしまうというやつだ。
自転車みたいなこの命だ。
こないだタロットで６月はガマン、７月は
「仕事に没頭せよ。仕事オンリーに」と出たんだが、
もう今から当たってます。
（とはいうものの、かなり楽しんでいる。
 　あいかわらずの、公私混同ぶりです。）

●

仕事がらみで水道橋「千鳥」（というギャラリー）へ。
目利きで知られる若いご主人の店。
松本のクラフトフェアで名刺交換したばかりで
お店には初めてうかがったのだけれど、
いやはや美意識がすみずみにまで！
ここで買い物をするのは楽しいだろう、そりゃ、というお店。
なんというか選ばれた器たちに妙な色気があると思ったら
ご主人は薬膳料理の専門家だそうだ。
つまり、彼が選んだ時点で、ここの器たちは
「きっと、すばらしい料理が盛られる」という予感に満ちている。
約束ではなくて予感。
おいしい料理やうまい酒が盛られることを、待ち望んでいる器たち。
そりゃ色っぽいよ。
その（売り手の）気持ちが、いかに大事か、
学ばせていただきました。
同行した弊社のものが
「ここには、そうめん」
「こっちは、オレンジジュース」と、
そんなふうに買ってるのを見て、ますますそう思った。


 
twitterでの友人のことばのなかに
「はんぶんこ」というのが出てきた。
はんぶんこ。なんて素敵な響きなんだろう。
「はんぶんこしよ？」と言う時の、
あの胸のあたたまる感じを、突然、思い出した。
ぼくが平気ではんぶんこできる相手はごく少数だが、
そう言われた人は断らないように。
ぼくもなるべく独り占めしないようにしますから。

 

夕焼け、翌朝の快晴。
きもちがいいなあ。
毎日、心もこんなふうだったらいいいのに。

 

まだぼんやり。

一日経ったのにまだぼんやり
映画「息もできない」のことを考えている。
論理的になにか考えているわけじゃなくて
ぼんやりと「ああ、ああいうことがあったんだ」と、
妙にリアルに体験してきたみたいな、
旅のあとみたいなぼんやり感が、
体に、残っている。
頭じゃなくて、体。
あれって現実だったんだっけ。
よくわからなくなる気分。
香港行ったのはほんとうだよね。
韓国は行ってないよな。ふうむ。
そして意外なことに、あれだけ悲惨なものを見てきたのに
幸福感のようなものが残っている。
妙なあたたかさ。でも胸を衝かれた感じ。
んー、でも、説明するのはここまでにしておこう。
これ以上言葉にしたらなにか失われそうな気がする。

息もできない。

銀座の床屋に行って
　→松屋で食材買って
　　→家に戻って食べて
　　　→反町のキロ・ヤスキさんのところへ行って
　　　　→渋谷に戻って「息もできない」観て
　　　　　（時間までタワレコの本屋にいたら
　　　　　　『移動祝祭日』の新訳みつけた！）
　　　　　　　→会社に行ってちょっと仕事
という土曜日。
ひとりの休日堪能。
こういうハードスケジュールは歓迎。

で、「息もできない」ですよ。
先週「プレシャス」を観たばかりで、
どうやら同じかそれ以上に“いい！”と聞いていたので、
なんとしてでも観ようと思っていたんでした。
ぼくのアホな頭では、この感想、まだ、的確に言えない。
というより、いまはまだ、あの世界のかなしみに
ゆったり浸っているような感じでぼーっとしております。

上映中は、涙がうかんでも、こぼれない、
ぎりぎりのせつなさを味わっていたんだけれど、
最後は、だめだった‥‥滂沱。
嗚咽を我慢してたら椅子が揺れた。
ネタバレになっちゃうからどこかは言えないけど、
そっくりな思いの経験したことあるよなと思ったら
ほんとにもうダメで。

主演のヤン・イクチュンが凄すぎて、
なんというすばらしい役者なんだ！　と思ったら、
この作品、彼の製作・監督・脚本・編集・主演なんだと知り
ほんとうに驚いた。
しかも、この写真が「演技中」で、


 
こっちの写真は「ふだん」って‥‥


   
同じ人だよ？！　イクチュン！
これだけでこの人天才って思うでしょ。
こうでなくちゃ。

そしてこの映画、映画としてのセンスがとても、いい。
かなりつくりこまれた脚本演出なのに、
どうだまいったか、な印象は皆無。
もう、運命ってこういうものでしょうという
濁流のようなおそろしいパワーに
主人公たちといっしょにぼくらも呑み込まれていくんだけど、
ちっともあざとくない。
暴力的な表現のなかで
彼らのこまやかな心の動きが、
手に取るように伝わってくる。
暴力の映画じゃない、
Boy Meets Girlの映画、
そして家族の再生のものがたりだと、ぼくは思う。


  
それにしてもヤン・イクチュン、
ちがいすぎだよなあ。
公式サイトはこちらです。

SMILES and TEARS 2010

ゴリちゃんママから電話をいただく。
新茶が届きました、ありがとうございますと。
例年より１か月遅れの新茶になったのは、
去年までおねがいしていたお茶やが廃業、
父がうんと山奥のお茶農家まで買い付けに行き入手したんだけど
そこが、山奥すぎて寒くて、
この時期でないと出来なかったから。
自宅用の１年分だけじゃなく
あちこちにさしあげる分まで大量に購入するのは
静岡の、というか、うちの、商習慣みたい。
ぼくはその習慣にちゃっかり乗っているだけ。

それにしてもお久しぶりですね。お元気でしたか。
あれこれと近況を聞く。
武井さんのブログを読んでヒデ（ゴリちゃん）のことを
知った人が、ことしになって、来てくださって、
わたしたちの知らないあの子のこと、
たくさん話してくれたのよ、と、うれしそうにしておられた。
よかったです。ちょっとは役に立っているんだと思うと、
そのちょっとが、ぼくにはとても、うれしいです。
「武井さんからお茶、届いたわよって供えたら、
　ほら、あの子の遺影、すごい笑顔じゃない？
　喜んでるみたいで、じんとしちゃったりしてね」と。
それにしても──、と僕。
あいつ、夢にも出てきやしないし、
幽霊でもいいから出てこいと思うんだけれど、
一回も、出てこないんですよ。
水臭くないですか？
「あら、あたしもなのよ！
　夢にも出てこないのよ！
　あの子、きっと生き切ったのねえ。
　若くしてあっち行っちゃったけど、
　ちゃんと生きたんだなぁって、思うのよ」
笑いながら話すゴリちゃんママ。
やめてくださいよ、泣けちゃいますよ、ここ会社です。
まだ、富士にあるというお墓参りにも行けてないし、すみません。
ことし生きてたら30歳ですね。
甘いもの好きだったから、ケーキ持って10月に伺います。

電話のあとジムに行き、くたくたになるまで体を動かしたら
久しぶりによく眠れた。ありがとうなあ。
あたらしいともだちができたよ。おもしろいやつだよ。
土筆を摘む夢を見たよ。
そっちはどうだい。ぼくは、とても元気です。

もちろんＢＧＭは「SMILES and TEARS 2010」。
おとなたちの半分も生きてはいないけれど、と。
でき過ぎだ。
ベースボール・キャップもスニーカーも、
ちゃんと預かってる。


  

precious memories.

週末の松本のクラフトフェアから戻って
東京のネオンの明るさにほっとする自分って
いったいなんなんだろうなと思いつつ、
平常営業に戻りました。
分断睡眠、睡眠障害も一段落‥‥したのか？
あいかわらず眠れない日もあるけど
あまり気にせずにいたら
日〜月は眠れず、されど、
月〜火にかけての睡眠はぐっすりだったので、
まぁ、いいとしようかな。

忙しいあいだを縫って映画「プレシャス」。
いやはや。びっくりした。
虐待と貧困、近親相姦、障害児、教育、AIDS、同性愛、
もうマイナスカード（とされているもの）
てんこもり、なんだけど、
不思議と、テーマを損なわない軽みがあって。
とても、よかった。ザッツ映画。
まいった。おもしろかった。
カメラワークにドキュメンタリーな手法も取り入れつつ、
半端じゃないつくりこみもあるし。

終わって、ほんとは焼き肉食べようって言ってたんだけど
なんかそういう気分にならず、
西麻布の某店へ。
前々から噂を聞いてはいたものの
「一年の半分は休むらしい」なんて噂もあって、
機会があったらいつか、と思っていた店。
きょうは予約もなしだったんだけれど
丙午大食い友の会の同行者が懇意にしているというので
行ってみたらやってて、しかも入れた！
すごくうれしい‥‥。

料理のテーマは「スパイス・ロード」だそうで、
南仏を拠点に東はトルコ、南はモロッコ、西はスペイン、
そんな料理の、最大限においしいものばかりが並ぶ。
さんざん食べて、２人で泡２本空けて、へべれけになる。
さらにテキーラとかいろいろいただいたしなあ。
酔って目をつぶって明けてみたらアドリア海だったら
どんなにいいのにと思いつつ、
そこは夜の西麻布。日常。
歩いて表参道まで出て、帰ってきましたけどね。
せつないことばかりの初夏の宵、酔い。